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“好きな人の好きを大切にしたい”
年末年始の寒い夜。炬燵に刺さってお笑い番組を観ていた娘が私に尋ねた。
「好きな人に好きな人ができると、どうして怒るの?」
テレビ画面の中では、二人組の芸人さんがコントをしていた。片方は女装をしていて、軽妙な笑いを織り交ぜつつ、『あなた浮気したでしょう!』と男性に詰め寄っていた。
「ああ。怒る事みたいだねえ」
私は淡々と言葉を返して、「なんでそんなこと思ったの?」と、尋ねた。
「テレビでも
あなたの声に恋をする
ほぼ毎日、スマートフォンでラジオを聴いている。
朝、布団を畳んでいる時、タンスの上に置いて、「ごきげんよう」の声に心の中で「ごきげんよう」と返すなどして聴いている。
食器を洗う時には上着のポケット越しに音を鳴らし、机に座って絵を描く時や外を歩いている時は、Bluetoothイヤホン越しに聴く。
note以外ではradiotalkというアプリを主に使っている。
トークテーマから脱線してあちこち
出来てないことだらけで、出来てるひとが羨ましかった。
混雑率180%のシルバーの車両が揺れる度に、誰かの腕や背中でこれでもか言わんばかりにぎゅうぎゅうに押された。私が洗濯物ならしっかりもみ洗いされて降りる頃には驚きの白さだ。
クタクタになりながらしょうもないことを考えているうちに、電車のドアが開いた。乗客がマラソン大会のスタートを切るみたいに一斉にホームへなだれ込む。
私はつり革を必死に握りしめて人の流れに逆った。けれど肩に掛けた鞄が降りる人た
うっかりこぼれる一人称。
社会に出たての頃、先輩と何気ない話をしている時に言われた。
「きみ、早口だなあ」
「そうなんです、早口なんです。焦ってしまって」
頭を掻きながら笑って返す私に先輩は、
「『私』が『わし』に聞こえる」と付け足した。
私は心の中で照れ笑いをしながら、
『合ってます。今、『わし』って言いました』
とやっぱり心の中で呟いた。
20歳の頃には、早く40代になりたかった。
私には同年代の人のス