そこに彼らはいないのです
私はもう長い間、イタリアに憧れ続けています。
きっかけは、小学生の時に出会ったとある大好きな漫画です。そこからどんどんイタリアという国に興味を持ち、写真を眺めてはいつかその地を踏めることを夢見てきました。
たくさんの写真を眺める中で、いつも心に止まる風景があります。
それは、世界一美しい海岸と言われるアマルフィ海岸。
場所は南イタリア。どこまでも広がる輝くティレニア海、霞がかかる壮大な山々。ヨーロッパ様式とアラブ様式が絶妙に混ざり合う建物。
まるで宝石箱のようだ、という印象を受けました。中世において海洋共和国として発展したアマルフィ、天空の街ラヴェッロや古代遺跡の残るミノーリ、ナポリ王国の貴族たちの保養地ソレントなど、海岸沿いに広がるたくさんの美しい街。惹かれる気持ちは増すばかりです。
何度、この地で有名な手作りの革のサンダルを履き、鮮やかな色のワンピースをなびかせてこの街の路地裏の階段道を駆け下りる想像をしたことか。
そして高校の卒業論文ではイタリアに関する事柄を扱い、大学生になってからは九段下にあるイタリア文化会館のイベントにお邪魔したり、イタリア語のクラスを受講してみたり。
私のイタリアへの興味は尽きませんでした。
でも、こんなに好きなのにも関わらず、私はまだイタリアに行ったことがありません。
それはなぜか。私は旅行が趣味で、行きたい所を見つけたら必ずすぐに足を運ぶ人です。それなのになぜ、イタリア行きには踏み出せないのでしょうか。
もしかしたら、この躊躇いは自分の心中の葛藤が原因かもしれません。
私のイタリア好きは、もとはといえば漫画の影響です。その漫画の基本的な舞台は日本ですが、イタリアンマフィアをテーマにした漫画なので、イタリアとは切っても切れない関係にあります。
そして私は、この漫画が心から大好きです。一時期は心の支えでもありました。キャラクター、世界観、設定、全てに引き込まれ、セリフもそらで言えるくらい。
なのでもしかしたら、心のどこかで登場人物たちが実際に存在していてほしい、と願っているのかもしれません。
おかしなことを言っているのは分かっています。そんなことはありえないと分かってはいるけれど、イタリアに行ったら彼らが現実に存在しないことを知ってしまいそうで。
日本という身近な場所においては、彼らは完全に2次元の世界の住人です。何の抵抗もなく、現実と画面の中の世界を分けて考えられます。けれども、イタリアという遠く離れた国は、TVや本の中でしか見たことがないという点で、私にとって感覚的には2次元と同じなんです。
アマルフィ海岸の美しい街に憧れる一方で、私の中の「イタリア」には、彼ら登場人物たちが笑ったり泣いたりしながら毎日を生きています。
なので、実際にイタリアに行ってしまったら。
現地の空気を吸い、現地の人々と接したら。
もちろん、それは素晴らしいことです。ですが、今は2次元と同等の力しかない「イタリア」にしっかりと3次元が肉付けされ、私の作り上げた「イタリア」は見えなくなってしまうでしょう。
大切な心の拠り所だった彼らは、やっぱりどこにもいないんだ。信じてきた淡いお伽噺が砕かれ、現実を突きつけられてしまう怖さ。お伽噺はなくなり、確かなものとして色付けされてしまう不安。それが躊躇いの原因かもしれません。
そうは言っても、私ももう立派な大人。そろそろ夢から覚めなくてはいけません。もうあの頃の、みんなを心の支えにして懸命に生きた少女時代は終わったのです。
最近、この漫画を数年ぶりに読み返しているのですが、変わらず大好きだなと感じます。
こんなに大切に思える作品と出会えたことに、心から感謝です。
この出会いを十分に生かすにはどうしたらいいでしょう。
せっかくイタリアという国に興味を持ったのだから、イタリア語や文化、歴史、習慣などを学んでみてはどうだろうか。
そこで自分の世界が広がり、将来を考えるきっかけに繋がるかもしれません。
少女の私がつくりあげたお伽噺の「イタリア」も大切にしながら、リアルのイタリアに少しずつ触れてみよう。
20歳を目前に控えた私の小さな目標です。
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からお借りしたポジターノの風景です。
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