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記事一覧

ジェンダーと「宗教2世問題」〜エホバの証人の例を中心に〜

2022年11月24日の朝日新聞に掲載された「新興宗教と女性」と題した時評で、東京大学大学院の林香里教授はこの年の夏から注目されだした「宗教2世問題」にジェンダーの視点をとりいれて論じた。宗教2世をテーマにした菊池真理子さんのマンガを読んだ林さんは、まず次のようなことに気づく。
「それは、ほとんどの場合、母親が信仰を主導し、子どもたちに強引に活動に参加させていることだ。父親はいないか、見て見ぬふり

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カルト教団で過ごした10年

カルト教団で過ごした10年

長いあいだ、私はある新興宗教団体の熱心な2世信者でした。

小学校を不登校になったのがきっかけで教団にのめり込んだのが10歳のとき、教団施設での長年にわたる生活を経て脱会をしたのが19歳のときですから、足掛け10年、思春期のほぼ全期間を私はその団体の内部で過ごしたことになります。

そのあいだ、外の世界で働くこともなければネットで外部の人と知り合うこともなく、世俗の中学・高校に通うこともなければ塾

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「宗教2世」に対する同化アプローチと調整アプローチ――荻上チキ編『宗教2世』書評への再応答に代えて

今回のnote記事では、本年1月に書いた荻上チキ編『宗教2世』の書評記事にいただいた反応を踏まえつつ、宗教2世をめぐる議論をさらに更新していくためのいくつかの論点を提示したいと思います。

・前回書いた記事⇒
宗教2世を宗教被害者としてのみ論じることの問題について~荻上チキ編著『宗教2世』書評~

・それに対する社会調査支援機構チキラボのレスポンス⇒
「『「宗教2世」当事者1,131人への実態調査

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備忘録(宗教2世の話)

備忘録(宗教2世の話)

菊池真理子さんの「神様」のいる家で育ちました〜宗教2世な私たち〜という本を読みました。漫画です。タイトル通り様々な宗教家庭で育った2世の方たちへの取材を元に描かれた本です。

「神様」のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~

みんなが知ってるアレこの本についての感想と自分の生い立ちなんかをサラッとツイートしました。著者である菊池真理子さん自身のエピソードは第7話に出てくるのですが、それを読んで一

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子どもの権利をまもるために〜荻上チキ編著『宗教2世』の問題点〜

このnoteでは荻上チキ編著『宗教2世』の問題点をいくつか指摘していく。
しかし本稿はその内容を批判すること自体を目的としていない。
目標とするのはこの本が映しだしている現下の社会的風潮から、このさき起こりうると予想できる事態に警鐘をならすことにある。

僕は母親がエホバの証人の信者だった家庭でそだったアラフォー男性である。
だが25年以上まえの高校生のときからその宗教コミュニティからは離れている

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マスメディアが標本化した宗教二世像に不信感を募らせる二世たち

マスメディアが標本化した宗教二世像に不信感を募らせる二世たち

旧統一教会問題が加熱するなか、いわゆる二世たちの声に昨年の夏から耳を傾けてきた。これまでの情勢と被害者救済新法に二世たちは何を思うのか、メディアに登場する二世と立場や考え方を異にする彼らの見解を紹介する。たとえばある二世は、信仰している二世には人権はないが被害者を名乗ると立場が変わると言った。別の二世は、救済を考えるのが悪いのではなく家族問題が政治に利用されているのがおかしいと共産党の強い関与につ

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宗教2世を宗教被害者としてのみ論じることの問題について~荻上チキ編著『宗教2世』書評~

今回のnoteでは、荻上チキさん編著『宗教2世』の問題点をいくつか書いていきたいと思います。
本記事の執筆にあたっては、2022年の12月18日にオンラインで行った同書の読書会で出た参加者の感想も随時付記していきます。同読書会に参加されたのは、創価学会2世が私を含め6名と、世界平和統一家庭連合(以下、旧統一教会)2世が1名です。年齢は20代から40代で、全員男性。組織活動の程度や、信仰のあるなしに

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"Soka Gakkai’s Human Revolution: The Rise of a Mimetic Nation in Modern Japan"はめちゃめちゃすごい本なので読んでほしいという話

"Soka Gakkai’s Human Revolution: The Rise of a Mimetic Nation in Modern Japan"はめちゃめちゃすごい本なので読んでほしいという話

なんというか、ビビった。
読んでるときに何度か声を出して叫んでしまった。
同じ時代でほぼ同じテーマに取り組んでいる研究者の本についてこれを言っていいのか分からないが、これまでに書かれた日本の創価学会についての著作のほとんどを過去にするような著作だ。

言いすぎだと思う。
言い過ぎだと思うけれども、それくらい今回紹介するレヴィ・マクローリンさんの著作『Soka Gakkai’s Human Revo

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