BRUTUS SF特集

BRUTUSのSF特集が出てます。僕も取材に答えたり書いたりといろいろしてますのでよかったら読んでね。5月後半から6月前半にかけてはこの仕事をがんばってやっていたのもあってけっこういそがしかった。

具体的に僕が何をやったかといえばSF特集の最後の4ページを占める「終末SF」のページの取材対応と、現代SF用語辞典のキーワード選定&作品の選定&作品紹介。で、どっちもなかなかおもしろい仕事であった。

SFマガジンのような「文芸誌」は、あくまでも「文」が主体だからページは基本的に文章で埋め尽くされているのだけど、BRTUSみたいな雑誌は文章はあくまでも補助的な役割で(座談会とかだとメインだけど)、紙面的・視覚的に映えるようにページを作り込んだりしていくから(普段文主体の世界で生きている人間からすると)仕事としておもしろいね。

で、終末SFのページの方では僕は依頼を受けて終末系SFを四象限の中に作品選定をして配置していく──ということをやったのだけど、これがなかなか難しい。終末SFをどう分類するか? にあたって、横軸あるいは縦軸として「文明の荒廃度」がくるのはわかりやすい。ただ、もう一方の軸を何にするのか。最初希望とかがいいんじゃねえかなと思っていたけど、希望があるかないかが曖昧な作品もあれば、希望がある終わりか否か自体がネタバレになる作品もあって、却下。最終的にはある程度客観的な描写として採用できる「自由度」みたいな軸でいいんじゃないかみたいな話になったが、これもまた作中のどの時点での自由度を採用するかで印象がだいぶ異なる。

というかそういう意味でいうと文明荒廃度も同じ問題を抱えていて、やってから思ったけど単純な分類は難しいなと感じた。

結果的にだけど、もっと視覚的に分類をわかりやすくするなら「滅び方別の分類」か、もしくは「滅んだ後の情景での分類」のほうがよかったかもね。たとえば砂漠、氷漬け、緑豊か、廃墟とか。この分類で終末SFを分類していったらけっこうおもしろいのではないか。作品紹介は短い中で終末の各情景・各要素と紐づいた説明が難しくて苦しくなってるのが要反省ではある

また、現代SF用語辞典の方もそうだけど、「ゲーム、アニメ、漫画、小説、映画、ドラマ」をバランスよく、できれば同じ数ぐらいずつ入れたいという要望があり、そういう作品選定を依頼されることはあまりないからそれもおもしろかったな。そのかいあって現代SF用語辞典もあまり目にしない作品がピックアップされていてすごい。現代SF用語辞典のほうは一作辺り紹介文字数が100文字ぐらいで、それを70以上書いた(しかもスケジュールがシビアで3日ぐらいで)のも短距離走を繰り返しでほとんど修行のようであった。

こういうネットの原稿と紙雑誌の原稿の最大の違いは文字数の制約で、紙の場合レイアウトが厳格に決まっているので求められた文字数で書く能力が必須である。僕も最初SFマガジンで書き始めた時、この「文字数内にまとめる能力」がまったくなかったのでひどい原稿を量産したものだ。そして「文字数内にまとめる能力」はこういう筋トレみたいな仕事(100文字の作品紹介を3日で70みたいな)を繰り返していくことで鍛えていくしかない。

世の中にはいろいろな雑誌がありいろいろな作り方があるのだなあとお手伝いさせてもらう中で思う、個人的に学びの大きい仕事であった。

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