Hikari Takinami

エッセイスト。心や身体について感じたこと・考えたことを、自分なりの言葉で表現するのが好…

Hikari Takinami

エッセイスト。心や身体について感じたこと・考えたことを、自分なりの言葉で表現するのが好き。アレクサンダーテクニーク教師として、心と身体のレッスンをしています。訪問介護ヘルパーとしても働き始めました。

最近の記事

今日のレッスンメモ:「止まる」についての覚書

先日、アレクサンダーテクニークの個人レッスンを受けに、大塚のゆりこさんの教室へ行った。自分が教える立場になってからも、自分自身のためにレッスンを続けて、もうう3年ほど経っただろうか。 その日はちょっと体が疲れていたので、まずテーブルワークから始めた。仰向けに横たわって背中を重力にあずける。ゆりこさんの静かなハンズオンに、腕が、脚が、首が、一つひとつゆるんで広がっていく。そのたびに、私の身体は、いつの間にこんなにギュッとしていたんだろう、と思う。そうそう、今日は前に進むのに、

    • 自分も相手も楽な介護ができた日

      最近嬉しかったこと。それは訪問介護でのこと。重度の障害を持つご利用者さんを一人担当しているのだけど、最初は苦労していたその介助が、だんだん上手にできるようになってきたのだ。 その方には、朝デイサービスに出かける際の準備をお手伝いしている。排泄ケアをして、着替えて、歯磨きをして、髪を整える。それから車いすに乗せて、玄関先まで移動する。それをデイサービスの送迎時刻に間に合うよう、約30分で済ませないといけない。最初は焦ってしまって失敗ばかりだった。 この間など、肌着のシャツを

      • 相手の弱さを想像する

        先日、訪問介護の仕事で、掃除を担当しているお宅でのこと。いつものように床の雑巾がけをして、洗面所でその雑巾を洗っていたところ、ご利用者さんの遠慮がちな声に呼び止められた。 「あのね、蛇口をあんまりきつく締めないでほしいの。ほら、私、あんまり力がないからさ」 その人はふだん人に注文をつけることをあまりしないのだろう、言いづらいことを言ったと見えて、少しぎこちない笑顔を浮かべて、私を気遣った。 その洗面台は昭和の時代の古いもので、蛇口はひねるタイプだ。私はそんなに力いっぱい

        • 読書感想『居るのはつらいよ ケアとセラピーいについての覚書』

          ずっと読みたかった本を読了した。『居るのはつらいよ ケアとセラピーいについての覚書』(東畑開人著、医学書院)。 いくつか賞をとって話題になった本で、ずっと読みたいと思っていたのだけど、学術書だからと敬遠していた。でも思い切って読んでみたら、エッセイやお仕事小説のような読みやすさで、ユーモアたっぷりで軽妙な語り口に引き付けられて、一気に読んでしまった。 読みたいと思ったのは、タイトルに共感するものがあったから。「いること」のつらさ、それは人見知りの私にとって子供の頃から悩ま

        今日のレッスンメモ:「止まる」についての覚書

          雨を感じる

          今日は朝から雨。朝に2件の訪問介護があった。 朝起きてすぐ、窓を開けて、雨の降り具合を確かめる。本降りなので、今日は防水パンツが必要だ。介護の仕事に行くときは、いつもアウトドア用の撥水加工のパンツをはいている。とても動きやすいし、小雨程度ならはじいてくれるから便利。でもさすがに本降りの日はだめね。玄関先でパタゴニアのレインジャケットをはおる。これは以前に旅行用に買ったもので、旅行以来長らく出番がなかったけど、最近大活躍しているアイテム。リュックサックに、Amazonで買った

          雨を感じる

          近況報告です

          お久しぶりです。 もう3カ月以上、noteに文章を書いていませんでした。 近況報告ですが、GW明けに1月から通っていた介護職員初任者研修を修了して、6月の半ばから週に3日、訪問介護ヘルパーとして働き始めました。もうすぐ3か月目を迎えようとしています。 今まで仕事を覚えようと気を張っていたり、新しい生活のリズムに慣れるのに結構エネルギーを使っていたようで、仕事の日は夕食後にリビングで寝落ちしてしまうこともしばしば…。文章を書くどころか、集中して読むこともできなくなっていまし

          近況報告です

          猫の分離不安と向き合う

          梅雨入り前の、薄曇りの午後。ひさしぶりにnoteを開いて、テキストを入力してみる。 私が猫のたまちゃんと暮らし始めて3カ月になろうとしている。さきほど、自分が以前に書いた記事を読み返してみて、ああ、あの頃は毎日こんな感じだったよなあ…と懐かしく思う。お転婆娘も最近ではめっきり大人しくなって、今は窓辺でスヤスヤと眠っている。 この前までは、私の行くところにはトイレでもお風呂でも、どこにでもついて回って、それがあまりにしつこいのが悩みだった。ちょっとでも私の姿が見えないと大声

          猫の分離不安と向き合う

          猫の粗相の事件簿

          保護猫の玉美ちゃん(通称たまちゃん)が我が家にやってきて、そろそろ2カ月。正直、まだ2カ月しか経っていないのかと驚いてしまう。もっと長いような気がしているのは、色んなことが次々と起きて、私の生活が一変してしまったから。 最近一番悩まされた出来事と聞かれれば……それは、粗相です。何と言っても粗相です(←ローマの休日のラストシーンで、「ローマです」と答える、アン王女の口調でどうぞ)。 最初こそ失敗したものの、たまちゃんはトイレの場所を早々と覚えた。私もいくつかの失敗を糧に、粗

          猫の粗相の事件簿

          猫と暮らせば

          東京の桜も満開を過ぎました。1カ月半ほどご無沙汰していまして、とても久しぶりのnote投稿となりました。 実は2月28日、わたくし3歳の女の子の里親になりました。大きな瞳、すらりとした手足、形の良い耳、つややかな毛並み、長いしっぽにピンと伸びた立派なおひげの・・・猫ちゃんの里親です。 この写真、Facebookに投稿したら、聖母のようだとコメントもらいました。たしかに似てる? 見れば見るほどそっくりかも! マドンニャ! 今年の年明けに猫が飼いたいと思って、それから猫活を

          猫と暮らせば

          目の前で起きていることに対して仕事がしたい

          ちょうど1カ月ぶりのnote投稿。前回書いた後、ちょっとお休みしたら、なかなか書く習慣が戻らなくて。ちょっと頑張りすぎていたかもしれません。今日はあまり根をつめずに、ゆるく書いてみようと思います。 *** 1月末から、介護職員初任者研修の講座に通い始めた。これは介護を仕事にするための入門的な講座。週1回のスクーリングで5月に修了する予定。資格を取ったら、訪問ヘルパーとして週に何日か働いて、自宅で教えるアレクサンダーテクニークのレッスンと両立できたらと思っている。 介護の

          目の前で起きていることに対して仕事がしたい

          これが愛じゃなければ

          猫を飼うかどうかについて、ずっと考え続けていた1週間。 正確に言うと、考えていたのは「飼うかどうか」ではない。飼いたいと思った時点でもう答えは出ていて、私が考え続けていたのは、実行に移さない言い訳のようなもの。 いのちには最後まで責任を持たなくてはいけないから…と。でもね、こんなに悩んでいるということ自体が、もう十分に責任感があるという証拠。だから、途中で投げ出したりはしないと思う。もしも途中、何かの事情で飼い続けるのが難しくなったときは、保護猫団体などに引き取ってもらう

          これが愛じゃなければ

          猫が飼いたい

          猫が飼いたい。 この思いを持ち続けてから、一体何年になるだろう。 高校まで暮らした実家には猫がいた。わが家はなぜか野良猫がよく来る家で、庭先には色んな猫たちがひんぱんに顔を出し、「シロ」とか「アオ」と名前をつけてかわいがっていた。 ある日、中学生だった私はその中の1匹を家に入れて飼いネコに昇格させた。最初は猫を家に上げることに難色を示していた親も、なんとなく認めてしまい、以来わが家は猫を飼う家になった。 高校卒業を機に実家を出て以来、猫とは無縁の生活。それからはや幾年

          猫が飼いたい

          映画『ミッション・マンガル 崖っぷちの火星打ち上げ計画』と、私がもらったプレゼント

          1月8日金曜日、くもり。 緊急事態宣言下の初日、アップリンク吉祥寺にインド映画『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打ち上げ計画』を見に行った。 インドの宇宙事業プロジェクトが、低予算のため実現不可能と思われていた火星探査機打ち上げを、メンバーたちの創意工夫と情熱で成功させるという、実話にもとづくストーリー。 女性技術者が開発に立ちはだかる予算的な問題を、家事の節約をヒントに解決するというところが素晴らしい。人の賢さというのは、日常のどんなことにも普遍性を見出す力

          映画『ミッション・マンガル 崖っぷちの火星打ち上げ計画』と、私がもらったプレゼント

          今日のレッスンメモ:立体の動き

          1月6日水曜日、くもり。とても寒い。 今日は今年最初のアレクサンダーテクニークのレッスンを受けに、大塚のゆりこさんの教室へ行った。 レッスンの初めにテーブルワーク(ベッドに横になった状態で受けるワーク)で体をゆるめてみたら、背中の張りと痛みが感じられた。これはテーブルワークで背中が痛くなったのではなく、体をゆるめてみて、慢性化していた痛みが感じ取れるようになったということ。 背中に痛みがあるとき、やりたくなるのが肩を前後に動かしたり前にかがんだりして、張っている筋肉を伸

          今日のレッスンメモ:立体の動き

          『逃げるは恥だが役に立つ』の感想

          昨日は新春スペシャルドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』を見た。2016年に放送された人気ドラマの続編で、私は最初の放送の時は見ていなかったんだけど、少し前にパラビで見て、4年遅れでハマってしまった。 『逃げ恥』は星野源さん、新垣結衣さんたちキャストの魅力や、エンディングの恋ダンスの面白さはもちろんだけど、私にはやっぱり契約結婚という設定を通して「結婚って何?」「家事労働ってどうなの?」ということを一つひとつ問い直していくストーリーがとても面白かった。 今回は働く女性が子供を

          『逃げるは恥だが役に立つ』の感想

          お正月の思い出いくつ

          2021年元旦。晴れ。 今日はだいぶ日が高くなってから目が覚めた。「一年の計は元旦にあり」というけれど、私は年の初めにふさわしいようなきちんとした元旦を過ごしたことがない。 今日はいい天気だから、初日の出もきれいだったろうなと思いつつスマホを見ると、Facebookのタイムラインには初日の出の投稿がたくさん。みなさん、私に御来光を見せてくれてありがとう、と感謝してスマホを閉じた。 元旦に寝坊してしまうのは、大晦日に遅くまで起きているから。昨日も紅白歌合戦を最初から最後ま

          お正月の思い出いくつ