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【詩】 夜の抱擁

『夜の抱擁』

静寂が月明かりを借りて現れる。
眩しすぎないように雲がそっとカーテンをおろす。 

空気が休んでいる。
遠くの喧騒も木の葉の揺れる音も、全て闇夜に包まれてしまう。
うっすら浮かぶ、木々の黒い輪郭。
一歩踏み出すだけで崩れ落ちてしまいそうな、やさしい地面。
ぽっかり空いた真っ暗なポケットに、僕は飛び込む。

無口な夜が静かに僕の髪を撫で、頬を撫で、肩を抱く。
このまま夜に抱かれて眠ってしまいたい。
このまま静寂に身を寄せ甘えていたい。
あとはほのかな口付けがあれば僕は満たされるのであろうか。

遠くで見つめる街灯の明かりは、黒い沈黙を守るだけ。 
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高校生のときに書いた詩です。
最初に投稿する詩はこれかなと思い引っ張り出してきました。
今でもこれを考えて書いていた頃を思い出すぐらい思い入れのある詩で、忘れないように残しています。

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