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古典的な兵站理論から導き出される軍事の洞察はどのようなものか?

古典的な兵站理論から導き出される軍事の洞察はどのようなものか?

軍事学の歴史においてアメリカ海兵隊員ジョージ・ソープ(George C Thorpe)はいち早く兵站の重要性を認識し、その分析を試みた研究者とされています。ソープの著作『理論兵站学(Pure Logistics)』が出版されたのは1917年であり、第一次世界大戦(1914~1918)の教訓が反映される前の時代の業績ですが、現在でも研究者の間では高い評価を受けています。

ソープの軍事理論では、戦略

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論文紹介 フォークランド戦争で学ぶ戦闘と後方支援のバランス

論文紹介 フォークランド戦争で学ぶ戦闘と後方支援のバランス

フォークランド戦争(1982)でイギリスとアルゼンチンは南大西洋のフォークランド諸島の支配をめぐり戦いました。もともとフォークランド諸島は小規模なイギリス軍の守備隊に守られていましたが、アルゼンチン軍の攻撃で守備隊は降伏に追い込まれました。

不意を突かれたイギリスは本国から遠く離れたフォークランド諸島に戦闘部隊を展開する戦力投射能力の不足に苦しめられました。政府は軍部に早期奪回を求めたので、多く

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戦争で軍隊を動かすには、いつでも兵站線を確保しておく必要がある

戦争で軍隊を動かすには、いつでも兵站線を確保しておく必要がある

腹が減っては戦はできないと昔から言われていますが、これは戦争の歴史を研究する上で最も注意を払うべき格言です。兵站支援が不十分だと、最新鋭の武器を装備した大軍であっても戦地で飢え、弾薬を使い果たし、戦闘不能になります。

表面的に大規模な兵力を保有していても、長期にわたって外国の領土で活動できるだけの兵站支援能力を持っていないなら、国際政治的な意味でその国の攻撃能力はないに等しいと言えます。

この

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