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保険会社から保険代理店に対する求償について(代理店賠責)
0.はじめに保険代理店が説明義務違反等で顧客に対し、損害賠償責任を負う場合には、その所属保険会社等(以下、単に「保険会社」という)も賠償責任を負う。
保険会社は、保険代理店に委託をするについて相当の注意をし、かつ、これらの者の行う保険募集について保険契約者に加えた損害の発生の防止に務めたときには、上記の賠償する責任を負わない(免責)。
これは、民法第715条で定める使用者責任と同様の法規制であ
「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」報告書についての雑感
1.報告書6月25日に有識者会議の報告書が公表された。恥ずかしながらこの会議自体を視聴できていなったので報告書を読んだだけの雑感を少し
この有識者会議は、保険金不正請求問題(いわゆるBM問題)及び保険料調整行為問題を受け、保険業界における構造的問題や適切な競争を阻害する要因があることから、制度・監督上における必要な対応を検討すべく開催された。
まず、雑感の前提として、私の顧客は基本的に小中規模
保険料調整行為と保険代理店の対応
1.保険会社の業務改善計画令和5年12月に金融庁が、大手損保四社に対し、保険料調整行為に関する業務改善命令を出し、令和6年2月29日に損保会社から業務改善計画書が金融庁に提出された。
提出に関する各社のリリースは以下のとおりである。
・東京海上日動火災保険会社 業務改善計画書の提出について
https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/relea
【裁判例】(解決事例)満期落ち後事故の代理店の賠償責任について
0.福岡地裁令和5年11月10日判決
私が保険代理店側の代理人を務めた代理店賠責事件で、最近判決が出て確定し、記事にすることについて了承を得たので紹介する。
保険代理店の賠償責任の原因で最も多いのは、保険募集時の説明誤りである。保険契約後の募集人による説明誤りなどは基本的に賠償責任を負うことはない。
例えば、保険契約者に対し、事故後に有無責の説明(本当は保険金が出ないのに、保険金が出ますと説明
【裁判例】YH-Gカンパニー事件(顧客情報の「営業秘密」該当性)
0.知財高裁令和3年11月17日判決(原審:東京地裁令和3年3月23日判決)
保険代理店の従業員が退職した場合において、円満な退職ではない場合には、「その従業員が顧客情報を持ち出した」「その顧客を奪った」として、不正競争防止法の営業秘密不正取得等に該当しないかが問題になることがある。
保険代理店側からして、顧客情報等の持ち出しを制限するための方法としては、【対応策】募集人退職時の顧客情報の持ち
【裁判例】代理店の満期管理責任
0.代理店賠責のリーディングケース?(松山地裁今治支部平成8年8月22日判決)代理店賠責保険のパンフレットなどで紹介される、代理店が損害賠償責任を負った裁判例として、満期管理責任の事例を目にしたことがある方も多いかもしれない。
代理店に信義則上の義務違反を認め、損害賠償請求が認められた事例である。
しかし、意外とどのような事例だったかは認識されていない。
紹介する事例は読んでいただければ分かる
【裁判例】ジブラルタ生命保険事件(顧客情報の持出しと退職金返還)②
前回からの続き
2.争点
本件の争点は、
①社員1、2が顧客情報を持ち出したかどうか
②社員1、2が在職中にジブラルタの業務妨害の予備行為を行ったかどうか
③社員1、2がジブラルタの会社封筒を私的利用したかどうか
④社員1、2による顧客情報の持出し、業務妨害の予備行為及び会社封筒の私的利用を理由として退職金の返還を求めることができるかどうか
である。
※厳密には、社員1、2がジブラルタに対し、
【裁判例】ジブラルタ生命保険事件(顧客情報の持出しと退職金返還)①
0.東京地裁令和4年6月10日判決(労経速2504号・LLI/DB L07731803)
生命保険においては、どのような保険商品を契約したかではなく、誰(営業マン)から保険に加入しているかが重要とする方も多い。これは他の業界でも同じようなものもがあるが、保険はその性質が強い。
保険代理店から他の保険代理店に転職する場合に、自分が取り扱っていた顧客情報を持ち出して、転職先の保険代理店で営業をする
【裁判例】日本郵便解雇事件(かんぽ生命不適切販売)
0.札幌地裁令和4年12月8日判決
かんぽ生命の保険の不適切販売に関する問題は大きく取り上げられ、業務停止命令の処分が出されているのは記憶に新しい。
その問題に関しては、多くの日本郵便の従業員、役員が処分を受けている。
今回紹介する裁判例は、不適切販売をして懲戒解雇処分を受けた従業員が、解雇無効を主張して争った事件である。
結果的に、日本郵便がした解雇は無効であると判断されている(募集人側の
【裁判例】手数料前払制度による過重労働?事件
0.東京地裁令和4年4月22日判決
代理店が代理店業務委託契約を締結している保険会社に対し、損害賠償請求をした事案であるが、損害賠償をした理由は「手数料前払制度を背景にした保険会社従業員からの過酷な指示によって統合失調症を発症した」という珍しいものであったため、紹介する。
1.事案の概要
・Xは、平成18年に生命保険会社Aとの間で、代理店業務委託契約を締結し、代理店業を開始した。
・XはAか
保険代理店が扱う個人情報は誰のものか
1.代理店が取得する個人情報にかかる規制
保険代理店は、保険会社から募集等の業務を委託されている関係にあるが、そもそも保険代理店が取得した個人情報は保険代理店のものなのか、保険会社のものなのか、個人情報に関する規制についてどのように理解すればよいのかを簡単にまとめる。
顧客は保険代理店に様々な個人情報を提供する。
見積もり依頼や資料請求の際に個人情報を提供し、保険に加入する際に、申込書に個人情
所属募集人に報酬を支払う保険代理店のインボイス制度対応
1.インボイス制度
2023年10月よりインボイス制度が開始し、インボイス発行事業者となるためには2023年3月末までに登録申請が必要となる。
※本稿でテーマにするのは、保険代理店と所属する募集人のインボイス制度対応についてであり、保険会社との関係で保険代理店がインボイス制度に対応するか否かではない。
通常の会社において従業員への給与は、雇用契約に基づく労働の対価であり、消費税が課税される取
【裁判例】日本生命事件
0.東京地判令和4年3月17日「中途採用した成績不良の従業員に辞めてもらいたい」
こんな相談は定期的に耳にする。前職での取り扱い保険料や本人の申告など採用時の想定と大きく異るようなケースや、そもそも固定給分(最低保障分)などの手数料収入もないケースなどなど。
今回紹介する事件は、日本生命で成績不良の従業員を退職扱いとし、その従業員がその退職扱いの無効を争った事件である。
保険会社の事件ではあ
【裁判例】代理店転職トラブル事件
0.東京地裁令和4年1月26日判決顧客本位の業務運営のために固定給化を制度として採用しても、完全歩合給制度を求めて募集人が転職してしまう・・・そんな悩みを持つ保険代理店も多い。
今回紹介する裁判例は、保険代理店間の転職に伴って、転職先の代理店と募集人との間で、完全歩合給制度の説明に関してトラブルがあった事例である。
1.事案の概要保険募集人Xは、保険代理店Aに勤務していたが、平成28年末ころよ
【最高裁】ダイヤモンド・オンライン 保険ラボ
3月24日判決の記事を更新しなければと考えていたが、なかなか書けず、そんなタイミングでダイヤモンド・オンラインで執筆する機会を頂いたので、こちらをご笑覧いただければ・・
【最高裁】争点解説②
8.被上告人の主張被上告人の答弁としては、
不当利得容認説の不都合性として、
を主張している。
9.①狭義の人傷一括払本件は、いわゆる「人傷一括払」に関する事案であるが、被上告人は、「狭義の人傷一括払」において、不当利得容認説の結果に問題が生じる旨主張している。
「狭義の人傷一括払」とは、人傷社が被保険者に対して、人傷保険金(アマウント)に加え、自賠責保険金を併せた金額を支払う場合である。