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ケアデザインサミット2023

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いばふくのお祭り「ケアデザインサミット」今年も2月に開催いたします!! 今年のテーマは「発想の転換」! 様々な方のくらしに関わる福祉職。そんな福祉職に発想の転換の機会をお届けしま… もっと読む
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記事一覧

〈ケアデザインサミット2023〉第三部くらしとまちづくり―アーストラベル水戸 尾崎精彦さん

〈ケアデザインサミット2023〉第三部くらしとまちづくり―アーストラベル水戸 尾崎精彦さん

レジリエンス(resilience):困難をしなやかに乗り越え回復する力(精神的回復力)
「回復力」「復元力」「耐久力」「再起力」「弾力」などと訳される。
この言葉、近年、ビジネスの現場でも注目を集めている。

ケアデザインサミットの最後の話者である尾崎精彦さんの話を聞いたとき、「レジリエンス」が思い浮かんだ。
こんな前置きをしたのだから、あえて書いておこう。このお話、困難に次ぐ困難からスタートし

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〈ケアデザインサミット2023〉第三部くらしとまちづくり―北養会 伊藤浩一さん

〈ケアデザインサミット2023〉第三部くらしとまちづくり―北養会 伊藤浩一さん

***

普段、「いばふく」をウロウロしているわたしからしても、伊藤さんは謎の存在。法人の“偉い人”には違いないのだが、いばふくのイベントのエンディングには必ずギターを持って登場するし、いつ会ってもなんだか楽しそうなのだ。
今回マイクを握った伊藤さんも、ニコニコ顔である。

「私が所属している北水会グループ。どんなグループかといいますと、病院や介護福祉、保育園、医療・介護の専門学校、フィットネスク

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〈ケアデザインサミット2023〉第三部くらしとまちづくり―ながよ光彩会 貞松徹さん

〈ケアデザインサミット2023〉第三部くらしとまちづくり―ながよ光彩会 貞松徹さん

――長与町(ながよちょう)。長崎県の真ん中に位置する大村湾を抱くこの町に、遊びに来ている。「み館」。この名で呼ばれるここは「みんなのまなびば」というタイトルとともに、「まちのリビング」というキャッチコピーがついている。
初めて訪れているのに自分ちのリビングのごとく、ウッドデッキにかかったハンモックに揺られてぼんやりする。手元には、スタッフのナラさんが丁寧に淹れてくれたコーヒーが。……ああ、おいし。

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〈ケアデザインサミット2023〉第三部くらしとまちづくり―BOLDLY 佐治友基さん

〈ケアデザインサミット2023〉第三部くらしとまちづくり―BOLDLY 佐治友基さん

自動運転バス。運転手が運転しなくても、乗客を乗せてバスが走る。
今回は、この未来の乗り物を「現代に不可欠な乗り物」としている人のお話だ。

「こんにちは! 佐治と言います。大さじ、小さじの“さじ”と覚えてください」
2月下旬だと言うのに、半袖姿で現れた佐治さん。会場の気温も心なしか上がった……?

「僕は、勝田第一幼稚園、外野小学校、そして茨大付属中に入って、水戸一高に行って……という、正真正銘の

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〈ケアデザインサミット2023〉第二部くらしとテクノロジー―山形義肢研究所 阿部伸乃介さん

〈ケアデザインサミット2023〉第二部くらしとテクノロジー―山形義肢研究所 阿部伸乃介さん

「義肢装具士に会ったことのある方、いらっしゃいますか?」
阿部伸乃介さん(しんさん、と呼ばせてください)が会場に投げかけた。
手を挙げるのは、1人か2人。
「……こんな感じなんですよね。このくらい知られていない業種なんです」

重ねて、しんさんからの「義肢装具士に対するイメージは?」という質問に、会場から声が上がる。
「影の功労者」

「ありがとうございます。そうなんですよ。“影にひそんだ職人”と

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〈ケアデザインサミット2023〉第二部くらしとテクノロジー―ギフモ 水野時枝さん

〈ケアデザインサミット2023〉第二部くらしとテクノロジー―ギフモ 水野時枝さん

先日、とある介護施設の栄養士さんたちへの取材をした。
特別養護老人ホームやケアハウス(高齢の方々のためのサポート付きシェアハウス、なんて受け止めている)の食を任されている人たちに、仕事について聞いたのだ。

国家資格の職種である栄養士。専門用語が飛び交い、しばしとまどった記憶がある。話を聞いていく中で、印象に残っているのが、「ミキサー食」とか「きざみ食」と言われるものだ。

――年齢が上がるにつれ

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〈ケアデザインサミット2023〉第二部くらしとテクノロジー―aba 宇井吉美さん

〈ケアデザインサミット2023〉第二部くらしとテクノロジー―aba 宇井吉美さん

――わたしは、母方の祖母・おばあちゃまのことを思い出していた。
祖父が逝ったとき、「アフターファイブを楽しむわ」と、一人暮らしを決断したおばあちゃまの背中を思い出していた。あのとき83歳だったか。
たまに家に様子を見に行っていたわたしは、お風呂に一緒に入ることもあった。
「背中を流そうね」
そのときのおばあちゃまの背中。
相変わらずすべすべだ。けれど、いつの間にこんなに薄っぺらく、小さな背中になっ

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〈ケアデザインサミット2023〉第一部くらしと福祉―たすけあい 田中れいかさん

〈ケアデザインサミット2023〉第一部くらしと福祉―たすけあい 田中れいかさん

「埼玉から来ました!お昼前でお腹がすいてきた頃だと思うので、お土産の埼玉銘菓をつまみながら、話を聞いていただけたら、と思います」
そう言って、お菓子を配りながら登場した田中れいかさん。すらっとした美人さんだーと見とれながら、お菓子を受け取る。……甘いものが嬉しい。

田中れいかさんは、モデルであり、児童養護施設で暮らした経験を伝える伝道師でもある。
2018年「ミス・ユニバース」という国際的なミス

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〈ケアデザインサミット2023〉第一部くらしと福祉―すみなす 西村史彦さん

〈ケアデザインサミット2023〉第一部くらしと福祉―すみなす 西村史彦さん

「社会」と「世界」をつなぐ

西村史彦さんのパートなのに、いきなり自分のことを書きます。どうか数行おつきあいください。
わたしは「社会と世界をつなぐこと」をめざして、文筆や編集などの表現活動をしている。
生きている人間のみが構成しているのが「社会」。この世・あの世も妖怪も動植物・昆虫などの生物(もちろんヒトも)を含めたものが「世界」である、とわたしは考えている。

ヒトだけで構成される「社会」は、

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〈ケアデザインサミット2023〉第一部くらしと福祉―宅老所はいこんちょ 小林敏志さん

〈ケアデザインサミット2023〉第一部くらしと福祉―宅老所はいこんちょ 小林敏志さん

Mちゃんの話

わたしはMちゃん。
娘と喧嘩中。理由はわたしの新しい彼氏のこと。
お父さんがいるのにって怒ってるみたい。
わたしたちのこと、うまく説明できず埒が明かないから彼氏のサトシに来てもらったわ。
「俺が話しつけたから、行こう!」
駆け落ちみたいにして、わたしたちは家を出たの。

***

わたしはMちゃん。
いま、コンビニにいます。SOS!
わたしを連れ去ろうとしている誘拐犯がすぐそこにい

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〈ケアデザインサミット2023〉第一部 くらしと福祉―看護師・大山 瞳さん

〈ケアデザインサミット2023〉第一部 くらしと福祉―看護師・大山 瞳さん

――朝。寝床でむにゃむにゃと、まどろんでいる。
看護師さんが入ってくる。
「おはようございます。起きましょうね〜」
ベッドを上げる。
ぐ、ぐぐぐ……。
ベッドが上がり、腰から上が徐々に起き上がってくる。カラダはたしかに起き上がっているが、居心地が悪い。
ベッドの角度が15センチ(45度)ほど起き上がったときには、お腹が圧迫されていて腰が重い……。なぜか、息ができない。
そのうえ、わたしは思うように

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