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著…京極夏彦『17歳の特別教室 地獄の楽しみ方』

 わたしは京極さんの言葉の紡ぎ方がとても好きなので、その京極さんがこの本の中で、

「言葉は通じないんです。だから、まずそれを承知で使いましょう。言葉とはそういうものなんです。みんな勘違いしているんです。自分の気持ちは必ず伝わると思っているんです。でも、その自分の気持ちさえ言葉にはできないんですよ」
(P41から引用)

 とおっしゃっているのがとても意外でした。

 数多くの作品で妖しくも美しい文章を執筆してきた京極さんですら、伝わらない・伝えられないもどかしさを抱えているのですね。

 雲の上の方ですが、なんだか少し親近感が湧きました。

 また、

「過去、起こされた数多くのいさかい、争い、戦争の多くが、言葉の行き違いから生まれてきたことを忘れてはなりません。きちんと伝わっていれば起きずに済んだ戦争も数多くあったでしょう。いや、〝話せばわかる〟なんてぬるいことを言っているから、そういうことになるんです。〝話してもわからない〟ことを前提にしたコミュニケーションを計るしかないんです。〝想定外のことは必ず起きる〟ことを大前提とするのが危機管理です」
(P60から引用)

 という文にも共感しました。

 …いや、共感した、と思うのは誤りなのでしょうか。

 共感したような気がする、と思うのが正しいのかもしれません。

すべての読書は誤読である、小説の場合すべての誤読は正解であり読み手によって多様な解釈が出来るものなのだ、と京極さん自身がおっしゃっているのですから。

 奥が深い…。

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