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オーガニックブームと農薬のイザコザ

専門性を押し出しすぎるがゆえに、伝えたいこと・議論したいことが消費者に届いていない

農薬使用・不使用論争

ときどきtwitterを見ていると、農薬論争で「燃えてる」ときがある。それは大抵、自称オーガニック専門家が言葉足らずのまま「農薬まみれの野菜なんて危険です!」なんてツイートをするからである。

私自身は農薬不使用で作物を育てているが、別に農薬を使用した野菜が危険だとは考えない。これには国が科学的に定めた基準値等をそれぞれの農家がプロとして遵守しているからである。

それでも、私が農薬不使用で作物を育てているのは多少は思想的な理由もあるが、

①農薬を使って管理するほど農地が広くない
②JAに出荷していない≒規格・品質をJA基準でそろえる(例)小松菜は虫食いダメ

といった経営スタイルにも理由がある。そのため、むやみに農薬が危険と吹聴するのは、農薬不使用の私も反対である。

残留農薬の例

ただツイッターでの議論の構図を見ていると、農薬を使用している農家が悪者として扱われていることも少なくない。これは農薬使用が安全であることと、消費者にとっての感情的な安全は異なるということだ。例えば、こんな問答がある。

消費者:農薬を使っていても野菜は安全ですか?
生産者:農薬は出荷時には残っていません。

この会話は成立しているようで成立していない。なぜなら消費者は安全かどうか尋ねているのに、農薬の話にすり替わっているからである。

消費者が知りたいのは

消費者が気になっているのはあくまで野菜が安全かというシンプルな問いに対する答えであって、農薬の残留性の是非や有無ではないのだ。そのため、もちろん文脈さえあれば生産者の考えは伝わるとは思うが、ツイッターという空間ではそれがなかなかに難しい。

農家たちはプロである以上、専門的な知識をもとに自分たちのスタイルの正当性を主張する。これ自体に問題はない。しかし、その専門性を押し出しすぎるがゆえに、伝えたいこと・議論したいことが消費者に届いていないのではなかろうか。

農薬を使う農業も、そうでない農業も、それぞれ手のかかる仕事であることはたしかだ。だからこそ、それを踏まえたうえで作物を食べてみてもらえればというのが、議論の蚊帳の外にいる私の思いである。

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非難するのは簡単ですが、批判するのは難しいですね。

というの分けで本日はこれにて。
ご清読ありがとうございました。

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