長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』74
…ただし、監督チャンバのサインは、
四球狙いの待球作戦ではない。
とびきりの強攻策、速攻策だ。
この作戦をセインの口から聞いた時、
ヤナガはうなった。
賭博的に過ぎる一手なのではないか?
下手をすると、一瞬で走者全員が
アウトになるのではないだろうか。
ひるんだヤナガの内心を見透かしたのか、
寝台に横たわるセインは、
荒い息の中でこう言った。
「…ヤナガ、お前ならできるさ。
何も考えず、全力で振り抜けばいい。
…できる」
臣下として仕える身だ。
瀕死の主君にそこまで言わ