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大学生「デザイン会社deアイデアの学校」

インターンみたいなゼミのような夏休み企画と題して

夏休み大学生インターンは「ゼミ形式」の取り組みで課題テーマに向き合い作品を制作していく。今年も昨年同様「OAC学生広告クリエイティブアワード」というコンテストに挑む。テーマは3つあるのだが、とっつきやすさや案の広げ方を考慮して「銭湯」に絞った。事前の書類選考を通過してゼミに参加したのは9名の学生。デザイン系が半分以上。経営、心理、まちづくりに関わる学生もいる。札幌圏の大学からがメインだが京都、長岡、金沢からも来てくれた。「企画する」が唯一のタスクなので専攻や出自は問わない。多様性があるほうが新鮮な交わりが期待できる。だから告知段階から間口を広げて募集していた。

2週間の集中ゼミ。 初日は「企画とは?」勉強会

開催期間は8月末から全2週間で出社日は隔日とした。出社しない日はアイデア出しやブラッシュアップに専念する。初日は「企画のコツ」と題して僕からお話。テーマをどう捉え「何を伝えるか」というコンセプトを考えるのが大切なため、キャッチコピーづくりの基本から話した。「WHAT TO SAY」「HOW TO SAY」の方法論があるが、特に前者の「WHAT TO SAY」はいかに広く深くユニークに物事を見ることができるか、その「視点」が重要だ。名作といわれる広告や最近Twitterで話題の広告事例を挙げて、この広告の「WHAT TO SAY」は何かを「逆引き」「逆読み」するワークを行った。こうすることで企画の流れや広告の「構造」がみえてくる。作られている背景や仕組みを理解しないことには企画を組み立てることはできない。

途中「コトバワークショップ」にも参加

「銭湯」のお題を伝えて、企画の根幹を成すキャッチコピーの宿題を出して1日目は解散。実は今回の参加者には翌日開催の「コトバワークショップ」にも参加してもらった。このイベントは学生限定のキャッチコピーづくりイベントで2本のキャッチコピーを1日がかりで生み出す。ゼミ初日のコツを活かして物事を多角的に見る視点や企画力を養うには絶好のチャンスだと思い、ゼミとコトバワークショップを同じ日程に組み込んだ。参加したゼミ生たちはコトバの海にどっぷり浸かってそれぞれに“頭脳筋肉”を鍛えていた。

「コトバワークショップ」に参加した“ゼミ生”たちと。終了後は充実した疲労感で満たされる。

2日目以降は企画のフィードバックを繰り返す

2日目はキャッチコピーのフィードバック。全員の案を見ながら自分が良いと思うものを選び、僕からも選んだものを解説していく。実はこの「選ぶ」がとてもむずかしい。作る視点とはまったく違い、何がよくて何がよくないのか、自分の中に基準をもたなくてはいけないからだ。好き嫌いではなく、より「伝わる」案を選ぶフェーズはリテラシー(目利き)を高めるのに絶好のトレーニングになる。

よいキャッチコピーはよい企画のコンセプトに

それぞれ選ばれたよいコピーは、そのまま「よい企画」となる。3日目以降はその企画コピー案をもとにビジュアル案を発案してもらい、再び集まってフィードバック。ビジュアルと言ってもいきなりがちがちにデザインせず、ラフスケッチ(ポンチ絵サムネイル)で出してもらう。解像度を粗く捉えることで「何を描けば伝わるか」だけを考えやすくなるからだ。キャッチコピーの説明のような絵はつまらなくなる。言葉で表現できないような絶妙な「距離感」をビジュアルで補うのが理想。絵と言葉は相互に高め合う相関関係にある。

コピーが決まれば、絵もつくりやすくなる

このようにひたすらに案をブラッシュアップしながら「若者が銭湯に行きたくなる広告」をつくっていった。グラフィックデザインが得意な学生はそのまま原稿を制作する。非デザイン系の学生はグラフィックデザインのできる人に依頼。共作とした。ペアで制作すればディレクションや依頼の仕方もまた学びになる。コンテストの締切は11月なのでこれを書いている時点ではまだ審査は行われていない。皆、受賞を目標にモチベーション高く2週間のゼミ期間を完走した。

↑ 学生だけのアイデアコンテストを課題に設定


道内はもとより石川、京都、新潟から全9名が参加。学年はバラバラ。会場はインプロバイド。

参加学生のアンケートの声を紹介します

広告企画の基本技術や制作プロセスを学んだ今回の連続ワークショップ。アンケートを一部紹介したい。

★「伝わるためには?という視点で言葉選びやビジュアルを考える方法を学ぶことができました」★「いろいろな大学の先輩たちの考え方や個性に触れた。その個性は面白さである一方で相手(企業)を第一に考え、特には個性を消す必要があり、なるほどと思いました」★「コンペやインターンに対するハードルが下がり、自分にはのびしろがあるんだと実感できた」★「人とともに作業するのは苦手ですが、人の意見やアイデアを知るのは好きなんだと自分のことが少しわかりました」★「以前作ったポスターはテーマの言い換えで止まっていたので、テーマを深堀りして考えことができてよかったです」★「自分の感覚と世間の感覚のズレを知れた」★「コピーは、いいこと言わなきゃ、と思っていたが今は肩に力を入れずに考えるようになった」★「ダジャレや韻を踏んでおもしろくするだけじゃダメで、共感や納得が一番心に残りことも学びました」★「若い人が好きそうなコピーという話題になって“本当に好きだろうか”と議論されたことが記憶に残っています」★「世の中や相手を考える、一歩外から見てみる力が付いてきた気がします」★「制作を依頼されるときは期待を超える案を出す必要があることを知った」★「好き、面白いだけじゃなく、伝わるかどうか、傷つけないかという視点が持てるようになった」★「考えを言語化するのが苦手だったのでコピー制作で自分の考えを深堀りして伝えることができて今後も役立つと思う」★「はじめて広告について真剣に学んだ」★「細かく考えることでいろんな見せ方ができる。それは一日だけで限界があって普段の生活の中で急に浮かぶこともある」★「街にあふれる広告をみて、これはどうしてこうなったんだろうとよく考えるようになりました」

参加してくれたみんなありがとうございました。それぞれの活躍を楽しみにしています。そしてまた次の夏休みも新たなメンバーでやります。

*インプロバイドは札幌市のデザイン会社です。採用情報はこちら↓


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