読書『未完のファシズム』片山杜秀
①紹介
思想史研究者の片山杜秀氏による『未完のファシズム-「持たざる国」日本の運命』(新潮選書、2012年)を紹介します。第一世界大戦後の日本が次第に神がかっていったのはなぜか。それを支えた軍人たちの戦争哲学とは一体何か。「持たざる国」の興りと終わりを照射する第16回司馬遼太郎賞受賞作です。
②考察
● 「歴史の趨勢が物量戦であることは明々白々。しかし日本の生産力が仮想敵国の諸列強になかなか追いつきそうにない。このギャップから生じる軋みこそ、第一次世界大戦終結直後から日