揺れる。

りん、りん。

祈りが、貴女のそばで揺れているのを見た。
やわらかな若草色は、鮮やかで。
封を切られないまま
仕舞い込まれたものと思っていたのに。

りん、りん。

わざわざ、と
顰められた顔をおぼえている。
しわしわの顔に、さらに深い皺を刻んで。
笑って?
いいえ、その反対。
よくもまぁ、と
雄弁に語る表情を前に
引っ込めることなく手渡したのは記憶に新しいよ。

りん、りん。
鳴るのは、自己満足の願いだ。

りん、りん。
伝わるのは、自己満足の祈りだ。

そう、ただ、伝えたかったのだ。
形にして。
貴女を、大事に想っていること。