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We're in December
いつの間にか、夏は雪になる。
金木犀が地面に落ちて、綺麗なオレンジのカーペットを創ると、雲が落ちてくる。
霜が地表を覆い、樹々は眠りについて、星が冴えてくる。
それは小さくて、ぎゅっと結晶した、神様の祈りだ。
そして、私達は、
この季節を迎えるんだ。
「佳生、この窓にキャンディーを入れるの?」
「そうだよ、南弦」佳生は水色の透明なキャンディーを綺麗な指で持ちながら、微笑ん
Please, Airplane
これあげる
そう言って、差し出された円柱形の箱には、クラシカルな女性が描かれていた。
私は、彼をみた。彼は色白で、星の様な眼をしていた。彼がくれた小箱に入っている、菫の砂糖づけに似た、秘密めいた瞳だった。
「……ありがと。いっしょにたべよう」
私は言い、ブランコに坐った。
夏休みになって、荷物をまとめて部屋に置いて、この公園に来た。
彼は少しおいて、となりに坐った。彼はぽっちゃりしてい
The boy worn crown of thorns
花冠をつけた女の子が、白いばらの下に睡っていて、
男の子は荊棘の冠をかぶり、歩いていた。
女の子は睡りから覚めると、眼を開き、ぱちぱちと音を立てるように、瞬きをした
男の子は顔を上げ、女の子に眼をとめた。
こんにちは、と、男の子は言った。何をしているの?
トリの声を聴いているの。
鳥の声?
うん。それを聴くと、眼が覚めるの
眼が覚めた
Silent slow blue
きみと温かいコーヒーを口に含んでいると、しあわせな気分。
外は寒くて、グラスは蜂蜜みたいに透明で甘い液体に充たされているから、それはくっきりと透けるブルーだから、きみの指で飾って、額縁に入れたい。きみは抜け出しちゃうだろうけど。
きみは冷たい笑い方をするのに、とても温かい腕を持ってる。きみの眼は湖で、きみは僕を溺れさせない。
そっと見守ってくれた時、恋に落ちた。
きみは驚くほど深くまで潜れ
Naked Soul
彼の優しさは、今までにあじわったことの無いものだった。
私達は、少しだけ広いベランダに、リヴィングからイスをひとつずつ移して、夜明けを過ごした。
羊は、不安定な朝焼けの光を受けて、眼を伏せていた。
眩しい白い光は、私の睫毛を七色に透かして、羊の顔にくっきりとした美しい陰影を創った。
まるで名も知らない広大な砂漠にできる不思議な模様の様な陰影だった。
確かに眩しかったけれ
be m' girl
君は僕のガール。
僕のものになってよ。
もの、っていっても、ひとだけどさ。
だから、僕を突き放したり、嫌いになってもいいんだ。ちょっとならね。
最後に、その子猫みたいな眼で笑ってくれたらいい。
波を後ろに感じさせる、滑らかな髪と、綺麗な肌。
美しい眼と、唇。
甘い吐息と、少し低い声。
君に夢中なんだ。
君と歩いた時、君は僕のものじゃなかったけど
Born in July
彼は夏のこどもだった。
7月の、雨が止み緑の色の濃くなる、美しい時期に生まれた。
その光の明度は彼の肌を、深い色に染めた。
バスに乗っている時、人々のざわめきと、車内の明るさに、夏の気配を感じた。
そういえば今朝、階段を上っている時も、夏の家の中の匂いがしたことを想い出した。
夏がどんどん近づいていって、やがて全ては、夏になる。
バス停で降りると、私は汗を拭い、彼の
small thing, this world
僕と君との、小さな世界。それは、冬の世界だ。
小さな星がまたたいて、息が白くなって、君がそっと微笑む。僕たちは抱き合う。そんな、雪国みたいな、安らかな世界。何処かでホッキョクグマが抱き合って眠っているだろう。そんな世界。
ドアの外で起こった痛み。を全部忘れて、ふたりで身を寄せ合って眠る。蜂蜜みたいに密な眠りが、僕たちに訪れる。
明日のことなんてわからない。悲しいことが起きるかも。
けれ
モミの枝とスープとロウソク Branch of fir tree, soup and candles
あなたは絵本なのかにいる男の子のように、赤と白のいましまのふわふわの大きな玉のついた帽子を被っていて、黒いかっこういい形のコートに、可愛い黒のブーツをはいて、白のモヘアのニットをきている。
私と手をつないでいる、その手は温かで、
クリスマスに教会へ行った帰り、私たちはキスをした。
明るく、透明な星々は楽しく、すこし淋しく、うたっていた。
そのまたたきは、青白くも、赤くも見える。
神様が創っ