機械の故障はバスタブ曲線で防ぐというはなし
こんにちは、製造部の松田です。
製造業において機械の故障は
かなり大きな問題になります。
故障の修理費がかかる
製品の納期に影響し、顧客に迷惑をかける可能性がある
後工程の作業が止まり、担当員が暇になる
製造日程を組み直す必要がある
などなど様々な影響として波及するからです。
どんなに高価な機械であっても、
(むしろ高価な機械だからこそ?)
点検なしに1年=250日も稼働すれば
どこかしらに支障が起こります。
製造業ではどのような方法で
機械の故障を防いでいるのでしょうか。
今回はその考え方と対策をお話してみます。
なお、これは製造業以外の方でも
ある程度ご参考にして頂けると思います。
ご自宅にあるエアコンや洗濯機といった
家電製品も同様の考え方を適用できるからです。
それでは行ってみましょう。
「故障」と言っても、種類はいろいろ
故障といっても色々とあります。
例えば精密部分に埃が入って接触不良となった場合。
例えばギアが摩耗で嚙み合わず動力が伝わらなくなった場合。
例えば10mm/s以下で動かすところを100mm/sと入力し、
機械アームが他の部分と衝突してしまった場合。。。などなど。
故障といっても、どのような故障なのか、
その中身によって対処が大きく変わってきます。
一般的に、故障は機械の経年に沿って次の3つに大別できます。
初期故障:設計不良や作業員の粗運転により発生させてしまう故障
偶発故障:慣れてしばらくし運転時に発生する故障
摩耗故障:経年劣化により部品等の摩耗により発生する故障
冒頭に挙げた例にこれを当てはめると、
精密部分に埃が入って接触不良となった → 偶発故障
ギアが摩耗で嚙み合わず動力が伝わらなくなった → 摩耗故障
10mm/s以下で動かすところを100mm/sと入力し、
機械アームが他の部分と衝突してしまった → 初期故障
といった具合です。
故障の種類と頻度はバスタブでイメージ
この「初期故障」「偶発故障」「摩耗故障」を
代表的な機械製品に当てはめてみると、
バスタブのような形状になるといいます。
機械の使用期間(経年)を横軸、
各故障の発生率を縦軸にとった図です。
これがいわゆる”バスタブ曲線”です。
初期には機械の融通がわからず、
安定期に入るまで故障率が高い点
また機械が経年劣化してゆくほど
摩耗故障が集中的に発生するようになる点
この2点を意識する必要があります。
このバスタブ曲線のイメージは
家電にも当てはまるのではないでしょうか。
洗濯機を例に挙げてみますと、
排水ホースの接続不良や、衣類の入れ過ぎによる初期故障
たまたまポケットからティッシュを出し忘れて、
排水口を詰まらせてしまう偶発故障
ボタンの押しすぎで擦り切れて反応しなくなったり、
度重なる振動で洗濯機の土台がぐらついたりする摩耗故障
といった具合になります。
故障の種類に合わせて、対策を変える
故障率が高いときと低いとき、
故障の種類が違うときで、
取るべき対処が当然変わってきます。
まず故障率が高い初期故障期ですが、
設計不良と粗運転という2つの原因に対処します。
設計不良に対しては、
当然設計の見直しおよび設備の改良を行います。
そして粗運転に対しては、
高い頻度で定期的な点検活動を行います。
操作が安定し、偶発故障しか起きない時期になれば、
逆に点検頻度が高いぶんコストとなってしまいます。
偶発故障期になれば、
基本的には起きた故障に対し事後保全を行います。
併せて初期故障期より低頻度で自主点検活動も行います。
最後に、機械が耐用年数を超え
経年劣化が目立ち始める摩耗故障期になれば、
設備の劣化傾向を診断して故障を予知し、
故障に至る前に部品の取り換え等を行うようにします。
当社は今年に入りレーザー加工機を
新規に導入したのですが、
加工機メーカーの保守点検プランでは、
導入後1カ月目点検
その後、1年おき点検
というスケジュールになっており、
初期故障への対応と、偶発・摩耗故障への対応
という両面で対策している構造が伺えます。
皆さまのところで導入されている
機械の保守点検プログラムも
おそらく基本的に同様の組み立てで
スケジューリングされていると思いますし、
また使用者である我々が行う日々の自主点検は
偶発・摩耗故障期における対応という位置づけです。
おわりに
ここまで記事をお読みいただきありがとうございました。
製造業の考え方や、実際に何をしているかは、
業界外の方からはなかなか見えにくいのが実情です。
今回は機械の故障という面にスポットライトを当て、
製造業で行っている保守・点検作業について
日々の取り組みをご紹介させて頂きました。
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大サイズ平面材(パネル等)の異種どうし貼り合わせ加工、
および切断加工を得意としています。
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