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Too Good To Go:無関心層が自然とフードロスに関心を持つように。生活者・お店側双方の経済性に基づいた、革新的仕組み。 (CASE: 44/100)


▲「Too Good To Go」とサステナビリティ 

Too Good To Goというデンマーク生まれのアプリをご存知でしょうか?地球上からフードロスをなくすことをビジョンとして掲げる開発者によって生まれたこのアプリ。レストランやベーカリーで作りすぎて廃棄される予定の料理と、より低価格で購入したい生活者とをつなげています。

2015年末、イギリス人の創業者2人がデンマーク留学中にサービスローンチすると、EU圏でサービスを拡大し、2020年秋には北米にも進出。現在、5930万人のユーザーに対して1億4600万食の廃棄食材を減らしたという実績があります。

このアプリのサービスのキモは何といっても、毎日5人くらいしか予約ができないことと、受け取れるメニューは、その日に残っているものの中からお店が決めることにあります。
福袋のように、お客側はメニューを選べないようにすることで、お店側の「いつものお客さんが定価で買わなくなってしまう」という不安感を解消しました。

私がこのサービスを初めて知ったのは、ニューヨークの悲しい食品事情に強い課題を感じていた時でした。例えば、サラダのパックは底の方の野菜が傷んでいたり、お肉はドリップが滴るほど出ていたりしたのです。高いお金を払えば新鮮な食品を購入することもできますが、そのような生活ができる人は限られてしまいます。

そんな中、知人から「このアプリすごいよ!美味しいと噂の〇〇のパンがすごく安く買えるんだ!」と聞いた時の衝撃は大きく、まさにこの言葉にこそToo Good To Goの「革新性」が凝縮されているように思います。
それは、単純に、生活者がより安くより良いものを購入できたり、フードロスを減らしたりするだけにとどまりません。
「革新性」は、生活者にとって魅力的なお店をラインナップすることで、フードロスに関心のなかった人でさえも、自然とフードロスを減らす行動ができるようなオペレーションを構築しているところにあります。

生活者とお店側のそれぞれの経済性を深く理解し、双方にとって好ましい形で持続するよう、重要なキープレイヤー(より魅力的なお店)を地道にラインナップしていく…。「これまでは関心がなかった人にも、フードロスを知ってもらうこと」という壮大なテーマをミッションに掲げているからこそ、できることなのかもしれません。
そして、サステナビリティを真に叶えようとするならば、早期から、「無関心層」という最も難しい壁を乗り越えなければならないのかもしれません。

▲参照資料

Too Good To Go

ANNNewsCH「ゴミ大国アメリカで変わり始めた「捨てる」#リアルアメリカ(2022年4月16日)

▲キュレーション企画について

イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。

2022年のテーマは「サステナビリティ」です。

▲今回のキュレーション担当者

i.labビジネスデザイナー瀬川泰正 Note: @segayasu

▲i.labについて

i.labは、東京大学i.school ディレクター陣によって2011年に創業されたイノベーショ ン創出・実現のためのイノベーション ・デザインファームです。東京大学i.school(2017年4 月 より一般社団法人i.school)が世界中のイノベーション教育機関や専門機関の知見を研究しながら独自進化させてきた理論知と、i.labが産業界で磨いてきた実践知の両輪で、企業向けにイノベーションのためのプロジェクトを企画·運営しています。

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