プロってこういうことなんだな ~理容師のおっちゃんと市販のカミソリ~
私が目指したいプロは、散髪屋のおじさんみたいな人です。
つまり
「一般人と同じ条件で、違いを出せる人」
私はいつプロになれるのだろう?
私は今、なんのプロでもない。
となると、私がプロになれるのはいつなのだろうと思ってみたりする。
とはいえ、何をもって自分をプロと呼べばいいのだろうか?
収入?心構え?
たぶん両方だ。
ただ、1000万円もらったからプロというわけでもないし、プロの条件なんて本を読んだからと言って明日からプロになれるわけでもないだろう。
そのため、考えれば考えるほど、プロという目標は遠のくばかりだ。
お金を頂いたとてプロになれるわけでもない
テレビや新聞、また企業の講習会などは、
「お金を頂く以上は、プロでなければならない」
なんて言葉をよく使う。
ただ実際は、カネをもらったにもかかわらず、組織の内部闘争にしか目の無い奴やつもいれば、自分の思い通りに行かないことで激昂する奴もいる。
またプロを謳いながらも、手抜きをする輩が目に余るほどいるのも事実だ。
案外それは年配の人間だったりもするのだから、たちが悪い。
他方で私自身も会社員やアルバイトをしていたときに、「休憩まだかな?」なんて思ってみたりもしていた。
それはどこかで「お客から何円もらっても、俺の給料にはほとんど関係ないしな」と感じる私の傲慢さ、そして諦めに起因していたように思う。
お金を頂いたとて「プロ」なれるわけではなさそうだ。
理容師おっちゃんと市販のカミソリ
そのような私が「この人、プロだ」と感じた方は大阪府阪急茨木市駅前の散髪屋に居る。
つまり、理容師のおっちゃんだ。
彼が居たのは、カット・顔そり込みで2000円を下回るような大衆店であった。
当時の私は自分でヒゲを剃ると、しばしばカミソリ負けで血を流していた。
それゆえ、カミソリ負けを起こすたびに、
「理容師のおっちゃんのカミソリを使えば、カミソリ負けせんのかな」
と思う日々を過ごしていのである。
そのようなある日、この疑問をおっちゃんにぶつけてみた。
「やっぱ、お兄さんのカミソリって、一般人が持っとるヤツとは違うんですかね?」
すると
「そりゃそうよ。プロには行きつけの店っちゅうのがあるんよね。俺の場合は、キリン堂」
キリン堂とは関西を中心に広がるドラックストアチェーンで、散髪屋から歩いて2分のところにある店だった。
つまり、私がよくコーラを買う店だ。
私が笑っていると、おっちゃんは私をからかうためか、市販のカミソリを手に、私の顔を剃り始めたのである。
あの理容師特有のナイフのようなカミソリではなく、明らかに市販のカミソリだ。
プロなのに、市販のカミソリ?なんて思った。
とはいえ、まったく血は出ないし、剃り残しもない。
そして、おっちゃんは顔そりが終わった後に、私にこう言った。
「同じもんを使っても違いが出る。これが君からお金をもらう理由ってもんよ」
私はこのとき初めて、
プロってこういうことなんだな
と思った。
理容師が教えてくれた「プロの条件」
私は今のところ、おっちゃんを超えるプロには出会っていない。
彼はカネをもらったからプロになったのではなくて、プロだからカネをもらっているのだと思う。
またプロというのは「プロだけが集まる世界」にいるからといって、プロになれるわけでもなさそうだ。
「プロだけが集まる世界」ではきっと、どれだけ高価なカミソリを持っているか、また自分の散髪にどれだけ高い価格をつけられたかが議論の的になることだろう。
その世界はもしかすると、一般人が入る余地はなくて、最悪の場合、
自称プロが自称プロ同士でお互いを褒め称え合う「生ぬるい」空間かもしれない。
おっちゃんはどうか?
2000円を割るような大衆店において、市販のカミソリで一般人の私に格の違いを見せつけた。
きっと本当の「プロ」は、
「一般人と同じ条件で、違いを出せる人」
なんだと思う。
私が将来どの道でプロを目指すかは分からないが、どんな道を選んだとしても、私もおっちゃんのような「プロ」になりたい。
ーー
元プロ野球選手の新庄剛志さんも阪神入団時に買った8000円のグローブで阪神・メジャー・日ハムでのプロ生活を全うしたそうな。
理容師のおっちゃんの例も、新庄さんの例も
使う人が使えば、違いが出る
ってことですね。
これができたら格好いいな、と私は思います。
彼らみたいに「頑張ったら自分も手が届きそう」っていうくらいが、親しみも出るし、近い目標として興味を感じてもらえるかもしれませんね。
まだ何のプロになったわけでもありませんが、
自分がプロになったとき忘備録として文章にしてみました。
というわけで、今回はここまで!
お読みいただきましてありがとうございました!
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