マガジンのカバー画像

静夜思(Quiet Night Thought)

6
感じたことや思ったこと。考えたことや言いたいこと。
運営しているクリエイター

記事一覧

#90. 誕生日には、毎年この言葉がよぎる

#90. 誕生日には、毎年この言葉がよぎる

じつは今日、誕生日を迎えた。92 年に生まれたぼくは、とうとう28 歳になった。

こういう日は、たいていの人が家族や恋人、友人からのお祝いメッセージをもらい、あさ起きてから夜ねむるまで、幸せな気持ちを噛みしめるだろう。

もちろんぼくも、国内外からお祝いのメッセージをもらい、いつになく幸せな気持ちである。



しかし、毎年この日が来るたび、頭にフッと浮かんでは、ぼくの肝を恐怖で冷やす言葉があ

もっとみる
#66. ヒトとは異なる彩りをキミも

#66. ヒトとは異なる彩りをキミも

目の前に、女子大生と思しき人。

見えているのは後ろ姿だけ。ここは、駅のホームである。

電車を並んで待つ数分間、ぼくはたいてい、考えごとか、さもなくば「ヒト」を眺めている。

その日もたしか、列に並んで、なにか考察をしようとしていたのだが、その思考は間もなく中断されることとなる。

というのも、目の前で同じ電車を待っている(パッと見フツーの女子大生となにも変わらない)その長い髪の女性が、なぜかい

もっとみる
#51. 毎日泣きたくなっている

#51. 毎日泣きたくなっている

毎日、毎日、泣きたい気持ちになっている。

毎分、毎秒、悲惨なニュースが雪崩のように押しよせてきて、前向きな気持ちを保ちたいのに、とても耐えてはいられない。

日本国内だけ見ていれば、「恐いね」くらいかもしれないが、世界の流れやここ一週間の日本の状況を見るかぎり、事態は紛れもなく、人類全体の危機を描く SF 映画のごとく、「最悪」だ。

世界的ベストセラーとなった Sapience(邦題『サピエン

もっとみる
#50. ため息という名の霧が立つ

#50. ため息という名の霧が立つ

中学時代に通った個別指導塾で、ため息をついたら先生にこんなことを言われた。

「伊東くん、人前でやっちゃいけないことが 3 つあるんだけど、なんだかわかる?」

「…… え、わかりません。なんでしょう?」

「それはね、ため息と舌打ちと貧乏ゆすり。この 3 つだけは、人前で絶対にやっちゃいけないんだ」

理由は聞かなくてもすぐわかった。

これらはどれも、目の前でやられるととたんに気分が悪くなって

もっとみる
#43. 声に出したくない言葉

#43. 声に出したくない言葉

言葉をこよなく愛するからこそ、使いたくない言葉がある。

『声に出して読みたい日本語』という名の書籍がむかし有名になったことがあるが、

逆に「声に出して言いたくない日本語」、というか「使いたくない日本語」というのが、自分の中にはたしかにある。



まず一つ目は「〜させる」という言葉。だれかに「取りに行かせる」だとか「買いに行かせる」、あるいは「 ○○ をやらせる」という風によく使われる。

もっとみる
#5. 花びらの舞い散るように落ちる雪

#5. 花びらの舞い散るように落ちる雪

外を歩いていると、どこからか雪が降ってきた。見上げると空は晴天で、雪どころか雨すら落ちてきそうにない。

それでもなお、小さな雪片が落ちてくるので、なにかと思い目を凝らすと、どうやら電線に積もっていた雪が、風で飛ばされ落ちているらしい。



このような現象を表す日本語がある。「風花(かざはな)」といい、「晴天に花びらが舞うようにちらつく雪」のことを指す。

今年に入ってから、金子兜太著『美しい

もっとみる