モミの枝とスープとロウソク Branch of fir tree, soup and candles
あなたは絵本なのかにいる男の子のように、赤と白のいましまのふわふわの大きな玉のついた帽子を被っていて、黒いかっこういい形のコートに、可愛い黒のブーツをはいて、白のモヘアのニットをきている。
私と手をつないでいる、その手は温かで、
クリスマスに教会へ行った帰り、私たちはキスをした。
明るく、透明な星々は楽しく、すこし淋しく、うたっていた。
そのまたたきは、青白くも、赤くも見える。
神様が創ったもののなかで、あなたがいちばん好き。
クリスマスプレゼントに添えた手紙の中に包んだ、1枚の手作りのジンジャークッキーを、あなたはほおばると、優しい綺麗な光の漏れるようにその眼に笑みがともる。
まるでキャンドルの周りにできる光の輪のように美しく、暖かく。
星々は、あなたのために歌っているの。
優しく、美しい、あなたのために。
僕の彼女のために、鈴を鳴らす。
凛とした冬の空気に笑みを零し、大きく巻かれたマフラーに顔をうずめる、僕の美しい女の子のために。
僕はソリを持って、こう言うだろう。
「僕とこない? ソリに乗って、星の粉を散らしながら走って、子供に煙突からプレゼントを渡したら、あったかいココアを飲もうよ。
連れて行って欲しいな。月の冷たい砂の上で、一緒に歩いて、水星の湖で遊ぶ夢を見よう。
詰まらないから、地上へ帰るのはやめようよ。
僕ら、飛んで行っちゃうんだ。誰も知らないところで、クリスマスの国で、一緒に踊ろう?」
そして僕は、君の作ったクッキーを食べて、そのスパイシーな匂いに眼をしばたかせ、舌鼓を打つ。君はとっても料理がうまいんだ。
君の肩を抱いて歩くのは、僕の一生でいちばんの幸せさ。
さあ、行こう。歌おう。
星は、知ってる?君のために歌っているんだよ。
とても静かな声でキャロルを諳んじている、あの賢しげな小さな星を超えて、火星に行こう。
その小さな月の暖炉で、火に当たったマシュマロを食べて睡るんだ。
あなたとはじめて会った日を覚えている。得難いプレゼントをもらったみたいで、わくわくして、切なくて、あの日も星を見てた。とてもたくさんの星が浮かんでいて、こうやって、いつまでも見れたらいいな、ってそう思ってた。
愛は月みたいに見えたり、見えなかったりすることがあるけど、確実に存在するの。私の愛は燃えたっている。
見えなくても、私は全く不安にならない。あなたの眼の中に、絶えずにある光を、追い求めてる。星のように光っていて、まるで私を抱きしめているよう。誠実で、優しくて、でもちょっといたずらっぽいの。子供みたいに。美しい愛の歌のように、私たちは行きましょう。そして歌わずに、そっと降り立ちましょう。美しい大地に脚をつけて、ユニコーンのように歩くの。
そうだよ、僕ら出かけるんだ。星の裏で、こっそりキスをする。小さな星々ははしゃぐかもしれないけど、僕ら黙っているんだ。あんまり幸せで。
だってこれから、煙突のしたの暖炉で、僕ら暖まる。何より心が温まるのは、君がいること。僕を愛してくれること。
君の元で永遠を誓うよ。形は変わっても、僕らずっと愛し合うんだ。本当だよ。ひとつの星が消えるまで、ずっと……。そして消えてからも、ずっと君を覚えているよ。
そして私たち、眠りに落ちるの。ゆるく抱き合って、ぐっすりと眠る横には、星々がいる。とても遠くで光る星は神様みたいに年老いた星で、創成から衰退まで見守ってくれる。私たちが天へいくときには、眼を瞑り、お祈りしてくれる。どうか、よいところへ行かれますように、って。
私たちはこれからどこへゆくのか、死んでからどこへゆくのか、さっぱりわからないけれど、あなたがいれば恐くない。だから、朝になったら、目覚めましょう。子供みたいに、真新しい気分で。眼が覚めたら一緒に笑いましょう。モミの樹の下で、その枝と、スープと、ホットチョコレートと、キャンディ・ケーンの形の、ろうそくの匂いに包まれて。
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