タレスの野望

世界史から学ぶ金融やビジネスについてのマガジン。世界史の勉強法や、小説も書きます。

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最近の記事

アリは欲しがらない

アリのところへ行け 〝ありのところへ行け。そのやり方を見て,賢くなれ。ありには司令官も,つかさも,支配者もいないが,夏の間にその食物を備え,収穫の時にその食糧を集めた。〟 歴史を垣間見るというのは、思ったより難しいものだ。 この場所に〝何千年も前に大文明があった〟と、岩だらけの草地の上で言われてもピンとこないだろう。 映像や書物が今に伝えていることも、ほんの一部に過ぎない。 だから、賢者は歴史から学ぶと言ったところで、本当に全てを理解しているといえない状況では、大勢の

    • 世界恐慌

      ジャズの酔いから覚める時1920年代のアメリカは、空前の好景気に沸き、株価も右肩あがり、GDPが急成長し、人々の間にもほぼ現代と変わらないような生活が浸透していた。 ところが、大戦後の混乱から立ち直り、10年間に及んだジャズ・エイジは、突如として終わりを迎える。 大不況と大混乱の長い長い時代の始まりである。 アメリカ発の世界大恐慌は、1929年10月から1930年代前半にかけて起こった。しかし、恐慌の伏線自体は1920年代の盛り上がりの中にひっそりと身を潜めていた。

      • 狂騒の20年代

        高層ビルも含め、ほぼ現代の暮らし 1919年、アメリカ・ニューヨーク州・マンハッタン。第一次世界大戦から復員してきた兵による戦勝パレードは、重苦しい過去を跳ね除け、明るい未来の始まりの象徴となった。 アメリカはイギリスから独立して以来、さまざまな戦争を行ってきた。イギリスとの独立戦争を始めとして、史上最大の死者を出した内戦の南北戦争などだ。度重なる戦争の資金は、「世界の銀行」となっていたイギリスの金融システムを通じて、外国から公債の発行によって調達した。そういう経緯から、

        • 帝国主義と第一次世界大戦

          眠らない国が眠れない戦いへ18世紀にイギリスで産業革命が起こり、全世界に波及したのは周知のとおりだ。そして、蒸気機関を用いた軽工業が中心となった時代から、やがて重化学工業中心となって鉄道や石油、鉄鋼などの産業が主力となる時代へと変化していった。 そんな中で、特に勢力を伸ばしてきた国がある。南北戦争、金ぴか時代を経て急成長し、1880年にイギリスを工業生産で抜いたアメリカと、バラバラな国の集合体だったのが1871年にまとまって一つの帝国となり、保護関税政策や工業化によって重化

        アリは欲しがらない

          金ぴか時代

          史上最強の金持ちを生み出した資本主義の黄金期 今、世界で一番お金持ちな大富豪は誰?と聞かれたら、即答できる人も多いのではないだろうか。 そう、Amazonの創業者にしてCEOの、ジェフ・ベゾスである。 じゃあ、物価とかも考えて、世界史上でもっともお金持ちだった富豪は誰か?と聞かれて、即答できるだろうか それでもジェフベゾスじゃないの?いや、ビルゲイツじゃない?誰だろう… 多くの人は分からないはずだ。 正解は、ジェフベゾスでもないし、イーロンマスクでもビルゲイツでも

          フランス革命

          領主の権力から市民の権力へ 1789年7月14日、フランスのパリにあるバスティーユ牢獄に民衆が集合し、襲撃、武器を奪って破壊した。 ヴェルサイユに居た国王ルイ16世のもとにもバスティーユ襲撃の知らせは届いた。 暴動か?と聞いた国王に側近は、いいえ革命です、と答えたという。 ”圧政に苦しんだ国民が革命を起こした” 普通のフランス革命の説明ではここまでしか語られない。 しかし、経済という側面でフランス革命をみると、違う景色が見えてくる。 資本主義革命としてのフランス

          フランス革命

          オランダ海上帝国

          小さな帝国から生まれた、株式会社という大発明 光と影の明暗を明確にする画法で知られる、17世紀オランダの画家『レンブラント』 まさにオランダの黄金時代の始まりの時に生まれ、好景気の中で自らの絵を売ってお金を稼いだ彼は、オランダの没落とともに不況と美術市場の落ち込み、自らの浪費やこだわり、不運などに見舞われ、借金を重ねて晩年は貧困に喘いだ。 不景気とともに債権者の態度が硬化し、全財産を代物弁済することで破産を逃れている。 まさに光と影、国の浮き沈みとともに生きた芸術家の彼

          オランダ海上帝国

          大航海時代

          ”世界”はこうして広くなった 1295年、あるヴェネツィア商人が長い長い旅から帰還した。 彼の名はマルコ・ポーロ。 代々東方貿易に従事する商人の家に生まれた彼は、父親兄弟とともにアジアへの旅に向かう。 25年もの間、旅に出ていた彼が蓄えた知見は、1298年にジェノバに投獄された際、著述家のピサに口述され、これが『世界の記述』として発表されることとなった。 これは当時のヨーロッパ世界の人々に衝撃を与えた。 インドの、輸出向けの胡椒や生姜、藍などの産業。 泉州の港は

          ヴェニスの商人

          アドリア海のシンデレラストーリー 「ヴェニスの商人」という物語を聞いたことがあるだろうか?名前だけは聞いたことあるという人も多いだろう。かの有名なウィリアム・シェイクスピアが16世紀に発表した喜劇である。 物語の内容は、読んで字のごとくヴェネツィアの商人が主人公で、全財産が船に乗ってしまっている商人が友人にお金を貸すため、高利貸しのシャイロックに借りにいく。その際にシャイロックは担保として主人公の胸の肉1ポンドを要求した。簡単に返せるはずだったが、船が難破し運悪く返せなく

          ヴェニスの商人

          南北戦争

          人権のための戦争?お金のための戦争? アメリカ、サウスダコタ州にあるラシュモア山に、4人の大統領の石像がある。 左から、ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、セオドア・ルーズベルト、エイブラハム・リンカーン。 今回の「南北戦争」でカギとなるエイブラハム・リンカーンだが、なぜ現在でも変わらず尊敬され、歴史上最も偉大な大統領の中の1人とされているのだろうか。 そして、実際のところリンカーンはどのような政策を行ったのか。 南北戦争はどんな戦争で、アメリカの歴史に

          産業革命

          イノベーションは、さまざまな伏線が回収されて起こる 「時代は第四次産業革命に突入し…」 最近よく話題にのぼる事柄である。AIやIoT、ブロックチェーンなどによって人々の暮らしが大きく変わっていく2010年代からの数十年を表現したものだ。ところで、第四次があるということは、当然、第一次産業革命もあるわけだが、その知識は曖昧な人も多いのではないだろうか? そこで、今回は「産業革命」の原点を解説していく。 時は1763年に遡る。よく産業革命は18世紀半ばを起点とすることが多

          穀物法廃止

          自由貿易のメリットが明確化した200年前のお話時は1815年、舞台はヨーロッパ。一時はヨーロッパの大半を征服したナポレオンであったが、途中から敗戦や撤退が相次ぎ、第二次パリ条約の締結によってナポレオン戦争は終結を迎えた。 戦争が終わり、平和が戻りつつあったヨーロッパ。イギリスはヨーロッパ地域からの小麦の輸入を増やし始め、イギリス国内の穀物価格は大幅に下落した。イギリス国内で供給がだぶつき農業不況となってしまったのである。 当時の議会は、大半が大地主や農業資本家であり、国内

          均輸法と平準法

          国家が商売をする、物価に介入するのは是か非か時は紀元前115年、中国を支配していたのは、武帝率いる前漢であった。 この時代、北方にある遊牧民族の国家「匈奴」への外征などにより、前漢は深刻な財政難に陥っていた。 財政再建のため、塩・鉄・酒の専売制などをとったが、特に大きかったのが、均輸法と平準法であった。 まず均輸法について説明する。 どの国でもそうだが、地方によって特産物があり、地元で多くとれるものは供給が多いため価格が安く、遠くの地域では希少性が高くて価格も高くなる

          均輸法と平準法

          世界史で100点取る方法

          【はじめに】 このnoteを読んでほしい人は以下の通り ・受験を控えているが世界史に一抹の不安を覚えており、藁にもすがりたい思いの人 ・世界史を選択したはいいけれど、定期試験と小テスト、そして将来的な受験に不安を抱えていて、勉強法と俯瞰してみる方法を知りたい方 ・文転して世界史を選んだために切羽詰まっていて手段を選ばず成績を上げたい方 ・世界史が楽しくて仕方がない、向上心の塊の物好き 世界史選択をした人が必ずしも世界史が好きで得意なわけではないということは途中から

          世界史で100点取る方法