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#人間関係
【短編小説】フェイク、スライド、フェイク
透明な包み紙が幾重にも重なり、やがてわたしになってゆく。
この皮膚の下を流れるのは甘ったるいチョコレート菓子だろうか、それとも誰かの祈りだろうか。
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客間の灯りが消えた。
窓を閉め、頭からシーツを被ると聞こえ始める。一段、また一段。階段を上がる足音はふらついて不規則だが、着実に近づいてくる。わたしは固く目をつむる。
かっ、かっ、かっ。
扉を金属で引っ掻くような音と共に、薄暗い
【短編小説】圧力鍋の真実
貧乏ゆすりで筋肉痛になると知っている人がどれだけいるだろう。
いつも通り朝7時に目を覚ますが、体を起こそうとすると太ももとふくらはぎに激痛が走る。それは癇癪をおこしたときの娘のように手がつけられないタイプの痛みで、中途半端な態勢に腹筋が先に負けた。
妻のゆりが「あなた、朝ごはんー」と呼ぶのにも応えられないまま、足の違和感の正体を探る。昨日は気持ちよく晴れた秋の一日だった。
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