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rakugaki_38「美術館へ行こう!【東京編】Bunkamuraザ・ミュージアム(前編)」

Bunkamuraザ・ミュージアム

私には「美術鑑賞」という唯一の趣味があります。
その「趣味」にもブームがありまして、第一次ブームが1985年~1987年。第二次ブームが2009年~2018年。
第一次ブームの1987年から第二次ブームがはじまる2009年まで20年以上の月日が経っていますが、その間にも何回かは美術観賞をしています。
ただ「ブーム」の期間は、集中的に「美術館」に出かけているので「ブーム」なんですね。
このブログでは、私の大好きな「美術館」に出かけて、観賞した「美術展」の感想とともに、「美術館」の魅力が一緒に伝えられればなぁと思っています。

Bunkamura ザ・ミュージアムは、映画館、コンサートホール、レストランなどのある大型複合文化施設 Bunkamura 内にある美術館です。
1989年(平成元年)に東京都渋谷区に開業しました。
Bunkamuraの建物の中心部は開放感ある吹き抜けになっており、地階にあるフレンチレストランのオープンテラス席がフロアに広がっていて、オープンテラス席を眺めながらエスカレーターを降りて行くと、美術館「Bunkamura ザ・ミュージアム」の入口があります。
私の現存する記録の中で、現在まで「Bunkamuraザ・ミュージアム」の企画展に出かけたのは15回です。
これは今まで鑑賞してきた「Bunkamuraザ・ミュージアム」の感想ブログ(前編)となります。


1)2009年11/10-12/23「ロートレック・コネクション、愛すべき画家をめぐる物語」

ロートレック・コネクション、愛すべき画家をめぐる物語

今年最後?の美術鑑賞になるかな?Bunkamuraザ・ミュージアムに行ってきました。

「ロートレック・コネクション、愛すべき画家をめぐる物語」は19世紀末のパリの世俗が伝わってくる展覧会でした。
ロートレックを囲んだ同時代の画家達の作品が数多く展示されていて当時のパリの流行とか歓楽街の女性達が偲ばれました。
アウトラインと構図の風刺画的世界を見ているうちに、なぜだか漫画界の巨匠、手塚治虫を思い出しました(変??なんか手塚治虫が書きそうな世界な気がして・・・)。


2)2010年3/6-5/9「美しき挑発 レンピッカ展」

美しき挑発 レンピッカ展

レンピッカ展、いや~、良かったです。
作品数は少ないですけど、何よりもこの美術展はタマラ・ド・レンピッカという一人の女性画家の生き様を描き出していました。
はじめはキュビスムをベースにした独特のギラギラした画風に馴染めませんでしたが、見ているうちに、モダンで先鋭的なレンピッカの世界に引き込まれました。
1920年代に女性には珍しく車を乗り回し、セレブな方達とお付き合いし、ファッションに強い興味があり、自己主張の強い女性。
自らの写真も沢山撮らせています。雑誌にも取り上げられ、映画界に入り込む野心もあったみたいです。
そんなレンピッカも晩年に至るまで試行錯誤を繰り返し、画風を何度も変貌させています。
世界恐慌、第二次世界大戦、自らの鬱にも苦しみ何度も壁にぶちあたったのでしょう。
晩年までの絵を一通り見ると、不思議なことに野心的で絶頂期だった頃のギラギラした絵が懐かしくほろ苦く思われるのです。
「ピンクの服を来たキゼット」は少女の足の曲げ具合が不安感を募り、私の好きな画家、バルテュス(画集だけで本物見たことないんですけど)に通じるところがあります。
「赤いチュニカ」は大胆な構図に目を奪われます。
ポスターにも採用されている「緑の服の女」も非常に緑色のコントラストが効いていて、この世に怖いもの無し的な女性の強さが表現されていました。

好き嫌いが分かれるかも知れませんが、これはちょっとオススメかも!
と思える素敵な美術展でした。

追記
その後2014年に京都市美術館の「バルテュス展」で、念願のバルテュスを鑑賞することができました。


3)2010年5/18-7/11「ストラスブール美術館所蔵 語りかける風景」

ストラスブール美術館所蔵 語りかける風景

ストラスブール美術館所蔵「語りかける風景」コロー、モネ、シスレーからピカソまでです。
ストラスブールはフランスのアルザス地方の文化都市で、
まとまったかたちで紹介されるのは日本で初めてのことだそうです。

語りかける風景って素敵な言葉じゃありません?
自然から語りかけてくるような風景画!
フフフ
めちゃ憧れます。
私、風景画って描くのも観るのも苦手なんですよね。
どこに焦点を合わせたらいいのか分からない
ターナーって有名な風景画家さんがいて、昔美術展も観たんですが
綺麗だなとは勿論思うんですよ!
でも、それ以上の感慨に至らないんですよね。
つくづく自分の煩悩さが嫌になります。

リベンジな気持ちで今回の美術展に挑みます。
今回の美術展、「窓からの風景」「人物のいる風景」「都市の風景」「水辺の風景」「田園の風景」「木のある風景」の6つの章で構成されています。18~20世紀の有名、無名な画家達が入りみだった風景に絞った共演です。「人物のいる風景」の中では、これ風景画?っていう感じの絵もありましたが、こういう編集の仕方はありだと感じました。
風景画と言っていいのかどうか分かりませんが、「人物のいる風景」の中でモーリス・エリオの「年老いた人々」が、赤毛のアンを想わせるような情緒があって素敵でした。

多分、訪れた人によって語りかける風景がそれぞれにあるんだな、と思うとちこっと嬉しくなる美術展でしたよ。


4)2010年7/17-8/29「ベルギー王立図書館所蔵 ブリューゲル版画」

ベルギー王立図書館所蔵 ブリューゲル版画

5月にBunkamuraで「語りかける風景」を観たとき、次はこれを観よう!と決めていました。
だって謳い文句が「400年前のワンダーランドへようこそ」ですよ?
ちょうど3Dの「アリス・イン・ワンダーランド」を観た後でしたから「ブリューゲル を観ない訳にはいかない!」と思ってしまっても仕方ないじゃないですか(笑)

入口からブリューゲルの版画を使った動画映像を流してます。
期待高まりますね。
初期の頃の風景画から始まります。
やがて寓話や神話を題材にした世界を描くようになったんですね。

美術展はブリューゲルが創造した謎の生き物が、あちこちにアイコン的に使われてます。
ソファーのカバーも謎の生き物がプリントされたもの。
めちゃ凝ってます。
あと、あれなんて言えばいいんだろ?
観る向きを変えたら絵が変わるやつ。
謎の生き物をそれで展示していたりで、遊び心あります。
ただ、思ったより作品が小さく細かい描写なので、絵に近づいてじっくり観なければなりません。
その為、行列が出来てしまうんですね。
それと謎の生き物をアイコンのように散りばめた演出をされている割に、(作品の展示数は多いのですが)謎の生き物が出てくる作品って少なかったのが残念でした。

もっと奇妙な生き物の絵を観た~~~い・・・です。


5)2012年6/19-7/29 「スイスの絵本画家 クライドルフの世界」

スイスの絵本画家 クライドルフの世界

「ベルギー王立図書館所蔵 ブリューゲル版画の世界」にBunkamuraザ・ミュージアムに行ったのが2010年7月22日。
ほぼほぼ2年降りのBunkamuraになります。
天気も悪いですし、朝イチで行ったらそんなに混んでいませんでした、
こちらも今月29日、来週の日曜日で終了。
滑り込み美術鑑賞が続いています。

絵本画家エルンスト・クライドルフ(1863-1956)。
スイスではいまでも子供たちに愛され読みつがれる、国民的な絵本画家らしいです。
19世紀から20世紀初頭にかけての、ヨーロッパにおける絵本の黎明期を代表する一人として、評価の高いアーティストとして紹介されていました。
本展は、スイスで育まれた画家クライドルフの作品世界をベルン美術館寄託の作品を中心に約220点でたどる日本で初めての大規模なクライドルフ回顧展らしいです。

なかなかにカワイイ世界観。
まさにザ・メルヘンといった感じです。
インパクトには欠けますが、繊細で美しい世界ですね。
植物や昆虫など小さな生き物たちにスポットを当てていて、それらをとても愛しているのだなと感じました(^-^)

休日の空いている美術鑑賞、ちょっと優雅な気分になりますね。


6)2012年8/4-10/8「国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展」

国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展

こちらも10日後には終わる美術展です。
おそらく、1番通っている美術館のBunkamuraザ・ミュージアム。
前回は2ヶ月程前のクライドルフ展。
同じく、終了間際の美術展の鑑賞が続いてます。
久し振りの渋谷に、やっぱり銀座より年齢層が若いんだなぁ~って思いました。
当たり前なんですが。

さぁ、レーピン展ですが見渡す限り、人物画、人物画。
ここまで肖像画だらけの美術展も、初めてのような気がします。
19世紀後半から20世紀初頭の混沌としたロシアを生きたイリヤ・レーピン(1844‐1930)は、近代ロシア絵画を代表するリアリズムの旗手として活躍したそうです。
この美術展はロシア美術の殿堂であり、世界最大のレーピンのコレクションを誇るモスクワの国立トレチャコフ美術館より、画業の初期から晩年に至る様々なジャンルの油彩画と素描約80点により構成される、過去最大の本格的なレーピン回顧展ということです。

いや~、少々劇場的。
でも抑制の効いた、ドラマチックな絵画構成。
派手でもなく、フィクションという訳ではなく、でもそこに画家の意図を感じる、そんな画風。
ただの人物画に留まらない、だから人物画ばかり観ても飽きません。
多分この方は器用な方。
画風も好きに変えられるような気がします。
入ったときは、あれっ?レンブラントもあるの?って思ったら模写でした。それもセンスの良い写し方。
あぁ、この方は器用に違いないと、そのテクニックを感じとって思いました。

ポスターになっている「休息-妻ヴェーラ・レーピナの肖像」は奥様の肖像画。
下絵は目を開けていたらしいのですが、モデルをしていた奥様が寝てしまい、そのまま寝入っている目をつぶった絵になったそうです。
何だか愛情たっぷりですね。
同じく素敵だなと感じた「あぜ道にて-畝を歩くヴェーラ・レーピナと子どもたち」も自分のご家族を描いた素敵な絵。
本当、田園風景と奥様とお子さんが溶け込んだ、とっても微笑ましい絵なんです。

かなり私のフィーリングに近しい方だなと親近感を感じつつ、そういえばメインの絵にも独占で観られることはとても幸せなことだと思いました。


7)2012年10/20-12/9「マンチェスター大学 ウィットワース美術館所蔵 巨匠たちの英国水彩画展」

マンチェスター大学 ウィットワース美術館所蔵 巨匠たちの英国水彩画展

この美術展は4月7日~6月24日まで岡崎市美術博物館、7月14日~9月24日まで島根県立石見美術館で展示した後、10月20日からBunkamuraザ・ミュージアムで開催しています。
最近ずっと終了1週間前の美術鑑賞が続いていましたが、こちらの終了は12月9日。
ようやく、終了間際ギリギリの美術鑑賞から追いついてまいりました。Bunkamuraザ・ミュージアムが終了したら、新潟県立万代島美術館に行くらしいです。
来年の3月10日まで開催するらしいので、日本の中でほぼ1年間キャラバンすることになるんですね。

こちらの美術展では、ターナーをはじめとする英国水彩画を代表する多くの画家たちの作品を展覧します。
ラファエル前派の画家であるロセッティ、ミレイ、ハントやバーン=ジョーンズなど日本でもよく知られる人気の画家たちの作品もあります。
いや、風景の水彩画だけで結構な作品数!
18世紀から19世紀の英国の巨匠たちの水彩画、約150点の作品が勢揃い。
見応えがあります!
油絵と違い水彩画は描いてから修正ができませんから、確かなデッサン力と色彩感覚を要します。
もの凄く描き込まれていて、精妙な建物や風景と繊細な色に包まれた絵の数々。
観ていて、こんな風に描けたら楽しいだろうなと、不遜な思いに浸ってしまいました。
水彩画ですのでそこまで大型の作品はないのですが、何せ点数がありますし繊細に描き込まれているので1点づつ近づいて観たりで、思った以上に見応えのある美術鑑賞となりました。

しかし日曜日の渋谷は人が多いですよね~。
駅前のあの人だかりを思うと、美術館は空いている方だと思います。
美術鑑賞が終わって外に出て、美術館の周りを何気なく歩いていると「戸栗美術館」の案内板が目に飛び込んできました。
近くに違う美術館があるんですね。
陶磁器専門の美術館みたいです。
私はあまりそちらの方は興味がないので、外観だけ拝見して帰路につきました。


8)2013年3/9-4/21「ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア」

ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア

Bunkamuraザ・ミュージアムはしょっちゅう来ているつもりで、実は5ヶ月振りなんですねぇ。

ルーベンスといえば、「フランダースの犬」のネロが、死ぬ前にどうしても観たいと願った絵の画家。
昔、初めてルーベンスを観るとき、どのような絵なんだろう?とドキドキしました。
その感想は・・・、なんて脂っこくて肉肉しいんだと。
あの草食系男子のネロが憧れた絵画とは思えない、肉食系絵画だと感じた覚えがありました。
まさに西洋人とアジア人の違いを見せつけられた感じです。
その時に、ルーベンスといってもその時代は工房での作品づくりが大半で、ルーベンス本人が関わっているかどうかは不明な作品も多数あるということで、なんだぁ~と感じた思い出があります。

美術展の中に2、3点ルーベンスの作品があるパターンは多いのですが、今回は「ルーベンス」の冠を持った贅沢な美術展です。
17世紀バロック時代のヨーロッパに名声をとどろかせた画家「ペーテル・パウル・ルーベンス」。
ルーベンスは、大規模な工房を組織して、数々の傑作を生み出しました。
入ったところにまず、ルーベンスの自画像が目に飛び込んできます。
自画像の画家名を見ますと、「ペーテル・パウル・ルーベンス(工房)」。え?
工房って・・・じゃあ自画像にならないんじゃ?なんて思ってしまいました。
ま、どれだけ本人の手がかかっているのかは不明ではありますが。
3分の2が油絵、残りの3分の1が版画でした。
そして以前感じた脂っこさは、今回の美術展では感じませんでした。
以前、あれほど肉肉しいと感じたのに、今回の美術展ではわりとあっさりに感じました。
愛する妻を描いた晩年の作品、「毛皮をまとった夫人像」とか「聖ドミティラ」とか、こういう静かな絵も描いていたんだなぁと。
ルーベンス作品といえば、ドラマティックで躍動感のある絵が多いですから。
「復活のキリスト」は見応えがありました。
こんな風に堂々と正面から、復活したキリストを描くなんてなかなか思いつかない構図。
あと、ルーベンスではありませんが、優れた弟子であったヴァン・ダイクの「悔悛のマグタラのマリア」も良かったです。

今回もまた入口まで戻って、2周目の鑑賞を終えて後を去りました。


・・・後編に続く

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