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営利と人情

どうもカネと人情は相性が悪い。

「お金儲けしようと思ってやっているわけじゃないんよ」

どこかの県の食堂のおばちゃんがテレビのインタビューを受けていた。圧倒的な低価格でボリューム満点。なんならお土産のお野菜までついてくる。
サービスを体現したような店を切り盛りするそんなおばちゃんを

人情派

と呼ぶらしい。

私も最もそんな人情派なおばちゃんがいる店に行きたいし、足しげく通えばラーメンを大盛りにしてくれるような店が好きな質である。

他方で私がいま一人の個人事業主として、宿を開業して思うのは、営利に対してシビアでなければならないというところである。つまり、お金儲けをしなければならないということだ。

宿には私なりの問題意識や思いが詰まっている一方で、それを存続させるために至上命題としてお金を頂戴する必要がある。

かといって、カネのことばかりを考えていると、心がさもしくなるし、自己嫌悪に近い感情も芽生えてくる。また「あのお客さんには一品サービスしてあげられたけど、今日のお客さんにはできなかった」なんて日には、どこかでお客様に提供するサービスに差ができてしまったなんてこともある。

もちろん無料サービスは無料サービスである以上、それは実行されなくても問題ないわけで、誰に責められるわけでもないはずだ。
つまり、営利と人情は対義語ではないということである。

営利の範囲内で、できる限りのサービスをご提供する。
それで十分のような気がしている。

それでも、どこかで「たっぷりサービスを差し上げられないというのも、人情味にかけるなぁ」なんて思ってしまっているわけなのだが。

もちろんインタビューを受けていたおばちゃんが悪いわけではない。
ただどこかで過度なサービスが人情的で、理想的だという空気が広がってしまうのも何か違う(おばちゃんにとっては過度ではないのだろうか)。

悩みは尽きないわけであるが、逆に悩みは尽きないということは最終的にそれを決めるのは私ではなく、お客様なのかもしれない。

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結論は思考放棄に近いですかね(笑)
続けることを目標にする事業と、営利を追求する事業はもちろん住む世界が違うわけですが、私はいまどっちにいるのやら。

旅は道連れ世は情けということで、本日はこれにて。
ご清読ありがとうございました。

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