冬木糸一

書評家もしくはレビュアーを名乗ることが多い。SFマガジン、家電批評に連載を持っている。…

冬木糸一

書評家もしくはレビュアーを名乗ることが多い。SFマガジン、家電批評に連載を持っている。「基本読書」というブログを書いている。noteでは日常の雑記を書いている。Amazonのアソシエイトとして、huyukiitoichiは適格販売により収入を得ています

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    ノンフィクション書評サイトHONZ(2011−2024)のアーカイブ

記事一覧

コストと信頼

僕が常日頃人間関係の構築で意識していることのひとつに、「コストの恩返し戦略」がある。どういうことかといえば、自分が誰かにコストを投資してもらった時、その人物に自…

冬木糸一
1日前
7

強い言葉をそう簡単に使ってはならない

「あまり強い言葉を遣うなよ…弱く見えるぞ」とは当然ながらBLEACHの名言だ。バトル中の文脈だがそれ以外のシーンでも応用がきく言葉である。たとえば、書評でもそうだ。書…

冬木糸一
9日前
27

呪術廻戦展行った

渋谷のヒカリエの9階でやっている呪術廻戦展に奥様と一緒に行ってきた。 一人2000円ぐらい。内容はボリュームたっぷりでゆっくりみてまわったら平気で2時間以上かかりそう…

冬木糸一
10日前
14

最近の関心領域

ノンフィクションを選ぶ時の基準はまず当然「おもしろそうかどうか」だけど、おもしろそうかどうかの元になるのは「自分自身の興味関心」だろう。音楽を演奏したり作曲する…

冬木糸一
2週間前
11

我が意を得たりは危険である

最近ノンフィクションを読んでいて思うのだけど、意識していないけれどいろんなテクニックを使っていることがあるよな、と思うわけである。 たとえば、学術系だったり、ポ…

冬木糸一
2週間前
11

不死と宗教

『死の終わり』を読んだ。現在様々な方面から老いを病気として捉え、老いを治療しようとする試みが続けられている。老いが病気であるならば風邪薬を飲むようにして治療すべ…

冬木糸一
2週間前
7

eスポーツ観戦ガイドを書くとして、どうやって、何を書くか(試案)

この数年、完全にeスポーツ観戦が趣味になっている。毎週末はLJL(League of Legendsというゲームの日本リーグ)やLCK(韓国リーグ)を楽しみにしているし、年2回(サウジカップ…

冬木糸一
2週間前
6

善のめんどうくせ、悪のめんどうくせ

僕もプログラマーとしてのキャリアが今年でたしか12年目だか13年目だかになる。決して有能なプログラマーというわけではないがそんだけの期間特にマネージメントとかの脇に…

冬木糸一
3週間前
4

ここ一週間ぐらいで読んだ本の一部

最近読んだ本について書く。 僕の最近のテーマに「友人」と「孤独」がある。自分自身が油断すると孤独な中年男性になりかねないという危機感からでもあるのだけど、別軸と…

冬木糸一
3週間前
18

考えるについて考える

「考える」というが「考える」とは具体的にどういうことなのか。いくつかの定義が考えられるが、ひとつは「問いを持つ」ことだろう。 たとえば「バズる記事を書きたいなあ…

冬木糸一
1か月前
12

積読について考える

積読が良いだの悪いだのというは読書家の間ではよく話題になるテーマである。たいてい積読が悪い、積読に意味はないという人が現れて(現れていないのに勝手に現れたことに…

冬木糸一
1か月前
15

最近の雑談

最近の雑談でもしよう。 サブスクと分断 早川書房がサイトリニューアルをすると発表してその中で有料会員制をはじめるとあったが、近年のウェブの流れって完全に広告じゃ…

冬木糸一
1か月前
9

HONZ終了によせて

ノンフィクションレビューサイトHONZが本日(7月15日)をもって更新を終了。成毛眞が立ち上げた日本最大のノンフィクション書評サイトだった。僕(冬木糸一)は2015年から現編…

冬木糸一
1か月前
34

SF大会 やねこん参加

長野で行われたSF大会のやねこんに参加していた。SF大会とはなにかといえばSFファンが集まるお祭りで、基本は宿泊前提のイベントとなる。何十人もの参加者がホテルや宿に集…

冬木糸一
1か月前
12

BRUTUS SF特集

BRUTUSのSF特集が出てます。僕も取材に答えたり書いたりといろいろしてますのでよかったら読んでね。5月後半から6月前半にかけてはこの仕事をがんばってやっていたのもあっ…

冬木糸一
1か月前
16

ハンモックはいいぞ

昨年の夏に自立式のハンモックを買ったのだけど、一年使ってみてよかったので皆様にもおすすめいたします。悪い点は寒い冬に使う気がおきないので冬は完全に場所をとるだけ…

冬木糸一
2か月前
11

コストと信頼

僕が常日頃人間関係の構築で意識していることのひとつに、「コストの恩返し戦略」がある。どういうことかといえば、自分が誰かにコストを投資してもらった時、その人物に自分も同程度かそれ以上のコストを返礼するという戦略である。言ってみれば旅行のおみやげや何らかの贈り物をもらったから同程度の贈り物をするだけのことではある。ただ、おみやげやら贈り物以外でも明確に意識してコストの恩返しをしよう、コストの見積もりをしようという話で、僕はそれが長期的な信頼関係の構築に非常に重要だと考えている。

強い言葉をそう簡単に使ってはならない

「あまり強い言葉を遣うなよ…弱く見えるぞ」とは当然ながらBLEACHの名言だ。バトル中の文脈だがそれ以外のシーンでも応用がきく言葉である。たとえば、書評でもそうだ。書評、レビューする人間というものはあの手この手で作品を褒めたりけなしたりする。その時基本的に文章で「読み始めたらページをめくる手がとまらず1000ページ一気に読み切ってしまった!」のようにいかにおもしろいのかを表現するわけだが、「単語」レベルでの格、強弱もある。たとえば最上級、最強格でいえば「傑作」だろう。 ちょ

呪術廻戦展行った

渋谷のヒカリエの9階でやっている呪術廻戦展に奥様と一緒に行ってきた。 一人2000円ぐらい。内容はボリュームたっぷりでゆっくりみてまわったら平気で2時間以上かかりそう。わりとサクサク進んでも1時間20分ぐらいはかかったから、満足度としては非常に高い。あんまりこういう◯◯展に行ったことがないから当たり前なのかも知れないけれど人の流入も適切にコントロールされていて人が多すぎて待ち時間が……みたいなこともなかった。 内容的には呪術廻戦のネームや下書きの展示からはじまって、呪術廻

最近の関心領域

ノンフィクションを選ぶ時の基準はまず当然「おもしろそうかどうか」だけど、おもしろそうかどうかの元になるのは「自分自身の興味関心」だろう。音楽を演奏したり作曲する人なら音楽系のノンフィクションが気になるだろうし、絵を描いたり彫刻をする人ならアート系の本が読みたくなる。 軍事系の情報を得るのが好きな人は戦争や特殊部隊などの本を中心に読むだろうし──と、本の選定はまず「個人の関心領域」によって出発する。個人の関心領域がはっきりしている人もいるし、はっきりしていない、あるいは自分の

我が意を得たりは危険である

最近ノンフィクションを読んでいて思うのだけど、意識していないけれどいろんなテクニックを使っていることがあるよな、と思うわけである。 たとえば、学術系だったり、ポピュラー・サイエンス系のノンフィクションでは当然たくさんの研究・実験が紹介されている。されているのだが、別にある結果を示唆する研究があることはイコールである結果を保証するものではない。一番多いのは自説に都合の良い研究や結果が出ている研究だけを意図的にピックアップしてそれだけ紹介する、というもので、これは「やってる・や

不死と宗教

『死の終わり』を読んだ。現在様々な方面から老いを病気として捉え、老いを治療しようとする試みが続けられている。老いが病気であるならば風邪薬を飲むようにして治療すべきだし、老いずに生きていけるならとても良い。 おもしろい本なのだが自説に都合の良い仮説・研究ばかりチェリーピッキングして(特に人体の冷凍保存を肯定する部分とかほんとにひどい)、ひどい論理で自説を正当化し、ひたすら同じことを繰り返す本でそこまでおすすめでもない(そこまでけなしてほんとにおもしろいのかという感じではあるが

eスポーツ観戦ガイドを書くとして、どうやって、何を書くか(試案)

この数年、完全にeスポーツ観戦が趣味になっている。毎週末はLJL(League of Legendsというゲームの日本リーグ)やLCK(韓国リーグ)を楽しみにしているし、年2回(サウジカップも入れれば3回)の世界大会も当然みている。 今年からはスト6の観戦にも熱が入り現在やっているサウジカップやら何やら(大会が目白押しだ)もみているし──と、とにかくeスポーツ観戦が趣味になるとみたいもの・楽しめるものはいくらでもある。今僕がメインでやっている対戦ゲームがこの2つだからこれら

善のめんどうくせ、悪のめんどうくせ

僕もプログラマーとしてのキャリアが今年でたしか12年目だか13年目だかになる。決して有能なプログラマーというわけではないがそんだけの期間特にマネージメントとかの脇にそれることもなく基本的にずっとサーバーサイドのプログラムしかしてないのでそれなりに知見もたまってきた。 最近仕事でコードを書いていて変わってきたな、と思うのが、「めんどうくさい」にたいする対処の違いだった。「あーAという書き方でやってたけどよくよく考えてみたら絶対Bの書き方のほうがあとあと手直しが楽だなー」という

ここ一週間ぐらいで読んだ本の一部

最近読んだ本について書く。 僕の最近のテーマに「友人」と「孤独」がある。自分自身が油断すると孤独な中年男性になりかねないという危機感からでもあるのだけど、別軸としては現代という社会は自己実現、社会で成功、自分の価値を社会や世間に示す、みたいなことの価値──かつては重視されていた──のが終わりはじめているんじゃないかなと思うんだよね。安価な娯楽が溢れて暇を潰したいだけなら今よりもいい時代はかつてなく、SNSで見栄をはろうにもひどい煽りあいや広告にまみれた世界で見栄やフォロワー

考えるについて考える

「考える」というが「考える」とは具体的にどういうことなのか。いくつかの定義が考えられるが、ひとつは「問いを持つ」ことだろう。 たとえば「バズる記事を書きたいなあ」という願望がある。これはただの願望で、その次に「じゃあ、どうしたら記事はバズるんだろう」という問いが生まれ、問いにたいして様々な仮説を立てることになる。タイトルを工夫してみたらどうだろう、内容をこうしてみるのがいいんじゃないか、こうやって宣伝するのがよいんじゃないか──などなど。 問いを立てるとさらなる問いがうま

積読について考える

積読が良いだの悪いだのというは読書家の間ではよく話題になるテーマである。たいてい積読が悪い、積読に意味はないという人が現れて(現れていないのに勝手に現れたことにされるケースもある)、それにたいして積読にはこんな意味がある! 積読は素晴らしい! 積読は正義だ! という反論が読書家、積読家たちから寄せられる。ある種様式美じみた流れである。 で、個人的にも積読はとてもいいものだと思うけど、一方で別に良い側面ばかりでもないよな、とも思う。まず良い点をいくつかあげてみよう。 出版苦

最近の雑談

最近の雑談でもしよう。 サブスクと分断 早川書房がサイトリニューアルをすると発表してその中で有料会員制をはじめるとあったが、近年のウェブの流れって完全に広告じゃなくてサブスクなんだよねえ。文春とかもサブスクを増やすのに力を入れているし、報道もそっちに流れている。個人的にもカスみたいな広告を垂れ流されるよりかはサブスクの方が気持ちよく金が払えるからその流れ自体は歓迎ではあるけど。 サブスクの壁でコンテンツは分断が進み、SNSもDiscordの個別のサーバーなどにやりとりが

HONZ終了によせて

ノンフィクションレビューサイトHONZが本日(7月15日)をもって更新を終了。成毛眞が立ち上げた日本最大のノンフィクション書評サイトだった。僕(冬木糸一)は2015年から現編集長の内藤順さんにスカウトいただき書いていたけれど、中の人はみな暖かく興味もバラけていて、幅広い視点からノンフィクションを取り上げていてたいへんたのしかった。 終了に特に大きな理由はなく(喧嘩とか内輪もめとか収益性の悪化とか)、記事中にもあるように続けていくこともできただろうけれど、書き手のライフステー

SF大会 やねこん参加

長野で行われたSF大会のやねこんに参加していた。SF大会とはなにかといえばSFファンが集まるお祭りで、基本は宿泊前提のイベントとなる。何十人もの参加者がホテルや宿に集い夜通し語り合うのがSF大会で、毎年開催の県が異なる。東京やさいたまでやることもあるが、地方でやることも多い。 SF大会は行ったり行かなかったりだが今回わざわざ参加したのは『SF超入門』がありがたいことに星雲賞ノンフィクション部門の参考候補作にあげてもらっていたからで、参加したら自分で少なくとも一票は投票できる

BRUTUS SF特集

BRUTUSのSF特集が出てます。僕も取材に答えたり書いたりといろいろしてますのでよかったら読んでね。5月後半から6月前半にかけてはこの仕事をがんばってやっていたのもあってけっこういそがしかった。 具体的に僕が何をやったかといえばSF特集の最後の4ページを占める「終末SF」のページの取材対応と、現代SF用語辞典のキーワード選定&作品の選定&作品紹介。で、どっちもなかなかおもしろい仕事であった。 SFマガジンのような「文芸誌」は、あくまでも「文」が主体だからページは基本的に

ハンモックはいいぞ

昨年の夏に自立式のハンモックを買ったのだけど、一年使ってみてよかったので皆様にもおすすめいたします。悪い点は寒い冬に使う気がおきないので冬は完全に場所をとるだけの邪魔者になるぐらい(これがけっこうあれ)。 良い点はいろいろあるが、椅子に座っているよりも圧倒的に体が楽だ。そもそもの話として、「椅子に座り続けること」はとても体に悪い行為だ。「座り続ける」のがポイントで、椅子に座っていてもこまめに立ち上がって動けば良いのだけど、なかなか椅子に座っていると気が回るものではない。