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飯田線各駅訪問

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飯田線の駅紹介です! 駅の写真のほか、簡単な説明、私の訪問時の経験や思ったことなどを、一駅ずつまとめていきます。 各駅の番号は、豊橋から数えて何駅目かを表しています。飯田線には全…
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【飯田線各駅訪問】38 大嵐駅

【飯田線各駅訪問】38 大嵐駅

魅力の尽きない“秘境駅⁉︎”

 ここは、静岡県浜松市天竜区水窪町奥領家という長い地名の場所に位置する、大嵐という駅。しかしせっかく長い地名を覚えても、駅の利用者は天竜川の対岸・愛知県の人々である。静岡県に所在しながらも、静岡県の人はほぼ利用できない立地にあるという非常に興味深い駅だ。
 また、駅名は「大嵐」と書いて「おおぞれ」と読むという、初見の人にはまず読ませる気がないほどの難読駅である。山深

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【飯田線各駅訪問】41 伊那小沢駅

【飯田線各駅訪問】41 伊那小沢駅

何もない、だけどずっと佇んでいたい

 信州に春を伝える伊那小沢駅。沿線民や地元民、私のような鉄道愛好家で無くとも、信州にはこの駅名を知っている人が少なからずいるだろう。そう、当駅の構内に植えられている「河津桜」は、長野県内で最も早く咲くカンザクラとして、毎年ニュースで報道されるのである。
 しかし、その実態を知っている人はそのうちの幾らであろうか。1日あたりの利用者数は片手でも数え切れてしまう程

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【飯田線各駅訪問】42 鶯巣駅

【飯田線各駅訪問】42 鶯巣駅

梅に包まれた難読駅

 ここは天龍村にある、鶯巣という小さな駅だ。それでも、村内5駅中3駅が“秘境駅”である天龍村においては、ここは比較的人気のある駅だといえよう。駅前には小集落が形成されており、国道もそこそこ交通量は多い。そんな中、草刈機の音が響き、草の臭いが漂う長閑な環境にこの駅はある。
 駅名が難読であることでも知られており、為栗や大嵐といった駅々と共に難読駅のひとつとして数えられている。こ

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【飯田線各駅訪問】43 平岡駅

【飯田線各駅訪問】43 平岡駅

巨大な駅舎を持つ街の中心地

 ここは天龍村の中心部に位置する、平岡という大きな駅だ。まず、“路線の中心”である飯田駅や、県内でも圧倒的な利用者数を誇る伊那北駅・伊那市駅は駅舎が平屋建てだというのに、この平岡という駅はなんと4階建てなのである。駅舎のサイズという観点だけから見れば、路線内では圧倒的に大きく、これは駅に温泉旅館が併設されていることによる。また、1階にはレストラン、2階にはお土産品売り

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【飯田線各駅訪問】44 為栗駅

【飯田線各駅訪問】44 為栗駅

湖を臨む無音の世界

 飯田線の旧三信電気鉄道区間は、天竜川の流れに沿って急峻な渓谷を進む。それがためこの路線内には高レベルな秘境駅が少なくない。ここもそうした駅と同じように、無人度抜群で山深い場所に位置するが、ひとつ圧倒的に違う点がある。それは、この駅は開放感を感じられることだ。
 駅前の天竜川の流れも他の場所とはまるで違い、川幅がとてつもなく広がり駅のすぐ背後にまで迫っている。駅周囲の地形こそ

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【飯田線各駅訪問】45 温田駅

【飯田線各駅訪問】45 温田駅

山間に広がる日常

 ここ温田駅は、長野県下伊那郡泰阜村に所在する駅だ。駅周辺には郵便局、警察署などが存在し、さらには天竜川の対岸には病院や高校などもあり、旧三信電気鉄道区間では最も利用客が多い。当然ながら特急も停車し、「都会」の部類となっている。そんな温田駅は天竜川対岸の阿南町の玄関駅であるのだが、なにしろその阿南町の人口減少が激しく、現在の利用は高校生の通学がほとんどを占めているようである。

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【飯田線各駅訪問】46 田本駅

【飯田線各駅訪問】46 田本駅

険しさに圧倒させられる

 毎年更新されている全国秘境駅ランキング。一時は駅までの外部到達路の存在しない駅を除けばトップにたったこともある田本駅だが、近年はランクを当初より大きく下げている。地図で見ると集落までの距離は短く、その道中も四国にあるほぼ同レベルの秘境駅・坪尻駅のような荒れた道ではない。その上、飯田線の駅だということもあるが通過する普通列車は決して多くはなく、「列車到達難易度」もそこまで

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【飯田線各駅訪問】47 門島駅

【飯田線各駅訪問】47 門島駅

時には原点へと回帰したい

 この門島駅は、私にとっては思い出深い駅の一つだった。泰阜村の中心部に程近い「アイパークやすおか」という公園からの帰り、この駅へと寄ったのだ。当時はまだ鉄道には詳しくはなくただ単に駅を見たかったというだけなのだが、可愛らしい待合室は当時の私の「お気に入り」だったのは覚えている。これが原点となりその後「飯田線秘境駅号」などに乗車し、他の多くの魅力的な駅を回っていくこととな

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【飯田線各駅訪問】48 唐笠駅

【飯田線各駅訪問】48 唐笠駅

誰もいない観光駅

 車窓は天竜川の景色とトンネルが瞬く間に交互に繰り返される。そんな中やがて列車は減速し、トンネルを抜けると誰もいない駅に止まった。線路に並走してきた天竜川は川幅を広げ、微かに音をたてながら雄大な流れを見せる。付近には人家と呼べるようなものは殆どなく、駅上方の立派な橋も交通量はごく少ない。そのような「秘境駅」とも言えるほどの環境だが、なぜか妙に大きい待合室がある。
 ここは主要道

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【飯田線各駅訪問】49 金野駅

【飯田線各駅訪問】49 金野駅

神聖なる秘境駅

 ここは秘境駅の一つとして数えられる、金野という小さな駅だ。飯田線の“優秀”な秘境駅の中でも、ここは利用者数が最も少ないことで知られている。その上私の出身地である飯田の市内にあるのだというのだから、一際特別感のある存在だと、個人的には思っている。
 この駅は、「飯田線秘境駅号」にて訪れたのが初訪であったが、その際には停車時間がごく短く、その上 人だかりの中であったため殆どこの駅を

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【飯田線各駅訪問】50 千代駅

【飯田線各駅訪問】50 千代駅

忘れられゆく路線の基盤

 駅員配置駅の天竜峡駅を出発した列車は、いきなり現れるトンネルに吸い込まれる。しばらくしてトンネルを抜けるといきなり眼下には天竜川が広がり、付近に人家は見えなくなった。やがて列車は減速を始め、この駅に止まった。ドアボタンを押すのは私だけ。恐らく車掌氏は、誰も降りないのではと油断していたであろう。私がホームに足を下すと程なくして列車が発車していった。その山々へ響く音がやがて

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【飯田線各駅訪問】51 天竜峡駅

【飯田線各駅訪問】51 天竜峡駅

魅力溢れる観光駅

 飯田線沿線では有数の観光地、名勝・天龍峡への最寄り駅(駅名は天『竜』峡)。駅舎の形もいかにも観光地と思わせるモダンな作りだが、これは昭和初期のものではない。平成の時代に過去の雰囲気を取り留めながら作られた、意外と新しいものだ。その完成度の高さが仇となってせっかくの「新」駅舎もそれほど新しくは見えないというのも何だか皮肉な話だが、駅員配置駅である上に利用客も多いので細かいところ

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【飯田線各駅訪問】52 川路駅

【飯田線各駅訪問】52 川路駅

近未来的な復興のシンボル

 ここは飯田市の南部に位置する、川路という駅だ。あまりにも真新しいホームに違和感さえ覚えるが、それは勿論開業時からのものではない。いや、強いて言えば「新川路駅」の開業当時からのものだ。
 昭和36年、伊那谷を中心に各地で多くの被害をもたらした三六災害。「暴れ天竜」の氾濫により、旧川路駅の駅舎は屋根まで水没したという。その後は水がひき、復旧工事も行われた後に運転再開となる

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【飯田線各駅訪問】53 時又駅

【飯田線各駅訪問】53 時又駅

綺麗なプライベートルーム

 「千代から時又までです。」「はい、2人で380円ですね。2人まとめて支払いますか?」一人当たり190円と小銭枚数が多くなってしまうため、車掌氏が気を配ってくださった。小銭と乗車券を交換しているうちに列車は川路駅を出発し、久米川橋梁をガタンゴトンと音を立てて通過する。程なくして列車が止まった。列車のドアが開き、薄暗いホームへと足を下ろす。久々の再訪だ。
 列車が発車し、

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