マガジンのカバー画像

KnightandMist

92
たぶん小説になる予定。今書きためているところです。 あらすじ 浪人し、就活も失敗し、あとがない主人公浅霧遥香。 そんなある日、彼女に異変が襲った。 それは今流行りの異世界転生…
運営しているクリエイター

2022年1月の記事一覧

Knight and  Mist第九章-4みっしょんいんぽっしぶる?

Knight and Mist第九章-4みっしょんいんぽっしぶる?

「あらためて見上げるとデカい建物ね……」

「建物っていうか、塔だな……」

ハルカとスコッティが見上げて口々に言った。

「このどこにいるんだろう?」

「塔の地図はイスカゼーレから入手した。あとは上手くいくかだな……」

そして見るキラキラマントの一団。

ちなみにスコッティもキラキラマントを羽織っている。ハルカはアンディから借りたガチの貴族のお姫様ルック。

「いいか、我々はモンド様の遣いで

もっとみる
Knight and  Mist第九章-3 作戦会議

Knight and Mist第九章-3 作戦会議

「そういうわけで。王家の立場としては、セシルが元テネブラエの一員で、情報と引き換えに無罪放免にしたーーこの取引のことを異端審問院に知られたくないの。たまにきなくさいところに潜入捜査もしてもらってるから」

アザナルが慎重に言った。

「逆に言うと、異端審問院から見ればきなくさいはなしだらけの男ってなわけだ。あのクソ野郎は」

イーディスがふーん、と足を組みソファにもたれかかり腕を頭の後ろで組んだ。

もっとみる

Knight and Mist第九章-2 スループレイナ王国の歴史 後編

「で、なんで今になってもまだ異端審問院が権力持ってるわけ? ガイア派は潰しちまったんだろ?」

イーディスの問いに、アザナルが眉間をもんだ。

「また魔王が復活して、それを止めたのがあたしたちなのは知ってるでしょ」

一同うなずく。

「そのときに暗躍してた組織があったの。秘密結社テネブラエ」

アザナルが言い、モンドがつづきを話す。

「一度目の魔王は自然発生的なもの、政治の混乱による人心の乱れ

もっとみる
Knight and  Mist第九章-1 スループレイナ王国の歴史 前編

Knight and Mist第九章-1 スループレイナ王国の歴史 前編

「ことの始まりは、ガイア派の弾圧からだーー」

重々しく語りはじめたのはモンド・デ=ラ=モンロー。

王立魔導院で官僚を育成する旧家、その宮殿で、ハルカたちは王家の歴史を、ひいてはセシルの囚われた異端審問院とはなんなのかを聞いていた。

豪奢な部屋にいるのはハルカ、イーディス、モンドの妹アンディ、アザナル、キアラ、キラキラマントのクールシトラス、語っているモンドもキラキラマント、そしてスコッティと

もっとみる
Knight and  Mist-interlude-セシルサイド

Knight and Mist-interlude-セシルサイド

赤い月が見えていた。

月が赤いのではない。眼底に血がたまってそう見えるのだ。

こんな風景を前にも見た、とセシルはグッタリしながら思った。

そこは汚物がそのままの薄暗い牢だった。尖塔の上の牢屋で、窓があるところには頑丈な鉄格子が嵌められている。

異端審問院の特別牢だ。

こんなにも憂鬱になる場所は他にないとセシルは思ったが、同時に自分に似合いであるとも知っていた。

思い出すかぎり、自分がま

もっとみる

Knight and Mist第八章-13 王家の使者

「え、アンドレアさんは政治的になんとかするって言ってたよね?」

ハルカは納得できず食い下がった。

モンロー家の客間に権力者が勢揃いして、何もできないと言うのだ。

"何者か"である人たちが雁首揃えて、何もできないと言う。ハルカには腑に落ちないことだった。

"何者か"になる人は何かを為している人たちのことだ。それなのにーー

(でも、わたしを実験台にしようとしてたトゥム博士だって、"何か"はし

もっとみる
Knight and  Mist第八章-12 魔の都

Knight and Mist第八章-12 魔の都

「モンドのダンナぁ! 大変だ!」

モンド・デ=ラ=モンロー、スループレイナ大貴族のお屋敷の客間にて。

再会を喜びつつひととおり話が終わったころだ。

突如息を切らしながら、クール・シトラスがやって来た。

「すまねえダンナ、とにかく大変なんだーー」

言い切らないうちに、キラキラマントのイケメン、クール・シトラスが扉ずたいに崩れ落ち、その裏からずずい、と現れた人影がある。

「あーら、イスカゼ

もっとみる
Knight and  Mist第八章-11 協定の行末

Knight and Mist第八章-11 協定の行末

「オホホホホ嫌だわアタシったら取り乱しちゃって! あらためまして自己紹介と参りましょう♡」

「語尾にハートがついててもこええぞこの女」

イーディスが引きつった声で言う。

モンロー家の宮殿客間で。

ハルカ、イーディス、モンド、モンドの妹であらためて話をということに。

人払いのためクール・シトラスは出ている。代わりにのっぽのお爺さんがいた。執事服を着ておりいかにも執事でセバスチャンという感じ

もっとみる
Knight and  Mist第八章-10 モンロー家

Knight and Mist第八章-10 モンロー家

キラキラ軍団に護衛されながら、イーディスとハルカ、そしてキラキラマントに派手な羽飾りのクール・シトラスとさらに派手な羽飾りのモンドで馬車に乗り、羽で窒息しそうになりながらゴトゴト数十分。そのお屋敷は現れた。

ピンクの外壁に、精巧な彫刻。鉄柵の向こうに前庭があり噴水が真ん中にある。

まさに宮殿。砦とは違う、貴族が住まうためだけの、豪華絢爛な、いわゆるお城だ。

でかい扉の前には身なりの良い男が見

もっとみる