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長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』

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長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』1

プロローグ:谷間に咲く花々 大河であるキュシェ川は、 私の片眼鏡の前で、 悠久の流れを海に…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』80

頭を深々と下げるココロンに、 盟王は諭すような口調で言った。 「…ココロン。お前は、今、 …

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』79

8、立ち上げと立ち上がり イナモンも、すでに気付いている。 カルダモン商会の「幽霊館長」…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』78

「…陛下! 何を、…いったい、 何をおっしゃるのです!?」 「新しい酒は新しい革袋に 入れ…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』77

7、力強いリリーフ 建物の扉の前に立ち、イナモンが ノックをしようとしたその時、 扉が中か…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』76

「ラム岬とは、どんなところなのでしょうか?」 ロッカが聞いてみると、 馭者は胸を張り、誇…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』75

6、直球勝負と変化球 ディッシュ大陸の南東部の情勢が 刻々と変わる中で、大陸の北西部では、 三人の男女が海を越えて ミックススパイス島へと向かっている。 エーワーン・イナモン。 ドグリン・ココロン。 トゥモ・ロッカ。 大貴族と、姫君と、元奴隷の小間使いである。 しかしこの三人の意識の中では、 身分と立場の違いがすでに薄れてきていた。 国という枠を超えて一緒に旅をする中では、 人の意識の中の枠もまた、 崩れていくものかもしれない。 イナモンが、二人に行程を説明した。

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』74

…ただし、監督チャンバのサインは、 四球狙いの待球作戦ではない。 とびきりの強攻策、速攻策…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』73

5、名優 ミシェルとランプ、マオチャとクランべ、 盟王の「子どもたち」が ガリカシスとアル…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』72

ミシェルは眉を上げた。 ピノグリア大公国に潜入させていた この教え子は、信頼できる古参の…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』71

4、姉弟の情報網 ざあっと一陣の風が、 湿り気のある草原の草を揺らしている。 一人の園芸服…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』70

さて、盟王代行、すなわち セインからの手紙を受け取ったのは、 リーブルだけではなかった。 …

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』69

3、三都市の動静 ここで、大陸の南東部に話の舞台は変わる。 ピノグリア大公国の首都から西…

長編小説『凸凹バラ「ストロングリリーフ」ミシェルとランプ』68

パンナが向かった先は、 瀟洒な建物が立ち並ぶ一画である。 勝手知ったる場所かのように、 彼女は最短距離で研究室へと向かった。 彼女のお目当ての「師範」が そこにいるはずだった。 …ここは、この街のカプサ学校の本部。 パンナは目ざとく学友を見つけて、 声をかけた。 以前に留学していた時から変わらない姿だった。 「クローブ・マンダー! どや、新しい薬はできたんか?」 マンダー、と呼ばれた男。 こげ茶色のぼさぼさの髪に無精ひげ、 がっしりとした体格である。 三十歳くらいだ