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あやとり家族51〜離婚の決め手〜

面倒臭いから行ってきて

お盆が近づいて、迎え火に行ってきてほしいと
義母から言われたのは1ヶ月前

お店を経営していたため行くのが難しいからだ

迎え火の前日
夫は「今日なら出られそう」
と夜の街へ繰り出していった

半信半疑ではあるものの、体調が良くなっていると思い込む
そして
良くなってほしい

と、その時はまだ変われる余地があると
希望を持っていた私

朝になり、店の人から電話が入った
「ベロベロに酔って起きない、家まで送るから住所を教えて欲しい」とのことだった

申し訳なさでいっぱいで、私が迎えに行き
夫を車に乗せてもらった

と、ここまでは良かったが問題はこれから

家についた
4階まで夫を運ばなければならない
起こしても起きない

ぐったりとした身体はとても重たい

一度おんぶしてみたものの、重たすぎる
平面の道ならまだしも、階段というトレーニング付き

一段一段上がるたびに、体重が増加しているのではと錯覚するくらい重くのしかかる

何分かかったのかわからない
それでも火事場のクソ力ってすごい
こういう時に本当に出るもんだ

やっと家まで運び布団に寝かせる
すぐに車を駐車場に移動させ家に戻る

顔は青白く身体は冷たい
体温を測ると34℃台

低体温だ

すぐに布団をたくさんかけて身体を温める

むかつくけどほってはおけない

朝方5時頃の出来ごとだった
それから9時くらいまで寝かせ、やっと声かけに反応し始めた

「今日迎え火に行く日だけど、何時ごろに行く?」

帰ってきた返事

「面倒臭いから行ってきて」

この人やっぱり心がない
弟のことだよ

今日行くって決まっていたじゃないか
前日出かける時にも、明日迎え火だよと伝えておいたにも関わらずだ

私は悲しくなった
こんな人のために一生懸命やっていたのかと
あまりのショックに呆然として
1人で迎え火に行ってきた

夫の実家に迎え火を届けた
義母には言えなかった
「面倒臭い」って言われたこと

こういう時に正直に話せればいいのだか、夫を悪く言うことはできなかった

それから自分の家に帰る

その後のことは記憶にない
相当なショックだったんだと思う

それからも夫の生活は変わらず
「仕事できるんじゃない、そろそろ」
というとパニック発作を起こすから言えない

この発作も本当なのか嘘なのか
もうわからなくなっていた

相変わらず頻繁に飲みに行くようになり
浮気までし始めた
それも同じ団地に住む人妻だということもわかっていた

もう限界


実家に行き、母に夫のことを一部始終伝える
今まで一度も夫のことを伝えたことはない私が、我慢の限界を超えて
初めて母に相談した

聞いてほしいだけなのに
淡々とアドバイスをしてくる

”労う”とか”とにかく話しを聞く”
という姿勢は一向にない

”本気で困っている”ということを言っているのに伝わらない

しまいには
「夫だけが悪いんじゃないからね、あなたにも原因があるんでしょ」
で締めくくられた

双方に悪いところは確かにあると思うけど
子どもが困って親を頼るって相当なこと

とにかく話を聞いてもらいたかっただけなのに

母に言っても無駄だと思った私は離婚することを
自分で決断し後日そのことを伝えた

夫と2人で話しても解決しなさそうだったので
あらかじめ相手の両親を呼び出し、私たち夫婦と私の母と5人で集まった

私は”離婚したい”という意志を伝え
義父が夫に「お前はどうなんだ」と質問し
「俺もそれでいい」
すんなりと離婚に同意

私はそこでこれまでの経緯を話し始めた
しかし、「もういいでしょう」と話の途中に母に止められる

「この子、いつも笑っている子なんです。だけど最近全然笑わなくて
どうしてかなー」って思っていたんです
と自分の意見を呑気に伝える母

私の話をろくに聞いてもいないくせに
この場になって”何言ってんだ”と内心イラッとした

”私が伝えたいんだよ!どれだけ自分勝手な人なのかを”
相手の親にも理解してもらわないと気が済まなかった

結果的にパニック障害で働けない夫とは暮らせないという
私の意志で離婚に至ったという結末になってしまった

悔しかった

「なんで言わせてくれなかったの?浮気してることとか」と母に後日伝えると
「相手の息の根を止めるようなことまではしてはダメよ」
と夫の味方だ

私の息の根は散々止めてきているのに

その後、行く宛のない私は一旦実家に戻るが
すぐに車中生活を始めることとなる





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