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長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』

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長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』の連載記事です。LinkedIn(リンクトイン)とnoteで連載します。
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2023年12月の記事一覧

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』80

頭を深々と下げるココロンに、 盟王は諭すような口調で言った。 「…ココロン。お前は、今、 …

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』79

8、立ち上げと立ち上がり イナモンも、すでに気付いている。 カルダモン商会の「幽霊館長」…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』78

「…陛下! 何を、…いったい、 何をおっしゃるのです!?」 「新しい酒は新しい革袋に 入れ…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』77

7、力強いリリーフ 建物の扉の前に立ち、イナモンが ノックをしようとしたその時、 扉が中か…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』76

「ラム岬とは、どんなところなのでしょうか?」 ロッカが聞いてみると、 馭者は胸を張り、誇…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』75

6、直球勝負と変化球 ディッシュ大陸の南東部の情勢が 刻々と変わる中で、大陸の北西部では…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』74

…ただし、監督チャンバのサインは、 四球狙いの待球作戦ではない。 とびきりの強攻策、速攻策だ。 この作戦をセインの口から聞いた時、 ヤナガはうなった。 賭博的に過ぎる一手なのではないか? 下手をすると、一瞬で走者全員が アウトになるのではないだろうか。 ひるんだヤナガの内心を見透かしたのか、 寝台に横たわるセインは、 荒い息の中でこう言った。 「…ヤナガ、お前ならできるさ。 何も考えず、全力で振り抜けばいい。 …できる」 臣下として仕える身だ。 瀕死の主君にそこまで言わ

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』73

5、名優 ミシェルとランプ、マオチャとクランべ、 盟王の「子どもたち」が ガリカシスとアル…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』72

ミシェルは眉を上げた。 ピノグリア大公国に潜入させていた この教え子は、信頼できる古参の…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』71

4、姉弟の情報網 ざあっと一陣の風が、 湿り気のある草原の草を揺らしている。 一人の園芸服…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』70

さて、盟王代行、すなわち セインからの手紙を受け取ったのは、 リーブルだけではなかった。 …

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』69

3、三都市の動静 ここで、大陸の南東部に話の舞台は変わる。 ピノグリア大公国の首都から西…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』68

パンナが向かった先は、 瀟洒な建物が立ち並ぶ一画である。 勝手知ったる場所かのように、 彼…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』67

2、とんぼ帰り 試合が終わったその翌朝。 三人は、宿舎で イナモンの報告を聞いている。 「結論から言います。 あの方は、盟王陛下ご本人である、 と思われます」 彼の言葉に、三人の女性は息を呑んだ。 「残念ながら、始球式の後にすぐに 球場から姿を消されたようで、 ご本人にお会いすることは かないませんでした。 デローア大君陛下はいらっしゃいましたが、 厳重な警備が敷かれており、 直接のお目通りはできません。 私は、会場の関係者と思われる方たちに 接触して、聞き込みをし