在野碧冀

今が、癒やしのための旅路なら。 - 詩や日常の記録と記憶 -

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今が、癒やしのための旅路なら。 - 詩や日常の記録と記憶 -

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今が、癒やしのための旅路なら。

沢山の後悔がある。 沢山、自分を責めたことがある。 ゆるせなかった自分を、少しだけ、ゆるせた時。 悲しみきった時。 歩いている今が、本当は。 償いのみちではなく。 罪など、咎など、なく。 罰でも、なく。 ただただ、それを 癒やすためのみちなのではないかと。 そう、思えたから。 だから、今。 言葉を、日々を、書き記すよ。

    • ひとりごと。

      身体の調子に引き摺られて、 ぼろぼろと泣きながら、今日、気づいた。 本当についさっき、気づいた。 自分の中で、 痛みを感じること 辛さを感じること それを、ダメなことにしてたんだって。 例えば、体調が悪ければ その原因を探すでしょう? 怪我をしたら 傷口を手当するでしょう? 心もそう。 その原因を考えて、 分からずに余計に悩みを深めてみたり。 なんとか落ち着こうとしてみたり。 気を紛らわせてみたり。 弱いって責めてみたり。 どうしようもないって諦めてみたり。 頑張って、気分を

      • 嘘の流れ着く海

        涙を隠して笑うことも嘘だというのなら 世界は嘘吐きで溢れてる 貴方の唇から途切れ、震える声に 聞こえる嗚咽に 僕は涙を流さない 貴方の両目がどんなに腫れて 痛々しく思えたとしても 僕は、涙をこぼさない 涙の後 また、前を向く強さを知ってる 涙の痕 その眼差しに宿る強かな美しさを 目の前で貴方が泣き崩れたとしても 僕は、涙を浮かべない 唇を噛み締めて 弱さなど滲ませず 貴方の背を支える一手になろう 移り変わる空の色を伝え 貴方に刻を知らせよう 普段は気丈な貴方が嫌う涙

        • 無題

          涙の意味は色々あって その時々によって違う 違うのに、ひとつとして重ならないのに 同じ色して、落ちていく 軽くなるのは、その身体 途切れ途切れの言の葉達に 素知らぬふりで背を向けたりして 吹けば消えそうな儚さで ゆらり、ゆらりと影が揺れ 吹けば消えそうなか細さで それでも歩を進める貴女の 近づくときをおそれながら 近づくみちを見つめながら 凪ぎ、激しく 惑い、揺れ 綴じ込め、また 傍ら、溢れる涙に添う

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        今が、癒やしのための旅路なら。

          年の瀬に

          誰かの声が聞こえないこと それが、寂しさだと思っていた そばに、誰かの温もりが感じられないこと それが、寂しさだと思い込んでいた 『来年は、寂しくない一年に』 年の瀬に 人混みを避け、願ったこと 誰といても、何をしても 冷え切った奥の奥の方に凝った 消えない寂しさが ふと、顔を出す 瞬き一秒、その隙間に するりと入り込んで、声を上げ 眼が合えば、最後 雫に変わるまで、満ち満ちて 指先を冷やしていく 寂しさには 少しだけ、心細さが見え隠れする 少しだけ、不安が見え隠れする

          日常に

          ちょっぴり、遠くへ歩いてみたら 知らない景色が、ぽつん あら、こんな場所、あったかしら?と 覗き込んで、一対の眼 こんにちは。 あなた、ここで何をしているの? 言葉、交わして 心、交わして 少しだけ、違う風 束の間、そうね 日記の一行にも満たないくらいよ あなたの日常でステップを踏む 私の姿 束の間、そうね 忘れてしまうなら、少し未来の約束を また、遊びに来てね。と微笑む その眼差しの美しいこと 重なる白に新しい足跡を残して また、あなたに会いに行きましょう

          ほんのひととき

          足もとまで届く光のなかで あなたの心が好きだと思った あなたの形を愛しいと思った 砂利の敷かれた坂を上る 吹雪は止んで 鳴らした奥歯も、静か 私にもたらされた光だ、なんて そんな思い上がったことは言わない 口には、出さない けれど 『ここ』に降るあたたかさがじんわり、解けて 随分先にある、春が すぐそばで、笑った気がしたんだ

          ほんのひととき

          無題

          心を大事にしよう 言葉で彩ろう いつしか、独り歩き 傘の下で濡れそぼつ ぽつり、影には目もくれず 遠くなってしまった音たちへ 期待、期待、不安、諦め 否定、否定、素知らぬ振りで 今度こそ、今度は、きっと 上手く、形づくるのは誰のため? 綺麗で、結構 かりそめ、まやかし その上に積み上げ布を掛ければ なんだって描けたつもりで 白は、さ 消したいものも 消したくないものも すべて、無にしてしまうんだよ こんなに、怖がりながら あなた、いつか 振り向いたら、何も 見えなくな

          静かなる

          いつも、いのちの価値を考えている 塞がらない大穴に 風の冷たさがしみる度 深くなる夜に寄りかかって 理由を探して、見つからなくて 溜め息、虚ろ そのまま張り裂けて 静かな朝が来る その、繰り返し 笑って、触れて、綺麗だなって よし、ってきらめく瞳と同居する 消えないもの 一進一退 きらきら、どうしたら きらきら、ひとつ残らずに きらきら、きらきら 透明になれるでしょう、と 季節だけが、移ろって

          うさぎが一羽

          踏んだり蹴ったり、転がりながら 今日も、息をしているよ ごめんな。って 力不足を責められなかった日 運転席にはうさぎが一羽 この姿じゃぁ、寄り道もできないね。なんて お月さまみたいに まるまって、もこもこ 鼻も、長い耳も まるめてまるめて、ぎゅうっとさ トクトク、鼓動も きこえないくらいに 踏んで、蹴って、転がって そりゃぁ、汚れも傷も、痛みだって 癒やす先から増えては滲み 癒える前に重なって ちいさな部屋にはうさぎが一羽 お月さまにはなれないから、さ 紅い眼で鼻を鳴

          うさぎが一羽

          軌跡の先を求めて

          夜の雲間を流れ落ちた たった一瞬の瞬きは 淡い軌跡を繋ぎながら 何処を目指して行くの 健やかに眠る子を見おろして 白に染まる地平線を越えて そこは 僕らが知らない ところなのでしょうか それとも巡りめぐって何度でも 僕らの目に映るのでしょうか 軌跡の先を求めて 僕は旅に出ようと思うのです その煌めきのたどり着く場所に 咲いた花を君に手向けようか もしもたどり着いたその場所が 僕のもとだというのならば きっと泣きながら愛の言葉を 空へと囁くだろう

          軌跡の先を求めて

          明け空に願うこと

          あの子が冷たい朝を迎えた日 空は きれいな青をたたえていた 久しぶりに顔を出した太陽が 静かに 静かに そのからだをつつんでいた 風がさらったのは ほんの 一瞬のこと 流れ続けた水の 最後の一滴をすくうことすら出来ずに ひとり 旅立ったあの子 嗚呼 私がその声に答えていたら あの子は たったひとりでゆくことはなかったでしょう 痛みも苦しみも取り除くことはできないけれど それでも 瞳をとじるまでのほんの 一時でも 変わりゆく夜空を見つめて あの子の隣に寄り添うことはでき

          明け空に願うこと

          僕の音と君の音が重なって、和音 さざ波、駆けて、環音 手の中の宇宙 想像はどこまでも自由で その羽の根に宿り その羽の音と響き 忘れ物はね 消えたのではなく 先でまた僕らを待っているんだ 新しいカタチで 君の踵から 僕の踵から 優しく撫でるように 福音がひろがって 明日へ、続いている

          揺れる。

          りん、りん。 祈りが、貴女のそばで揺れているのを見た。 やわらかな若草色は、鮮やかで。 封を切られないまま 仕舞い込まれたものと思っていたのに。 りん、りん。 わざわざ、と 顰められた顔をおぼえている。 しわしわの顔に、さらに深い皺を刻んで。 笑って? いいえ、その反対。 よくもまぁ、と 雄弁に語る表情を前に 引っ込めることなく手渡したのは記憶に新しいよ。 りん、りん。 鳴るのは、自己満足の願いだ。 りん、りん。 伝わるのは、自己満足の祈りだ。 そう、ただ、伝えた

          『願い』

          鉛色の空も 飛び散った意志も いつか、教科書の1頁 それにもみたない数行の羅列になって 年代史に並ぶ数字 誰かが語呂を考えたりして 白黒の過去 『今』の痛みに流されていく 帰り道を染めた夕焼けの先で 焼きつき乾いた涙 惚けて享受した青空の下で 冷たくなっていく肌 音は薄いガラスの向こう “そこ”と“ここ”とを繋いで 一瞬で踏み荒らす足はない 現実のようで夢とした日常 寄り添う心は束の間 街は白 クリスマスの音色 いい子の定義ってなんだろう 『それだけを願いに』 誰か

          美しさを

          美しさを詠いましょう どんな感情も 望む姿が疾く走り 熟れた柘榴が濃く澱んでも 望む姿があるから また光射す 僕らの声は調べになって 過去も、未来も 忘れた頃に届く 望む姿があるから また光指す 捨てようとした今だって、そう 波音に似た 僕ら、ひとつにして 美しさを歌う