山上浩史(plasmid)

理系学部から設備系エンジニアをして、美大に入ってデザインを勉強したり、ビジネススクール…

山上浩史(plasmid)

理系学部から設備系エンジニアをして、美大に入ってデザインを勉強したり、ビジネススクールでシスアドしたり、町工場で部品設計したり、渡仏してアパレルの手伝いしたり、食品団体の事業企画やクリエイティブ全般などをしてきました。人生に迷いあり、無駄なし。考えることが好き。アイデアLOVE。

最近の記事

平常心是道を滅する

「平常心是道」は、中国禅の趙州和尚とその師である南泉和尚の問答として、細部は異なるようですが、「無門関」や「祖堂集」、「趙州録」に集録されています。しかし、その意味するところについては、どこを見ても「ありままの心でよい」として紹介されています。ありのままって何? 心とは何か さて、心とは何か。心はどこにあるのか。なぜ心は問われ続けるのか。 何かを得て喜び、何かを失って悲しむ。この喜怒哀楽の「揺れ」を指して「心」と呼ぶのです。この揺れは、豊かになったり、晴れたり、折れたり、

    • なぜ学ぶのか

      ⸺なんで勉強しなきゃいけないの? 将来困るから。 ⸺どんな風に困るの? 勉強すれば、いい学校、いい会社、いい収入、そしていい暮らしが手に入りやすくなるでしょ。(量的な生産と所有のため) ⸺それが必要なければ、勉強しなくていいの? 必要でしょ!だから勉強しなきゃダメ!(この世は変わらないんだから) こうした常識は、徐々に変わりつつあるようにも感じますが、私を含む昭和世代にはまだまだ根強くもあります。しかし、生産の消滅とともに、いずれは消滅するのでしょう。その時には、学びも

      • eスポーツとYouTube

        早6月。学校や商業活動が再開されはじめました。感染者数が減り、全国各地の解除が始まった頃からでしょうか、近所に漂っていた緊張感が薄らいでいくのを感じました。いまもその渦中ならぬ、禍中にありますが、それでも様々な方々のご尽力と、我々全員がそれぞれの形で当事者となったことで、今後に向けたひとまずの足場は組まれたようにも感じます。しかし、この2ヶ月間で染みついた警戒心は簡単には消えませんし、当面の間に続く制約は、我々の行動様式を変えていきます。 さらばモーレツ飲食店などの再開の動

        • 間と場〜外出自粛徒然考

          つい先日まで、通勤や私用で、毎日のように立ち寄っていた池袋。Suicaの履歴を見ると、最後の乗降記録は3月22日。東京都が外出自粛要請を出す3日前です。商業施設の時短営業が始まったことを忘れて、買い物をし損ねたり、駅までの通り抜けができなくなったりと、体が覚えた街の使い勝手の変化に、少なからず驚いたものです。 それからの外出といえば、近所のスーパーへ数日おきの買い出しくらい。コロナ自粛は図らずも退職のタイミングとも重なり、一人暮らしの身にとっては、人と会う機会がほぼなくなり

        平常心是道を滅する

          デザインの課題

          今から20年ほど前、ダメ元で受けた美術大学のデザインコースに合格した私は、新卒から5年勤めた会社を辞め、エアコンのない安アパートを借りて、二度目の学生生活に入りました。今で言うところのリカレント教育でしょうか。 バブル崩壊後の、これも今で言うリストラが始まった頃で、当時は「これから世の中は大きく変わる」と根拠なく信じて疑いませんでしたが、昭和のレールに乗ったまま、平成の30年は過ぎました。令和に入り、ようやく変化の兆しを感じていますが、果たして。社会の変化には、長い時間が必

          デザインの課題

          レガシー産業の得意を伸ばす

          私が私として、あなたがあなたとして認知されたいように、所属する会社やその事業もまた、それぞれの個性として認知されたいものです。 例えば、科学がもてはやされる時代において、生徒全員が数学を得意とするわけではないし、またそうである必要もありません。国語や歴史が得意な子、美術が得意な子、スポーツが得意な子、あるいは笑わせるのが得意な子や、サボるのが得意な子ですら、それぞれの得意を伸ばすべきですし、時にはそれぞれの得意から科学に関係することもできるはずです。そうすることで本人だけで

          レガシー産業の得意を伸ばす

          新型コロナウイルスと対話の世界

          世界経済への影響が無視できなくなっている中国の新型コロナウイルス。 亡くなった人や感染者が増え、いずれ私も当事者になるのかもしれません。食品とは違い、工業製品は生活への影響がゆるやかではあるでしょうが、一時的には在庫品の高騰や、モノ不足の状況になるのでしょうか。それも今後の終息までの時間次第でしょうか。 「では、この生産を止めた犯人は?」 「そんなのコロナウイルスに決まっているじゃん」 「本当に?」 ボトルネックは今回のウイルスは生産を妨げる原因にはなりましたが、こ

          新型コロナウイルスと対話の世界

          労働から活動へ

          2020年が明けました。今年は、オリンピック開催で一時的にお祭りムードにはなるでしょうが、社会の価値観の変化はさらに進み、やはりあの頃が転換点だったんだと数年後に振り返りそうな予感がします。様々な方も同様な話をされていて、予測というより、もはや願望なのかもしれませんね。こうして世の中は変わっていくのでしょう。 静かな年末年始変わったといえば、先月のクリスマスは、店頭やCMでのプロモーションが随分静かだったと思っていたら、お歳暮のビールやハム、年賀状に向けた家庭用プリンターの

          労働から活動へ

          リニア型とループ型の生き方

          哲学対話先月、初めて参加した哲学対話のテーマは「苦」でした。参加者でデビュー戦だったのは私だけ。いくらかは参加者本人の感情が吐露される場面も想像していましたが、例えるなら「苦」をテーブルの真ん中において、各人の体験などに基づいて語り合うといった、理性的な時間でした。哲学ですから、当たり前なのかもしれませんが(みなさん大人ですね)。 私自身は打たれ弱いので、すぐに悩みを打ち明けたくなってしまいますが、社会には、悩みとその苦しみを一人で抱えて耐えている人が割と多い気がします。「

          リニア型とループ型の生き方

          SDGsに感動した話

          こちらの記事は、前回の「新しい信頼とは」の先に書いていたものです。前回の記事と関連する内容も多く、これに従うなら、世界の基軸が、本当に変わろうとしていることを期待せずにはいられません(無事に着地できるかはわかりませんが)。 持続可能な開発目標。SDGs(Sustainable Development Goals)、エス・ディー・ジーズ。2015年に国連で全会一致で可決され、2016年から先進国、途上国、行政、民間の区別なく、取り組みが始まりました。貧困、衛生、教育、ジェン

          SDGsに感動した話

          新しい信頼とは

          昨日、2つのイベントに参加しました。一つは、ウイングアーク1st社が開催したUPDATAというイベントで「データとヒトがつくる“次代”」がテーマ。主催者やその事業紹介が目的とはいえ、これだけのイベントに無料で参加できて、時代の先端を垣間見ることができるというのは、本当にありがたいことです。 もう一つは、哲学対話の会です。初めての参加でドキドキでしたが、テーマに沿って考えて、他の方の意見を聞いて「あーなるほど」と思って、考え直す。自分の意見を述べながら、足りないことに気づく。

          新しい信頼とは

          アートは存在との対峙

          本日は、用事で出たついでに「ダムタイプ展」を見てきました。ダムタイプについては、上の展示会の公式サイトに詳しく書かれていますが、私自身は、名前を聞いたことがある程度で詳しくは知りませんでした。ただ、「ダムタイプ」という名前を、センスがいいなぁと前から関心しておりました。展示自体はリニューアルされた作品との対比が面白かったものの、点数がそれほど多くなかったせいか、全体としては正直ピンときませんでした(ごめんなさい)。 他にも皆川明さんの展示なども開催されていて、興味は惹かれた

          アートは存在との対峙

          Qターンという提案

          昨日、日野市にある明星大学のデザイン学科で開かれた公開講座に参加させていただきました。はじめて伺いましたが、きれいな校舎でした。 最近は公開講座への参加が、趣味の一つになりつつありますが、都内は大学が多いとはいえ、夜間や週末の開講、時事に関する講座は少ないように感じます。入学はハードルが高いですが、いくらか費用が発生しても、現役世代が、好きなタイミングで聴講できる講座はニーズがあると思います。20年前にリカレント教育を実践した身として、機会があれば、また学びたいと思いますし

          Qターンという提案

          すべての仕事(X)はサービス業(S)

          最近、1次産業とか2次産業という言葉をあまり聞かなくなった気がします。一方で、6次産業、6次化は割とよく耳にします(関心があるだけかもしれませんが)。 この1次〜3次の分類は「コーリン・クラークの産業分類」と言うそうで、1940年頃に提唱された概念とのこと。日本では太平洋戦争の頃です。私は初めて知りましたが、意外と知っている方は少ないのではないでしょうか。経済の発展に従って、1次から3次へ移行する、その指標に用いられたようです。しかし、もはや3次までが成熟してしまったため、

          すべての仕事(X)はサービス業(S)

          自動運転社会を夢想する

          私はいわゆるペーパードライバーです。20歳の頃に運転免許を取りましたが、どうにも向いていなかったようで、運転中は非常に緊張し、運転席側の窓ガラスは、エアコンをつけてなお、私の吐く息で曇っていました。幸い、今日まで、自分で車を持たずにすむ環境に助けられ、最後に運転してから、20年以上が経ったと思います。今ではエンジンのかけ方すらわかりません。そんな私が待ち望んでいる未来の一つが自動運転社会です。 技術、インフラといった面の課題と、法律や安全の考え方といった面の課題があると思い

          自動運転社会を夢想する

          成熟と損失回避

          監視社会の是非は一旦傍に置き。 歴史が長いほど変化や挑戦に消極的になり、昨日までの手法を好むようになる。それを手放す必要性を頭で理解し、言葉では発しても、実際にそれを行動に移すことは難しい。損失回避性。 新興国あるいは新興産業は、最新の技術を教科書(起点)にして発展を図ります。 成熟した国や産業は、自らが教科書としてきた数十年前あるいは数百前年の教科書を今でも読んでいる気がします。

          成熟と損失回避