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「母」と「原子」をつなぐ「心」 「ピンク・フロイド」雑感Vol.2

出会いは大学の図書館から

大学の図書館に視聴覚室があり、所蔵されている音源(LPが多い)や映像媒体を、見聞きすることができました。

無料で聞けるので、聞いてみたいアーチストのアルバムを聞くにはもってこいの環境。たくさん聞いた中で、印象に残った1枚があります。

それはピンク・フロイドの「Atom Heart Mother」というアルバム。

邦題はそのまま直訳で「原子心母」。アルバムジャケットは牛がこちらを振り向いている印象的なもの。

プログレッシブ・ロック(以下、プログレ)には初心者にはハードルが高い印象がありましたが、ここなら無料。

というわけで、さっそく聞いてみたのでした。

結果、このバンドとアルバム群は終生の友となります。

先に結論的なものから始めると、プログレは70年代が黄金期で、歴史的傑作が多数生み出されています。ただ、70年代という時期は電子楽器のテクノロジーが日進月歩だったときで、どうにも音が古い。特にキーボードにそれが顕著でした。

たとえば、ピンク・フロイドを含めたプログレ5大バンド、ジェネシス、YES、キングクリムゾン、について。初期のジェネシス、YES、EL&Pは、軽く安っぽく聞こえてしまうキーボードの音色にどうも馴染めず。

キングクリムゾンは初期のいくつかのアルバム良いですが後半は複雑系に走ってしまって個性を失ってしまった。

その中でも、初期から、「シンフォニック」で「重厚な」音を出していたピンク・フロイドはとても入りやすかったんです。

さて「原子心母」。

構成はシンプルで5曲。
Atom Heart Mother
If
Summer '68
Fat Old Sun
Alan's Psychedelic Breakfast

1曲目のAtom Heart Mother はインストの曲(歌詞無し)で、LP片面を丸っとつかっている超大作。そんな曲からこのアルバムは始まります。

「Atom Heart Mother 」という曲

全編インスト。歌詞無し。

という言葉は、現代の「サビだけ」聞くような聞き方をしている人からすれば、恐怖すら覚えるのかもしれませんし、当時の「3-5分の曲に慣れた」我々からしても驚異的なものでした。

しかも、クラシックやジャズで馴染みのあるようなメロディが浮かぶ曲でもない。恐る恐るスイッチをONにしたのを覚えています。

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