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生きる

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noterさんとほりべえの「生きる」を書いた記事を集めました。ほりべえのメモφ(..)
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#カナダ

ママからのメール

ママからのメール

ベッドの上から
障子が半開きになった窓越しに
バンのてっぺんが見えた
外には植え込みと大谷石の塀があって全体は見えないのだが
前の通りにそれが止まっているらしかった
誰?

目を開けると天井が見えた。
右を向くとそこに障子はなく壁があるだけ。

ここはどこ?
だってあの窓は
奈良の母の家のはずだ。

ゆっくりと
解けてゆくように眠りから覚める。
発熱して寝苦しい夜を過ごし、ようやくうとうとして見た

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ブラック・アイ・スーザン(Black eyed Susan)2

ブラック・アイ・スーザン(Black eyed Susan)2

何気ない瞬間に
ふわっと
しあわせな気分になるときがある

何かを成し遂げたとか
自分が今幸福だとか
そういうことではないのだ

怒りや悲しみの
激しい感情をすべて
多分すべて
手放したせいかもしれない

でもそんな今日は昨日のことがあったから
それがそんなふんわりを連れて来たんだと思う。

コテージからの帰りにちょっと寄っていい?

友人で仕事仲間のレノアからメッセージが来た。
このあたりの人は

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ブラック‐アイ・スーザン(Black-eyed Susan)

ブラック‐アイ・スーザン(Black-eyed Susan)

この数日ずっと心が捉われていた

あれはどこだったろう

この花の名前を
夫ジェイが教えてくれたのは

その瞬間を鮮明に覚えているが
それがどこだったのか

曇ったガラスを手で拭くように窓の向こうの記憶を探す。

あれはナイアガラフォールを見に行った時ではなかったか
それは私が初めてこのカナダの地に降り立った時でもあって。

そうだそのときだ
確かナイアガラの滝をアメリカ側からも見に行ったのだ。

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土に帰る

土に帰る

カナダ湖畔の家から車で30分のところに、RVHという病院がある。
最寄りの救急病院で、夫ジェイはここのERに少なくとも4回運び込まれた。

あれは3回目の時だったか。
ICUに移されてジェイは循環器科の医師にあと2週間と宣告された。

つい数日前まで地下で建築の断熱材を入れていた人が?

呆然として病院の渡り廊下を歩いていた時、中庭にあるタンポポのオブジェが目に留まった。

何回もそこを通っていな

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芽が出る音

芽が出る音

種を蒔くとき 
ちょっと不安である
うまく芽が出るかなあ

どきどき
わくわく

先週月曜日に植えたグレープトマトという名のミニトマト。
か細い芽がすくっと出てきた(ヘッダー写真)

ピクリングきゅうり(ピクルス用の小ぶりのきゅうり)が昨日こんな風だったのが↓

今朝↓

私が眠っている間
すくっと音を立てて伸びているのに違いない
Germination(発芽)の曲↑のように

↑こちらは大勢。ど

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五線譜の梅

五線譜の梅

南のベランダから外を見ると
かわいい桃色があふれている。

紅梅が満開だ

母が亡くなり主がいなくなった奈良の家からやってきた梅の木、二本。東京に根を下ろして2年目の春である。

紅梅と白梅

植木屋のフジもんさんに頼んでわざわざ運んでもらったのだ。
移植直後の去年は頼りなげな紅梅だったが、今年は白梅に負けじと花をつけている。

青空を見上げてデジカメを構える

かがんで
寝転んで
飛び上がって

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