保護猫カフェ:人とペットの共生関係、そして、保護活動そのものも持続可能に。活動を気軽に楽しみつつ支援できる仕組み。(CASE: 51/100)
▲「保護猫カフェ」とサステナビリティ (CASE: 51/100)
「猫を飼いたい」と思った時、皆さんはまずどこへ行きますか?すぐに思い浮かぶのは、やはりペットショップでしょうか。もしくは、街の掲示板で里親募集の貼り紙を探してみるかもしれません。実は、それ以外にも新たな飼い主を待つ猫と出会える場所があります。今回はそんな場所の一つ、「保護猫カフェ」をご紹介します。
「保護猫カフェ」とは、保護された野良猫や捨て猫と触れあい、希望すれば審査を経て里親になることができるカフェのことです。2007年に沖縄でオープンした非営利目的の猫カフェが始まりとされています。その後、保護団体による猫カフェの店舗が各地でオープンし、現在では全国さまざまな場所に保護猫カフェが存在しています。
私は5年ほど前に保護猫カフェの存在を知ってから、猫を飼うならぜひ保護猫カフェの猫にしたいと思っていました。その後実際に保護猫カフェから猫を譲り受け、今も一緒に暮らしています。
私の場合のように、保護猫カフェは猫を飼いたい人が保護猫と出会える「場」となり、行き場の無い猫を減らすことに貢献しています。実際に統計を見ると、2005年と比較して2020年度の猫の殺処分数は約11分の1に減少し、譲渡・返還数は約6.4倍に増加しています(環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」参照)。保護猫カフェを含めた殺処分を減らす取り組みにより、少しずつ状況が好転していると考えられます。
また保護猫カフェは、保護団体の活動を支援する場としても機能しています。ただカフェを利用するだけでも、利用料が保護猫活動の支援となるのに加え、カフェや団体に対してペットフードなどの寄付を受け付けていることもあります。猫好きの方が、様々な理由により猫を飼わない・飼えない場合であっても、里親が見つかるまでの保護猫の暮らしに貢献できるのです。
このように、保護猫カフェは、人とペットの共生関係をサステナブルにし、(基本的にボランティア活動に支えられている)保護活動そのものを持続可能にしています。特に、活動を気軽に楽しみながら支援できる仕組みは、他の分野でも取り組みを長く続けるためのヒントになりそうです。
▲参照資料
https://www.daiken.jp/.../nekogasukinaie/article/neko06.html
https://www.env.go.jp/.../2_data/statistics/dog-cat.html
▲キュレーション企画について
イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。
2022年のテーマは「サステナビリティ」です。
▲今回のキュレーション担当者
i.lab デザインリサーチャー 永田彩乃
▲i.labについて
i.labは、東京大学i.school ディレクター陣によって2011年に創業されたイノベーショ ン創出・実現のためのイノベーション ・デザインファームです。東京大学i.school(2017年4 月 より一般社団法人i.school)が世界中のイノベーション教育機関や専門機関の知見を研究しながら独自進化させてきた理論知と、i.labが産業界で磨いてきた実践知の両輪で、企業向けにイノベーションのためのプロジェクトを企画·運営しています。
会社名:イノベーション・ラボラトリ株式会社
代表取締役:横田 幸信
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