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『アドルフに告ぐ』は名作なのか?

恐れ知らずなタイトルを付けてしまった。

手塚治虫作品は大好きで、『火の鳥』や『ブラック・ジャック』は小学生の頃から愛読している。

だが、大学時代に読んだ『アドルフに告ぐ』は、有名なわりにはハマらなかった。

やはり、「ヒトラー=ユダヤ人説」に拘泥しすぎの感が否めない。

ユダヤ人を人種概念として捉えるのは、ナチ側の論理なのではないか?

しかも、それをヒトラーの評判を下げる目的で用いようとするのは、たとえ成功したとしても、ユダヤ人差別に荷担していることになるのではないか?

こうした疑問が解消されないまま、話が終わってしまった。

日本人がユダヤ人問題を描こうとしても、限界があるのかもしれない。

つい、そう思ってしまう。

しかしながら、作中に登場する神戸のユダヤ人コミュニティは、実は手塚と縁がある。

写真家の安井仲治らが戦時中、撮影のためにコミュニティを訪れた際、手塚治虫の父(同じく写真家)が同行していたそうだ。

難民の姿を世に伝えるという親子二代の大仕事に水を差すのは、いささか無粋だったか。

 

写真は、神戸のシナゴーグ(ちなみに、誰が撮ったかは不明)

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