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びん保証金:少額の金銭的動機付けが良い循環の駆動力を生む(CASE: 19/100)

▲「びん保証金」とサステナビリティ

30年以上前のことです。私が小学生の頃、近所の小売店にコカコーラの1.5Lの空き瓶を持って行くと、30円をくれました。それは当時の小学生にとっては、いい小遣い稼ぎになっていました。
現代のコンビニエンスストアでは、ジュースはペットボトル、ビールは金属製のカン容器が大半です。それらは容器種別を考慮して回収され、リユースが試みられています。一方で、それを行うユーザーの動機付けは、「小学生の頃の30円」ほどには、十分ではないかもしれません。

現代においても、瓶容器については、容器保証金制度と呼ばれる仕組みが導入されています。主に飲食店などが、ビール瓶などをメーカーに返却することで、商品代金の一部の返金を受けられるようです。一般ユーザーでも、私が小学生の頃のように、ビール瓶やジュース瓶などを小売店に返却することで、一部の返金を受けられる店舗もあるようです。しかしながら、一般ユーザーにとっては、コンビニエンスストアでのペットボトルやカン容器の購入が圧倒的に多いので、そうした瓶の返却行為は、私たちの生活ルーチンには入っていないというのが現実でしょう。

びん保証金制度の優れた点は、一般ユーザーが容器回収に貢献する「動機付け」が設計されていることです。
最近ネット記事で見かけたのですが、フェスにおいて、プラスティックの容器にもびん保証金制度のようなものを導入することで、ゴミの散乱を予防することが出来たとのこと。仮にプラスティックの容器を会場に捨てている人がいても、その制度について理解している別の人が、それを拾って現金化することができたためです。
通常の瓶の場合の仕組みでは、その後再利用することが目的でした。しかし、その日限りのフェスでの、プラスティック容器回収の仕組みは、必ずしも再利用のためだけではなく、その場所を清潔に保つこと、後片付けのコストを減らすことなどにも寄与したことでしょう。

環境対応の法規制や企業の取り組みが盛んになってきました。一方で、生活者の価値観や行動変化がないと、環境面での持続可能な生活は成立しません。そうした時代においても、ずいぶん昔から生活者の自発的な行動を誘発してきた容器保証金制度の可能性は、まだまだありそうです。

▲参照資料

https://www.asahibeer.co.jp/customer/post-27.html

https://www.brewers.or.jp/returnable/deposit.html

https://www.env.go.jp/council/36pet-junkan/y360-03/mat01.pdf


▲キュレーション企画について

イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。
2022年のテーマは「サステナビリティ」です。

▲今回のキュレーション担当者

i.lab マネージング・ディレクター 横田幸信

▲i.labについて

i.labは、東京大学i.school ディレクター陣によって2011年に創業されたイノベーショ ン創出・実現のためのイノベーション ・デザインファームです。東京大学i.school(2017年4 月 より一般社団法人i.school)が世界中のイノベーション教育機関や専門機関の知見を研究しながら独自進化させてきた理論知と、i.labが産業界で磨いてきた実践知の両輪で、企業向けにイノベーションのためのプロジェクトを企画·運営しています。

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