ひとくちギョウザ

愛知県豊川市出身。 食べ物じゃなくて耳が小さい文章を書いてる人。 日常エッセイ…

ひとくちギョウザ

愛知県豊川市出身。 食べ物じゃなくて耳が小さい文章を書いてる人。 日常エッセイや小説を中心に遂には餃子エッセイの執筆も始め、いよいよこちらから寄せ始めている。

マガジン

  • 20×20×2

    800字エッセイ

  • 我、ペンネームが、ひとくちギョウザであるが故に。

    遂にややこしいペンネームを付けてしまったことを逆手に取り、満を持してこちらから寄せていく、ご都合主義。 すなわちこれは、 食べ物の方ではなく、筆者でありヒューマンである"ひとくちギョウザ"による餃子グルメ探訪の軌跡。

  • 日常エッセイ集『ナガレテユク』 試し読み

    日常エッセイ集『ナガレテユク』に掲載されている 3編のエッセイ 『一杯のラーメンが教えてくれたこと』 『妄想甲子園』 『SNS時代』 の試し読みになります。 全編(15編)の紙の本はこちら https://shinopublishing0533.wixsite.com/hitokuchigyouza ※メニューバーの"hon"ページへ。 Amazon kindle版はこちら https://www.amazon.co.jp/dp/B0888BKDY7/

  • 続 おもしろきこともなきよをおもしろく 試し読み

    日常エッセイ集『続 おもしろきこともなき よをおもしろく』 に掲載されている2編のエッセイ 『ゴアテックスと優しい嘘』 『スマホ水没。たけのこニョッキで朝を迎える。 in バンコク』 の試し読みになります。 全編(5編)の紙の本はこちら https://shinopublishing0533.wixsite.com/hitokuchigyouza ※メニューバーの"hon"ページへ。

  • 『おもしろきこともなき よをおもしろく』試し読み

    日常エッセイ集『おもしろきこともなき よをおもしろく』 に掲載されている2編のエッセイ 『吉牛ラブストーリー』 『昼プーの末路』 の試し読みになります。 全編(20編)の紙の本はこちら https://shinopublishing0533.wixsite.com/hitokuchigyouza ※メニューバーの"hon"ページへ。 Amazon kindle版はこちら https://www.amazon.co.jp/dp/B07H3C14KG

最近の記事

『シューレースの魔術師』

   今住んでいる賃貸マンションには、狙いを澄ましたかのようにバタースプーンを消してくる魔術師が現れることは以前にも書いた。  ちなみに居住二年間で二本のバタースプーンを立て続けにその黒魔術で跡形もなく消されており、二代目が消息を絶った時はさすがに黒魔術で消されたことを遂に確信してしまい、結局今使っている三代目バタースプーンを買うのに数ヶ月躊躇してしまったほどだった。  また、その黒魔術にすっかり屁っ放り腰になってしまって今まで言い出せなかったけれど、その後も実は弁当用の箸を

    • 『徐々に部屋を暗くして入眠、バスタオルは干す前にピシッ。白米は少し硬めに炊いて、たわいもなくサミる。』

      ⁡  電話で話すことをパートナーとの間で「サミる」と呼称している。  語源は、付き合う前から「今日の夜、寝る前にサミットしようよ」と電話をする約束を取り付けていたことにある。次のデートでどこに行くか話し合ったり、当時パートナーが抱えていた悩みをどのように解決していくか一緒に作戦を考えたりしていたので、我々にとってその時間は"サミット"と言っても決して過言ではなかったのだ。ちなみにいつの日からか「サミる」と略し始めたのはパートナーの方で、今となっては「明日の夜サミかしこまり」と

      • 『やけセブンティーンアイス』

           通勤で利用している職場から最寄り駅の改札を出たところに、セブンティーンアイスの自動販売機がある。夏の時期に残業で帰りが遅くなった時は、吸い寄せられるようにしてそこでアイスを買ってしまうことが多いのだが、(まんまと江崎グリコ株式会社 御中の手のひらで踊らされている)それは決して頑張った自分へのご褒美だとかそのような優雅で余裕のあるものなんかではなく、クタクタな身体への糖分摂取とまだ半押し状態でオンになっている頭を加速的にオフにしていく意味合いが強いように思う。  かといっ

        • 『スパイ疑惑におののいてビトイーン』⁡

          ⁡ 栄に引っ越してきてから近所にずっと気になっているこぢんまりとした八百屋があったのだけれど、ずっと足は遠のいたままだった。引っ越してきた当初から既に日用品や食品の買い物は、近隣のドラッグストアや隣町のスーパーマーケットまで出向くことが定着していたし、その八百屋が日曜日定休で土曜日しか行けるチャンスがなかったためである。しかし、引っ越してきてこの一年半の間、明らかに時代錯誤かつ異彩を放っているこの八百屋をとうとう黙殺することはできなかった。一度、土曜日の昼間にその八百屋の前

        『シューレースの魔術師』

        マガジン

        • 20×20×2
          19本
        • 我、ペンネームが、ひとくちギョウザであるが故に。
          1本
        • 日常エッセイ集『ナガレテユク』 試し読み
          3本
        • 続 おもしろきこともなきよをおもしろく 試し読み
          2本
        • 『おもしろきこともなき よをおもしろく』試し読み
          2本

        記事

          『初めての面接官』

           課長が出張で不在中にアルバイトの面接が入り、「これも経験だから」と主任と二人で面接官をすることになった。今までの人生で企業に面接をしていただく側は何度も経験しているけれど、面接官として採用するかどうかを決める立場は初めてだ。事前に主任と面接の流れを共有し、自分なりに質問したいことを手帳にまとめるなどして思いつく準備をしておいた。その時に脳裏をよぎったのは、大学時代の就職活動や社会人になってからの転職活動の時の自己分析や面接対策。イチニシアチブは主任が握ってくれているのだから

          『初めての面接官』

          DUSTY-I / 『DUSTY』 リリース記念インタビュー

           「綺麗じゃないが汚くもない」  今作『DUSTY』をその名の如く「埃っぽくて泥臭い」と形容し、自分自身を曝け出したアルバムであるとも本インタビューで語っているDUSTY-I。  アルバムを聴けばそのラッパーとしての地力の高さは一目瞭然だが、そこに魅せられた充足感だけに飽き足らなかった筆者は、作品の随所に確かに垣間見えるこだわりにもっと踏み込むべく、今回このインタビューを敢行した。  本インタビューでは、アルバムの制作プロセスや曲ごとにまつわるエピソードなどは勿論、CD盤

          DUSTY-I / 『DUSTY』 リリース記念インタビュー

          『都会の憩い』⁡

          ⁡  目が覚めてから布団の上でウダウダ過ごしていた、晴天の日曜日の朝十時過ぎ。窓の外の陽気に誘われて、無性に散歩に出かけたくなった。  久屋大通公園を少し散歩してから、久々にラシュールのモーニングに行こう。そう思い立つやいなや最近おろしたばかりのTシャツに着替え、サコッシュに手帳とボールペンを入れて家を出た。イヤフォンからは好きな音楽を流して、近所の久屋大通公園南エリアに位置する光の広場をあてもなく歩く。舟型のモニュメントから太陽に照らされたクスノキ並木の新緑に目線を移し、燦

          『キレイナオカネノツカイカタ』

          ⁡ ⁡  梅雨入りしたタイミングで、折りたたみ傘を紛失するというこの間の悪さ(先日紛失した腕時計といい、何だか立て続けに生活必需品が手元から離れていくんですけど)。雨が降った日に折りたたみ傘を電車内で手に持っていて、恐らくボーッと考えごとをしていたか何かでそのまま座っていた座席に置き忘れてきた可能性が濃厚である。無印良品で購入したその折りたたみ傘はとっくの昔にカバーを落としていたので、本来モンベルのマウンテンパーカーを収納するスタッフバックに入れて普段から携行していた。ちなみ

          『キレイナオカネノツカイカタ』

          『スクロール オア スワイプ? ダークホースにフリック』

           「ちょっと、篠原君! こう、画面上でページを捲ることは何て言うの!? スクロール? それとも、えーと、あ! スワイプ? そもそも何だん、スワイプって! ちょっと、スクロールと何が違うの!」 ⁡ ⁡  仕事中、タブレット端末と睨めっこしているベテランのパートさん(以下、師匠と呼ぶ)が、指でページを捲るようなジェスチャーをしながらこちらに問いかけてきた。現在社内で伝票のデジタル化が進んでいて、その本格的な導入に向けて実際に現場ではタブレット端末の試験的な操作とフィードバックが行

          『スクロール オア スワイプ? ダークホースにフリック』

          『Dragon Ashが流れると気後れしてしまう』⁡

           同世代の友達の車のBGMでふとDragon Ashが流れると、どうしても気後れしてしまう。Dragon Ashがオリコンチャートを賑わせていたのは中学生の時で、年齢的に恐らくど真ん中の世代に当たるからこそ「当時、熱心に聴いていなかった」その呪縛は、より色濃くなってしまうのだろう。  「懐かしい」と遠い目をしている運転席の友達の横で「う、うん」と、連れない相槌を打ってきまりが悪そうにしている自分。そこで心置きなく共感できたら、どれだけ良いことだろうといつも思う。また、青春時代

          『Dragon Ashが流れると気後れしてしまう』⁡

          『全てへ捧ぐ愛はない』

           五年ほど使っていた腕時計を失くした。スポーティーでタフなアナログ式の黒色のG-SHOCKで、気取らずに身につけることができていたのでオンオフ問わず何かと重宝していた腕時計だった。「必要なくなったものは自然と離れていく」みたいなことをどこかで聞いたことがあるけれど、仮にその法則に当てはめるのなら、これは「時間に縛られるな」とか「生き急ぐな」という天からのメッセージなのだろうか。心当たりがないこともないけれど、現時点で不便さとショックの圧勝である。出先でスマホの充電が切れて近く

          『全てへ捧ぐ愛はない』

          『一行も書き進めることができていなくても』

          ⁡ ⁡  仕事から帰ってただ疲れて眠るだけの日々が続く。酷い時などは、帰宅してそのままジャケットも脱がずにソファで眠ってしまっている。そのような時は結局、電気も点けっぱなしなままのため夜中に目が覚めてしまうという悪循環を連日繰り返している。台所に溜まっていく数日分の洗い物を今日も片付けることができず、何とか回すだけ回して結局干すところまで辿り着けていないタオル類の山が洗濯機にはぶち込まれたままだ。どちらも衛生的に待ったなしなのは頭ではわかっていても、やはり夜中から家事を始める

          『一行も書き進めることができていなくても』

          『離れて知ったノスタルジア』

          ⁡ ⁡ ずっと地元の豊川が大好きなはずなのに、振り返れば不思議といつも豊川に住んでいない。自分自身の中で生じているこの矛盾に向かっていってみると、豊川が大好きな反面「もっと知らない世界を知りたい」とか「何処にいても面白がることのできる術を身に付けたい」などといった好奇心が同じぐらい内在していることを再確認する。二十代後半の時に東南アジアとインドを旅した経験から「百聞は一見にしかず」であることをこの身を持って実感しているし、日々酸いも甘いも噛み分けるその一つ一つの体験を経て「

          『離れて知ったノスタルジア』

          『明日から仕事始めです』

           今年も、一瞬にして年末年始の休みが終わろうとしています。「これはもはや時空が歪んでやいまいか」と思うほどにそりゃもう一瞬のできごとで、地元に帰って過ごしたこの約一週間は、ひょっとして夢だったのではないかと。何か『千と千尋の神隠し』の最後の千尋です。ということで、すっかり陽が暮れた帰りの電車の中で、このどうしようもねぇメランコリックと友達以上恋人未満という複雑な関係。はぁぁぁ、楽しかったなぁぁぁ。 ⁡ ⁡  レーベルメイトたちとの忘年会では「名古屋に魂を売った」と散々イジられ

          『明日から仕事始めです』

          『いっていた年きていた年』

          ⁡ ⁡  目が覚めたら夜中の2時だった。年越しで起きていられなかったのなんて、いつぶりだろう。また今年も一年が終わろうとしているこの今の気持ちを書けるのは今しかなく、それを書きたいと思って夕方から筆を取ったものの寝不足で頭がボーッとして全く言葉が出てこなかったので、少し眠ることにした。すると、この十二月の忙しさがフラッシュバックするかのような仕事の夢を見てうなされ、更には胃から喉元までムカムカと迫り上げてくるような腹痛に襲われて十九時頃に一度目を覚ました。結局その腹痛は一向に

          『いっていた年きていた年』

          『心ここにあらず 今を生きたく』

           「何か、おじいちゃんと話してるみたい」    最後に映画館で観た映画を聞かれて「何だったっけなぁ」と即答できないでいると、助手席の君はそう面白がるようにして笑った。ようやく一年以上前に『竜とそばかすの姫』を映画館で観たことを思い出したものの『そばかすと竜の姫』と言い間違えてしまい、君は「竜とそばかすの姫でしょ」とそれを訂正した。電話で何度か話した時も、そうやって何か聞かれたことに対して「何だったっけなぁ」とすぐに答えられないことが多々あったし、「生きていくうえで譲れないこと

          『心ここにあらず 今を生きたく』