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新年の抱負 2021

 問題はだ、君が書くべき、あるいは書かれるべき文章を何も発見できていないことにある。それはデンタルフロスへのラブソングでも1980年代の通信事情への端的な寓話でもいい。とにかく、君が書くべき文章など最初から存在しないのだ。

 では何を書くべきか?書く欲求はあるか?俺は大学に入るまでは何もそういう欲求がなかった。それはある日突然降って湧いた。誰にでもある唐突な乱反射だ。だが俺のそれはとても強烈で、脳裏に焼き付いて剥がせない。たとえばこれが恋だとしたら、俺は存在しない女性を抱きしめる日をずっと待っている可哀想な独身中年男性だ。あるいは俺がフランケンシュタインなら、鉄腕アトムにおける天馬博士だったらそれを現実のものにできたかもしれないが、残念ながら今まで俺は何者であったこともない。ただ孤独に耐え罵詈雑言を飲み下してきた。だがいい加減それにも飽きた。

 だからこう決めた。飽きるまで書こうと。今のところ俺はシェイクスピアが書けずに苛立っているチンパンジー以下の雑文しか残せていない。でも決めたんだ。お前があきらめるまで絶対にやめないからな。

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