明け空に願うこと

あの子が冷たい朝を迎えた日
空は きれいな青をたたえていた
久しぶりに顔を出した太陽が
静かに 静かに
そのからだをつつんでいた

風がさらったのは
ほんの 一瞬のこと
流れ続けた水の
最後の一滴をすくうことすら出来ずに

ひとり 旅立ったあの子

嗚呼 私がその声に答えていたら
あの子は
たったひとりでゆくことはなかったでしょう

痛みも苦しみも取り除くことはできないけれど
それでも
瞳をとじるまでのほんの 一時でも
変わりゆく夜空を見つめて
あの子の隣に寄り添うことはできたでしょう

なんて なんて

私は
天国も まして地獄も信じてなんていないけれど

願わくは
空へ旅立ったあの子が
星のゆりかごへと たどり着けますように

安らぎのなかで ゆっくりと眠れますように

それだけを ただ
願っている