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読みがえり

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読んだ本のレビュー(書評)をまとめています。雑多な書棚ですが、興味があればどうぞ!※注意🚨紹介している本を一度読んでから開くのをオススメします。限りなくネタバレに近いので笑笑
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#戦争

読書:『最終戦争論』石原莞爾

読書:『最終戦争論』石原莞爾

①紹介

陸軍軍人の石原莞爾による『最終戦争論』(中公文庫BIBLIO20世紀、2001年)を紹介します。近い将来、世界規模の最終戦争が起こり、のちに恒久平和が訪れる。彼の思想は長年の戦争史研究と熱烈な日蓮信仰に基づき、太平洋を舞台に繰り広げられる日米両国の最終戦争を予見するものでした。


②考察

● 「戦争発達の極限に達するこの次の決戦戦争で戦争が無くなるのです」
➢ 「この」は第二次欧州

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読書『未完のファシズム』片山杜秀

読書『未完のファシズム』片山杜秀

①紹介

思想史研究者の片山杜秀氏による『未完のファシズム-「持たざる国」日本の運命』(新潮選書、2012年)を紹介します。第一世界大戦後の日本が次第に神がかっていったのはなぜか。それを支えた軍人たちの戦争哲学とは一体何か。「持たざる国」の興りと終わりを照射する第16回司馬遼太郎賞受賞作です。

②考察

● 「歴史の趨勢が物量戦であることは明々白々。しかし日本の生産力が仮想敵国の諸列強になかなか

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読書:『二十四の瞳』壷井栄

読書:『二十四の瞳』壷井栄

①紹介

小説家・壷井栄による『二十四の瞳』(角川文庫、2007年)を紹介します。昭和のはじめ、「瀬戸内海べりの一寒村」の学校に赴任してきた新米の女性教師・大石久子と十二人の子どもたちとが織りなす温かい日常、そして彼らが見た戦争。一つまた一つと失われていく瞳に焼きついたその悲惨さを私たちも共有してみませんか。


②考察

● 「大石先生、あかじゃと評判になっとりますよ。気をつけんと」
➢ 「あ

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読書:『佐藤優の地政学入門』佐藤優

読書:『佐藤優の地政学入門』佐藤優

①紹介

元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏による『働く君に伝えたい「本物の教養」佐藤優の地政学入門』(Gakken、2022年)を紹介します。なぜウクライナやイスラエルは戦火に巻き込まれるのか?米中対立の背景には何があるのか?答えは地理にありました。本書は地政学に基づき、変化の絶えない国際情勢を読み解く一助となるでしょう。


②考察

● 「対象とする国のイデオロギーは変わっても、その地理的

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読書:『第三次世界大戦はもう始まっている』E.トッド

読書:『第三次世界大戦はもう始まっている』E.トッド

①紹介

フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏による『第三次世界大戦はもう始まっている』(大野舞訳、文春新書、2022年)を紹介します。2年前に起き、今も終息の兆しが見えないウクライナ戦争。その原因は何か?アメリカとロシアの思惑は?突入してしまった新しい戦争の経過とこれからを人口動態の観点から探ります。


②考察

● 「なぜ、ウクライナの人々はロシアに戻りたがるのでしょうか。プーチン

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追悼:『日本人のための平和論』J.ガルトゥング

追悼:『日本人のための平和論』J.ガルトゥング

①紹介

ノルウェーの平和学者ヨハン・ガルトゥングによる『日本人のための平和論』(御立英史訳、ダイヤモンド社、2017年)を紹介します。彼が先月17日(享年93歳)に亡くなったことを受けて本書を手に取りました。その業績を振り返り、憲法9条に代わる日本の平和とは何か考えてみましょう。


②考察

● 「日本政府が言う『集団的自衛権』は、(略)事実上の軍事同盟であり、正直な言葉に直すなら『米国によ

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