丸山康彦

不登校のため高校を7年かかって卒業し大学卒業後はひきこもりも経験。2001年「ヒューマ…

丸山康彦

不登校のため高校を7年かかって卒業し大学卒業後はひきこもりも経験。2001年「ヒューマン・スタジオ」設立。2003年から不登校とひきこもりに関する相談、家族会、メールマガジンなどの業務を通じて理解と対応のあり方を伝えている。著書『不登校・ひきこもりが終わるとき』は1万2千部発行。

最近の記事

丸山、おとなひきこもりを語る(後編)

社会をどう変えるか杉本:丸山さんはもうご存知だと思うんですけど、いままでの日本の福祉って企業福祉中心でやってきたではないですか?ですから社会政策としての労働者福祉は立ち遅れてしまった日本の現状だと思うんですね。社会政策で日本社会が変わるというのはあり得ると思いますか? 丸山:従来からの価値観が変わらない限りはやっぱり変わらないですよね。だから僕はその、いまは「生活困窮者自立支援法」をどのように生かす仕組みを作っていくかということ。まだこれからなんですけれども。 杉本:そう

    • 丸山、おとなひきこもりを語る(前編)

      ※2020年度と2021度の2年間、メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』のバックナンバーから厳選した100本の掲載文(コラム)を転載してきましたが、2022年度からは『ごかいの部屋』掲載文にかぎらず過去に書いた文章を毎月1~2本、時系列に転載することによって私の自称 “体験的不登校・ひきこもり論” の進展をたどりながら理解と対応の参考にしていただけるよう進めています(執筆時から年数が経っていることで修正する場合があります)。 ※2022年度からは「

      • 丸山、不登校を語る(後編)

        不登校の子の日常杉本:先ほどの「生活」の話ともつながるかもしれませんが、実は僕、最近まで全然知らないことがあって。いまの不登校の子たちって日々をどう過ごしているかということでいえば、実はフリースクールに通っている子というのは1パーセント弱しかいないというのを聞いたことがあって。「え、そんなにいないんだ?」と思ったんですね。まあお金がかかるっていう問題が一番大きいらしいので、通っている子はそんなにはいないという話らしくて。 杉本:それで結局、ほとんどの子が要するに自宅中心の生

        • 丸山、不登校を語る(前編)

          ※2020年度と2021度の2年間、メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』のバックナンバーから厳選した100本の掲載文(コラム)を転載してきましたが、2022年度からは『ごかいの部屋』掲載文にかぎらず過去に書いた文章を毎月1~2本、時系列に転載することによって私の自称 “体験的不登校・ひきこもり論” の進展をたどりながら理解と対応の参考にしていただけるよう進めています(執筆時から年数が経っていることで修正する場合があります)。 ※2022年度からは「

        丸山、おとなひきこもりを語る(後編)

          3つのイベントに関連して(後編)

          横浜市の「地域ケアプラザ」に関わる唯一の藤沢市民 横浜市は「地域包括支援センター」ではなく「地域ケアプラザ」という名称で、介護分野に限らず広く地域福祉に取り組む拠点を、市内141か所に設置しています。  私はおととし2月22日、そのひとつ「すすき野地域ケアプラザ」で開催されたケアマネジャーのひきこもり研修会で講師をつとめました。  前年秋に藤沢市内の地域包括支援センター主催研修会で講演したのに続き、介護分野では2度目の研修講師。今回は会場とZOOMの併用開催でしたが、それぞ

          3つのイベントに関連して(後編)

          3つのイベントに関連して(前編)

          ※2020年度と2021度の2年間、メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』のバックナンバーから厳選した100本の掲載文(コラム)を転載してきましたが、2022年度からは『ごかいの部屋』掲載文にかぎらず過去に書いた文章を毎月1~2本、時系列に転載することによって私の自称 “体験的不登校・ひきこもり論” の進展をたどりながら理解と対応の参考にしていただけるよう進めています(執筆時から年数が経っていることで修正する場合があります)。 ※2022年度からは「

          3つのイベントに関連して(前編)

          現代を映したテレビ番組(後編)

          チラッと映った『こもりびと』 雅夫は多くのひきこもり当事者を、父親は多くのひきこもり当事者の父親を、それぞれミックスしたキャラクターであることは、ひきこもり関係者や当事者活動家の方々なら簡単にわかったはず。  NHKスペシャルドラマ『こもりびと』は、それくらい見聞きしたことがある場面や発言、出来事がてんこ盛りのストーリーでした。  また、子育てからひきこもり対応に至る「親が言って/やってはいけないリスト」の手本を演じさせられているかのような父親。さらには、支援側の問題点やひ

          現代を映したテレビ番組(後編)

          現代を映したテレビ番組(前編)

          ※2020年度と2021度の2年間、メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』のバックナンバーから厳選した100本の掲載文(コラム)を転載してきましたが、2022年度からは『ごかいの部屋』掲載文にかぎらず過去に書いた文章を毎月1~2本、時系列に転載することによって私の自称 “体験的不登校・ひきこもり論” の進展をたどりながら理解と対応の参考にしていただけるよう進めています(執筆時から年数が経っていることで修正する場合があります)。 ※2022年度からは「

          現代を映したテレビ番組(前編)

          葛藤することの大切さ(後編)

          “引き出し屋” に惹かれる親御さんたち ところが、近年問題になっていて訴訟が何件も起こされている “引き出し屋” と呼ばれる悪質支援業者の公式サイトには、ほぼ例外なく「就労達成率95%」とか「確かな方法があります」などと、確信に満ちたセールストークが並んでいます。あたかも「答えは私たちが知っている」と言わんばかり。そのうえ説明がわかりやすく情熱的です。  しかし、これらの宣伝文句は嘘であることが次々と明らかになっています。  私は「悪質支援業者のわかりやすさや熱血ぶりに

          葛藤することの大切さ(後編)

          葛藤することの大切さ(前編)

          ※2020年度と2021度の2年間、メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』のバックナンバーから厳選した100本の掲載文(コラム)を転載してきましたが、2022年度からは『ごかいの部屋』掲載文にかぎらず過去に書いた文章を毎月1~2本、時系列に転載することによって私の自称 “体験的不登校・ひきこもり論” の進展をたどりながら理解と対応の参考にしていただけるよう進めています(執筆時から年数が経っていることで修正する場合があります)。 ※2022年度からは「

          葛藤することの大切さ(前編)

          ヒューマン・スタジオ20年史(後編)

          ヒューマン・スタジオ20年史 当スタジオは、当メルマガの執筆者でもある丸山康彦が2001年の10月1日に個人で設立しました。そのため、今年10月で設立20周年を迎えます。  不登校やおとなひきこもりの支援機関のホームページには、業務ごとに「○○は第2水曜日」「○○は第3金曜日」などといった表示が入っているカレンダーが掲載されていることがありますが、丸山も当スタジオをそのようなトータルな機関になるよう、数人の人材の協力を得て業務を企画し編成しました。  編成したのは「小中学

          ヒューマン・スタジオ20年史(後編)

          ヒューマン・スタジオ20年史(前編)

          ※2020年度と2021度の2年間、メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』のバックナンバーから厳選した100本の掲載文(コラム)を転載してきましたが、昨年度からは『ごかいの部屋』掲載文にかぎらず過去(原則として2年以上前)に書いた文章を毎月1~2本、時系列に転載することによって私の自称 “体験的不登校・ひきこもり論” の進展をたどりながら理解と対応の参考にしていただけるよう進めています(執筆時から年数が経っていることで修正する場合があります)。 ※今

          ヒューマン・スタジオ20年史(前編)

          設立20周年記念イベント(後編)

           2日目のイベント『不登校・ひきこもり対応を考えるオンラインイベント』には、1日目のみお申し込みくださっていた方のうち数人が終了後にお申し込みくださったこともあり、定員の50人に迫る44人のご参加を得ました。  プログラムは、第1部が丸山の記念講演、第2部がZOOMでのリレー中継、第3部が丸山と割田大悟さんと新舛秀浩さんという “当事者活動家トリオ” の鼎談とフリートーク。 初の試み「居場所のリレー中継」 「居場所」をリレー中継する第2部では、それぞれの方々が楽しい中継にし

          設立20周年記念イベント(後編)

          設立20周年記念イベント(前編)

          ※2020年度と2021度の2年間、メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』のバックナンバーから厳選した100本の掲載文(コラム)を転載してきましたが、昨年度からは『ごかいの部屋』掲載文にかぎらず過去(原則として2年以上前)に書いた文章を毎月1~2本、時系列に転載することによって私の自称 “体験的不登校・ひきこもり論” の進展をたどりながら理解と対応の参考にしていただけるよう進めています(執筆時から年数が経っていることで修正する場合があります)。 ※今

          設立20周年記念イベント(前編)

          本人の側に立った理解とは(後編)

          “逆「モーゼの十戒」仮説” 続いて、そうやってできた谷間(グレーゾーン)に “常識(学校/社会にいるのが当然)” という水が流れ込み、大きな川になります。こうなると、もはや本人が自宅(中心の生活)から学校/社会に戻ることは困難です。長距離を泳げない方なら、大きな川の向こう岸に泳いでいくことがどれほどの恐怖か想像できるでしょう。  そして、本人の体は自宅中心に存在していますが、心は体を離れて自宅と学校/社会との間に流れる大きな川を浮いているような心理状態になります。  すな

          本人の側に立った理解とは(後編)

          本人の側に立った理解とは(前編)

          ※2020年度と2021度の2年間、メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』のバックナンバーから厳選した100本の掲載文(コラム)を転載してきましたが、昨年度からは『ごかいの部屋』掲載文にかぎらず過去に書いた文章を毎月1~2本、時系列に転載することによって私の自称 “体験的不登校・ひきこもり論” の進展をたどりながら理解と対応の参考にしていただけるよう進めています(執筆時から年数が経っていることで修正する場合があります)。 ※2022年度からは「原則と

          本人の側に立った理解とは(前編)