長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』68
パンナが向かった先は、
瀟洒な建物が立ち並ぶ一画である。
勝手知ったる場所かのように、
彼女は最短距離で研究室へと向かった。
彼女のお目当ての「師範」が
そこにいるはずだった。
…ここは、この街のカプサ学校の本部。
パンナは目ざとく学友を見つけて、
声をかけた。
以前に留学していた時から変わらない姿だった。
「クローブ・マンダー!
どや、新しい薬はできたんか?」
マンダー、と呼ばれた男。
こげ茶色のぼさぼさの髪に無精ひげ、
がっしりとした体格である。
三十歳くらいだ