『願い』

鉛色の空も
飛び散った意志も
いつか、教科書の1頁
それにもみたない数行の羅列になって
年代史に並ぶ数字
誰かが語呂を考えたりして
白黒の過去
『今』の痛みに流されていく

帰り道を染めた夕焼けの先で
焼きつき乾いた涙
惚けて享受した青空の下で
冷たくなっていく肌

音は薄いガラスの向こう
“そこ”と“ここ”とを繋いで
一瞬で踏み荒らす足はない

現実のようで夢とした日常
寄り添う心は束の間
街は白 クリスマスの音色
いい子の定義ってなんだろう

『それだけを願いに』

誰かの声
賛同する声
反発する声
素知らぬ顔でスクロールする横顔

『それだけを願いに』

残る、声

大事なものは違うけれど
大事なものを、大事に想える今を

願いは、命の横に寄り添う
添え木にも似て
見守り照らす、明かりにも似て

想うなら、優しいものを
触れるなら、和やかなものを
平らく、平らくひろげて

降る白が、荒んだ地面を包んで
ゆっくり、染み込んで
ほぅ、と 零れた吐息に残る
願いが、重なって
そこに、ここに 届きますようにと