年の瀬に

誰かの声が聞こえないこと
それが、寂しさだと思っていた
そばに、誰かの温もりが感じられないこと
それが、寂しさだと思い込んでいた

『来年は、寂しくない一年に』
年の瀬に 人混みを避け、願ったこと
誰といても、何をしても
冷え切った奥の奥の方に凝った
消えない寂しさが ふと、顔を出す
瞬き一秒、その隙間に
するりと入り込んで、声を上げ
眼が合えば、最後
雫に変わるまで、満ち満ちて
指先を冷やしていく

寂しさには
少しだけ、心細さが見え隠れする
少しだけ、不安が見え隠れする
少しだけ、恐れが見え隠れする
少しだけ、いつかの、後悔も

どうして消えないのか
どうして、失くならないのか
どうして、今も、ずっと
私は寂しいんだろう
寂しさって、なんだろうって

『誰からも』

そう、浮かんだとき
その誰には、自分すら入っていないのだと
私の心は、私にすら届いていないのだと
それは あまりに、寂しすぎやしないか、と

しばしば、線を引いて除外する
内側の柔らかすぎる部分が
手を放された幼子のように泣く
泣いて泣いて、私とすら線引きをして
憎むのにも疲れて、諦める
その諦めが降り積もった雪原には
もう、誰の足跡も視えないんだ
もう、誰の声もこだましないんだよ

それが、寂しくないなんて
いったい、誰が言えるだろう、なんて
ほとほと、困り果てながら
ほとほと、ほろほろ
探しているんだよ