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星時雨
2023年12月8日 20:01
白鍵と黒鍵とそれらがずらりと並ぶ八十八の玉座そして沈んだ鍵(けん)の窪みから人の姿に似た木が芽吹くピアノから生まれた木は母なるピアノに還るべく八十八の玉座を尋ねるその軌跡を律とし隠されたパターンを解き明かした時かの扉が開くのだそして浮かんだ鍵(けん)の頂から人の姿に似た木が還っていく私の耳に残った響きはその生命の旅路私の心に残った響きはその生命の循環
2023年11月13日 06:45
僕を縛る苦い記憶引き止める優しさに「No」というナイフを突き立てた日不思議な自信に溢れていた10代の終わり僕の甘い言葉で引き寄せた人を自ら辛い言葉で傷つけた日10年以上も前 今でも思い出してしまう僕の罪その罪悪感が鎖のように伸びて絡みつき脳の深い場所でずっと外れないでいるその鎖に下ろされた錠前の鍵がいつまで経っても見つからない仕事もし 結婚もし 子どもも生まれ親という
2023年11月13日 22:47
美味しそうなスイーツ買ってきてちょうどいいやつお願い簡単に作れるものでいいよ良い感じに仕上げといて センスのある家具が欲しいいつものやつ使いやすくて先が尖ってなくて……知らんがな−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−それでも応えたくなるのが営業の性。
2023年11月10日 23:09
『夜の抱擁』静寂が月明かりを借りて現れる。眩しすぎないように雲がそっとカーテンをおろす。 空気が休んでいる。遠くの喧騒も木の葉の揺れる音も、全て闇夜に包まれてしまう。うっすら浮かぶ、木々の黒い輪郭。一歩踏み出すだけで崩れ落ちてしまいそうな、やさしい地面。ぽっかり空いた真っ暗なポケットに、僕は飛び込む。無口な夜が静かに僕の髪を撫で、頬を撫で、肩を抱く。このまま夜に抱かれて眠っ