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本だったノート:「昔、誰かに読まれた本だった。」行く末のわかりにくい古紙回収ではなく、身近なものへ生まれ変わらせる意義とは。(CASE: 98/100)

▲「本だったノート」とサステナビリティ

「本だったノート」とは、その名の通り、本として読まれたのち、古本としては値段が付かずに「古紙回収にまわすはずだった本」を材料として作られたノートです。
オンラインを中心として、全国から本の買取・販売を手がける株式会社バリューブックスには、1日に2万冊もの本が全国から届くのだそうです。しかし、そのうちの半分は買い取ることはできずに、古紙回収にまわしてしまっている…その現状に何かできることはないか、別の形で価値を生むことができないか、と募る思いから生まれたのが「本だったノート」です。
かつて私もバリューブックスから本を購入した際に同封されていた広告を見て、本に対しての愛情が強そうな会社だな…という印象を持っていました。今回このノートが制作されたことを知り、あらためてその情熱を再確認したのです。

古本が材料として使われているこのノートですが、表紙カバーの印刷には廃インクが使われています。また、テスト印刷(濃度調整)をやめることでインクと紙の無駄使いを削減し、偶然に生まれるグラデーションで、一つ一つのノートに唯一無二のデザインを生み出しています。

また古本を水などと混ぜて攪拌し、一度液体状にしているものの、材料として文庫本が多く使われているために、ノートのページ上に小さな文字が残っていることがあります。初めからノートとして生まれたノートであれば、余計な文字が既に印刷されていると不良品になってしまいます。しかし、このノートでは、その小さな文字が「味」となるのです。このノートがかつて本当に本だった証でもあり、いったいどんな本のどんな場面に使われていた活字だろう、と思いを馳せることができます。
ただ書き込んで使用するだけではなく、隠れている活字を探して、誰かに読まれていたはずの文字に出会えることは、他のノートも見たくなったり、人に話してみたくなったりして、コミュニケーションを広く促すことにもつながるのではないでしょうか。

「本だったノート」の試みは、古本が、たどり着く先のわかりにくい古紙再生ではなく、「本だったとわかる小さなかけらを載せたノート」という、身近で日常的に使える存在に生まれ変わることで、人々の社会問題への関心をより高められると考えます。
私も幼い時に、ペットボトルから作られたフリースの話を父から聞き、とてもびっくりしたとともに、フリースを見かけるたびに「あれは何から作られているんだろう?」と気にするようになりました。
モノの循環を考える時、人々にとって馴染みのあるモノに生まれ変わることで、「自分事」として気づき、興味を持つきっかけになり、知見を広められるのではないでしょうか。問題意識を、より身近に持つことが、よりサステナブルな生活につながっていくと私は考えます。

▲参照資料

今回のノートができるまでの過程が詳しく紹介されています。

▲キュレーション企画について

イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。

2022年のテーマは「サステナビリティ」です。

▲今回のキュレーション担当者

i.labインターン 前田晏里

▲i.labについて

i.labは、東京大学i.school ディレクター陣によって2011年に創業されたイノベーショ ン創出・実現のためのイノベーション ・デザインファームです。東京大学i.school(2017年4 月 より一般社団法人i.school)が世界中のイノベーション教育機関や専門機関の知見を研究しながら独自進化させてきた理論知と、i.labが産業界で磨いてきた実践知の両輪で、企業向けにイノベーションのためのプロジェクトを企画·運営しています。

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