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人を殴れば、血が流れる(映画「シン・仮面ライダー」を観て)

映画「シン・仮面ライダー」では、容赦なく血が流れる。

冒頭の2分49秒の間でも、強靭な力をつけてしまった本郷猛(仮面ライダー)が、自らの意識を超えて相手を殺戮していく。相手を殺そうと殴れば血が出るのは必然だ。そのシーンが隠されずに撮られているからこそPG12なわけだが、思わず目を覆いたくなるような気持ちになるのはなぜだろう。

普段「特撮ヒーロー」の作品でそういった鮮血はめったに描かれない。

「特撮ヒーロー」作品が想定している視聴者は、子どもだ。

子どもを怖がらせるような鮮血、流血のシーンは描かれないし、描かれるべきではない。

でも思うのだけど、「人が殴られる」シーンを描くのならば、そこに多少のリアリティを添えることは必要ではないだろうか。血が見たくないのであれば、簡単に人を殴らせるべきではない。(5歳、2歳の息子たちが「ウルトラマン」を楽しんで鑑賞しているわけだけど)

僕が5歳の頃、アニメ「ドラゴンボール」が好きだった。「ドラゴンボール」は、すぐに登場人物が死んでいく。孫悟空も、クリリンも、天津飯も、だいたい死んでしまう。アニメだったとはいえ(アニメと特撮は大いに違う性質のものだけど)、ちゃんと血は流れていた。

「血を見せない」のでなく、ある程度必然の流れで、「人を殴れば血が出る」ことを示すのは大切なことだと思うのだ。

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僕は幼少期、「ウルトラマン」シリーズにめちゃくちゃハマっていた。

なので「シン・ウルトラマン」は楽しみにしていたのだけど、あまり面白さを感じることができなかった。その理由は、リアリティの欠如だったように思う。

そもそも「ウルトラマン」にリアリティを期待するのはナンセンスだという説もあるけれど。でも、あんなに建物が崩壊したら、人はどれだけ死んでしまうのだろうと頭のどこかで想像せざるを得なかったように思う。(「シン・ゴジラ」と違って、「シン・ウルトラマン」では民衆の死は描かれなかった)

そういったこともあり、「シン・ウルトラマン」は大して心に響くような作品にはならなかった。「シン・仮面ライダー」が面白かったかどうかはさておき、人の死をそれなりに描いていた分、誠実な作品の作り方だったのではないかと僕は感じている。

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