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選考段階で企業側が注意するべきこと【採用の基本のキ⑨】

近年、採用人数が激減しているのはなぜか?

やっと応募が一件入ったと思ったら、
選考途中で他社に決まって辞退される…

このような苦い経験は採用の担当者なら
何度もご経験があると思います。

世間一般的には
労働人口の不足による人手不足
価値観・働き方の多様化
採用手法の高度化…

こんな話を聞いても
誰も仕方がないと納得は出来ないと思います。

そこで私からご提案したいものは
これさえやっておけば、応募~内定承諾まで
絶対安心という特効薬ではありませんが、

少なくとも失敗を回避する」という意味で
最低限、気をつけるポイントを解説します。

今回のお話は過去に掲載した
選考設計こそが採用活動の肝である
この記事が大きく影響します。

未読の方は先に読んで頂くと
理解がスムーズになるのでお勧めします。

それと、
今回の記事はあまりいいねがつかないでしょう。
これを見てフォローをしてくださる方が居たら、
それは中々の採用マニアです。

内容は基礎的なものばかりですが、
集客やマーケティングの要素に欠けるため
工夫して書くように心がけたいと思います。

ただし、採用の基礎を知りたい人にとっては
絶対に必要な実務のお話なので、
人事の方にだけ刺さる話になればそれで良い
そう思って頑張って書きます。

今回は少し長い話になりますが
もし良かったら最後まで読んで頂けると幸いです。



1.選考段階で考えるべきこと(過去の復習)


まず、選考のプロセスにおいて何が一番大切か?

それは、「見極め」と「惹きつけ」を
両立して求職者の入社意向を高めることです。

応募者体験(CX)という概念があります。
販売なら、顧客体験(CX)に当たります。
詳しくは以下の記事でご確認ください。

読み方は
「キャンディデイト エクスペリエンス」

応募者の良い体験を最大化しましょう!
という考え方です。

また、企業と求職者は対等な立場であり、
企業側は自社に合った人材を見つける場、
求職者は自分にあった会社であるか判断する
であるとも言えます。

従って、今回の話は
求職者を見極める方法には一切触れません。

求職者にとって自社を選んでもらうためには
どのように惹きつけ、判断してもらうのか?
この視点にフォーカスしていきます。


2.どの段階で何を伝えるべきか?


次に、過去の記事で選考設計について
以下のことを意識しましょうと
お伝えしてきました。

①Why:何のために採用するのか?
②Who:誰に伝えるのか?
③What:何を伝えるのか?
④When:いつ伝えるのか?
⑤How:どのように伝えるのか?
⑥Where:どこで伝えるのか?

そして、
見極めとは企業目線であり、
惹きつけ求職者目線となります。

選考設定において重要なことは
『見極め』と『惹きつけ』の要素を
どのように配置していくのか?
これを予め決めておきましょうね。
であることを説明してきました。
(※詳細は最後にリンクを貼ります。)


そこで今回は、求職者の目線に立ち、あなたなら
どの地点で、どのような情報があると助かるか?
を一緒に考えてみましょう。

①求人メディアや採用ホームページ等で
 募集要項を見つけた段階
②応募した後、企業から採用面接の
 日程調整の連絡が来た段階
 ※新卒ならES提出や適性検査の段階
③一次面接の段階
④二次面接の段階
⑤最終面接の段階
⑥内定受諾前(内々定の段階)
⑦内定受諾後~入社までの間

仮に、新卒の場合で考えてみると
以下に具体例を挙げますね。

①の段階では、
・ミッション、ビジョン、バリュー
・会社概要
・年収・休日等の待遇情報

②の段階では、
・入社後のキャリアビジョン
・詳細の事業内容
・事業責任者のインタビュー記事等
※新卒なら、ES等のネタに情報レベルは開示
 しておく必要がある。

③、④、⑤の段階では、
・成長できる環境
 (例えば、研修制度やOJT、評価ツール等)
・仕事の具体的な内容
 (例えば、同じ職種における1日の仕事の流れ等)
・福利厚生(特に法定外福利)
・社風・文化などが伝わるもの
※段階的に理解を深めていくイメージ

⑥の段階では、
・上記の内容で不安に感じる項目の説明
※不安払拭(ふっしょく)が目的

⑦の段階では、
・先輩社員とのWEB面談
・内定者との座談会等
※求職者の好感度を最大化することが目的

こんな感じでしょうか?

ただし、上記が模範解答とは限りません。
各選考段階の理解度をどのように設定するか
によって答えは変わっていきます。

間違いなく言えることは、
・予め決めておくこと
・社内のメンバー間で共通認識を持つこと
・求職者目線で理解度を段階的に深めるイメージ

この3点を押さえておけば問題ありません。


3.採用を成功に導く3つの視点


ここからは、採用の失敗を防ぐために
必要な項目を3点ご紹介します。

逆に言えば、これを行うだけで
成功する確率がグンと上がります。

どれも気を抜くと忘れがちなので
自社の工程をチェックをしてみてください。

(1)求職者に嫌われる行動をしない


・選考段階の日程調整や選考結果のレスが遅い
・求職者を個人として扱わない
・他社批判をして自社の株を上げようとする

よくある失敗を過去の記事で
ご紹介していますので、
こちらを読んで頂くと理解が深まると思います。

(2)採用面接は遅滞なく、心地よく受けてもらいましょう!


よく、採用面接をすっぽかす面接者がいます。

特に中途採用では散発的に発生するため
うっかり面接予定を入れ忘れたりして
面接自体が実施できないケースがあります。

これは求職者にとても迷惑が掛かりますので
次の点にご注意ください。

・日程調整はツールで自動的に行う
 または、別の専任担当者が日程調整を行う
・前日や当日の朝に採用面接がある旨の
 情報共有を必ず行う
・万が一のために代役も用意しておく

それと、
面接会場が自社のオフィスである場合、
応接室までに仕事場を通るケースがあります。

また、
面接後に職場見学を実施している企業も
多いのではないでしょうか?

このような場合において
特に注意して頂きたいのが以下の10点です。

悪い印象をもたせる職場10箇条

①(夜間の場合)残業している社員が多い
②(休日の場合)勤務している社員が多い
③きついノルマを連想させる張り紙がある
 (個人の成績表も含む)
④ポスターが破れている
 あるいは古いポスターが色あせている
⑤受付や通路、トイレや待合室等が汚い
⑥職場のデスクが汚く、雑然としている
⑦社員がすれ違っても挨拶をしない
 または、元気がなく疲れた様子である
⑧上司が叱責している声が聞こえる
⑨年齢や性別に異常な偏りが見られる
 (職種による明確な理由がある場合を除く)
⑩座席が固定でピラミッド型の配置になっている
 (組織内のヒエラルキーを連想する配置はNG
  可能なら等配置のフリーデスクが望ましい)

「いや、これは変えられないよ!」
そう思われる項目もあるかと思います。

ただ、あくまで求職者目線で考えるならば、
仕方がないものは変えていく必要があるもの
今後の人事課題と捉えてください。

特に、
ノルマがない、残業が少ない、キレイな職場と
アピールしているにも関わらず、現地を見て
ギャップを感じさせてしまう職場は最悪です。

これが求職者に見つかると
高確率で選考途中に辞退されてしまいます。

広告と実態の乖離を無くす
自社の職場環境をよくする努力
常に意識することを心がけてください。

(3)伝え方次第ですべてが変わる


採用面接を担当する方に多いのは
○人面接したから、見極めには自信あり
と自慢する人が結構います。

逆に、面接時に求職者と意思疎通を図り
必要な情報をすべて聞き出し、
自社の魅力を最大限アピールできた
と見極めと惹きつけの要素を
自慢する人を私は見たことがありません。

私は後者の人を増やしたいのですが
意味が分かりますでしょうか?

この話、私は何度も説明しているのですが
知識としての理解ではなく、
感情としての理解(=納得感、腹落ち)
がないと意味がないと常々感じています。

ただ、ちょっと抽象的すぎるなと
反省もしているため、
今回は具体に落として言い換えますね。

採用活動とは
求職者へ「自社の仕事」という商品を売る
営業行為と同じと考えています。

その目的は
要件を満たした人を必要数だけ採用すること
です。

売上計画に基づき、
支払い能力のある顧客に販売する
営業行為に似ていますよね。

この時、売りたい商品=自社の仕事
顧客にとっての、
悩みごとを解消するもの、あるいは
欲望を満たすものである必要があります。

果たして、自社の仕事は求職者にとって
どんな悩みや欲望を叶えてくれるのでしょうか?

中途採用の業界内の転職シーンを想定して
解説してみたいと思います。

事実=求職者のメリット
つまり、求職者にとってのベネフィット
の順で記載します。

業界内では平均年齢が若い
 =前職と比べると若い内から活躍できる
 つまり、
 タイパ良くキャリアアップができる

業界内では休みが多く、残業時間が短い
 =ブラック企業からホワイト企業へ転職する
 つまり、
 家族や恋人、趣味に対する自由な時間が増える

業界内では年収は高い方である
 =前職より年収アップする
 つまり、
 趣味や飲み代など、自由なお金が増える
 家のローンや子供の学費が捻出できる

このように視点を変えて
伝えたい結果をイメージしてから

「自社の売り込む要素は〇〇で
 求職者の〇〇を満たすことが可能」


これを求職者に理解させることを目的に
選考設計に落とし込み、共通の認識のもと
実戦と改善を繰り返す…

これが私が主張する「惹きつけ」の要素である
と言えば分かり易いでしょうか?

「精神論は良いから具体的な手法を教えて!」
そんな声が聞こえてきそうですが…

では、具体的にどのような手法を使えば
「惹きつけ」が出来るのか気になりますよね?
これは長くなるため、次回とさせて頂きます。


如何だったでしょうか?

企業目線では見えてこない
採用で陥りやすい間違いを
求職者目線で解説させて頂きました。

次回は
「採用の基本のキの最終章」
採用面接の具体的手法から
内定辞退を防ぐ方法を解説します。


『採用の基本のキ』シリーズ


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