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俺が書こうとしていて、なおかつ書くとマズいことについて。

 先にいくつか投げ付けたが、おそらくそれらを読んだ上でこれを読んでこれを読もうという人はいないだろう。だからある意味では入門編のようなものかもしれない。
 概要をかいつまんで言えば、俺は昨年半年以上本意ではない半ばボランティアの建設作業に従事していた。俺は「一日色々運んでるだけで月で手取り20万だよ」と言われそこに赴いたのだが、実質はそれよりもっと過酷だった上に、俺はそもそも何の金か分からない総額30万円ほどを数回に分けて振り込まれただけだ。当初は日に1500円支払われるはずの雑費も早々に止まった。そうなると現場に出るしか飯の種はなくなる。現場に出ればどうにかその日は飯が食える。
 なかなか厳しいものだった。俺は不眠症だが、医者にもかかれず毎晩酒で潰れるしかなかった。
 俺は労働そのものには嫌悪がなかった。むしろ生まれて初めての完璧なブルーカラー、目の前に徐々に自分の労働の成果が立ち上がってくるのは単純に嬉しかったし、日中ズタボロになるまで働いて夜はチューハイ数本で眠れる。その生活のスタイル自体は割と好きだった。
 ただ問題はこの奴隷的な労働にはおそらく終わりがないということだ。同僚は小指がなかったり全身がカラフルな人ばかりだったし、まともな日当もなく、現場で食うコンビニ弁当と2日で1箱の煙草と晩飯とチューハイを買えば本来は支給されていた雑費の額ですらあっという間に消える。
 だから俺はドローンと監視カメラの間を縫って休憩中に雑木林の中を抜けて脱走した。どうも後で聞いた話によれば行方不明者が出たと警察まで出動したようだが知ったことか、21世紀にもなって蟹工船かそれ以下のような労働をさせる方が悪い。
 まぁだいたいそういう経験を昨年したために、だいたいのことは看過できるようになった。「あぁ、お前らもクソつまらん時間の使い方をしてるけど、どうにか暮らしてるんだなぁ」という風に。

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