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Summer





 夏の良く晴れた日ほど気持ちよいものは無い。

 私は近々都市化されようとしている新しい駅まで歩いた。

 道の両端には畑があり、空はひらけていて、向日葵がそっぽを向いて、大きな頭を垂れている。

 私は心の中で焦がれる対象を探しながら、静かな足のりで歩いた。

 おととい短く切った髪を手のひらで撫ぜて、遠くなってゆく雲を眺めた。

 夏だ。夏が本格的に始まった。薄い灰の憂鬱な雲を連れて、五月雨は行ってしまった。

 今は7月の22日なのだ。私は無意味に跳ねて、眼を瞑り、首をそらせた。幼児的な官能が私を襲う。

 夏の魅力はこの微かな官能性と、伸び行くような感覚、美しい景色だった。何もかもは水分を多く含み、緑は濃く、人は前向きな懐古趣味になる。

 友達に書いたポストカードに変なことを書いていないか確認して、それを指先からポストに落とす感覚を思い描いた。

 こんな広大な景色の中で、自分を小さく感じているのは、
 まるで私が消えてゆくようで、風が身体を通り抜けていくような感覚がする。

 好きな人に会いたいけど、もっと重要なことが意識の端にあって、
 それがわかりそうで、わからない高みにあるから、私はその感覚だけを感じている。








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